王様がおかしくなった~憑依? 転生? 別人格が乗り移り色々とやらかします~

へたまろ

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王様おかしーの?【お菓子のおじさん】(孤児幼女)

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「ほらっ、来たぞー!」
「わぁ……」

 今日は一ヶ月に一回の、お菓子パーティの日。

「おかしぱーてぃのひー!」
「わーい」

 周りの友達も、みんな喜んでる。
 うん、凄いご機嫌な服装の気さくなおじさんが、大人を引き連れてお菓子を大量に持って来てくれる日。

 私?
 私は、リリス。
 四歳の女の子だよー。
 にしては、言葉達者?
 うーん、これもお菓子のおじさんのお陰かな。
 私はアイキューってのが、高いらしいの。
 それと、カメラアイってスキルを持ってるらしいの。
 見たものを、そのまま覚えることが出来る能力。
 みんな、そういうものだと思ってたけど、違うっておしえてもらってびっくりしたよー。

 ここにいる子たちは、大なり小なり何か得意なことがあるんだって。

「違うぞー! 全ての人達が、得意なことと苦手なことがあるんだ」

 おじさんとの会話は、とても楽です。
 考えるだけで、返事をしてくれるので。
 感情までは正確に読み取れないとのことなので、心の声で嘘を吐けば本心を見透かされることはないです。

「ははは、本心までは読み取らないよ。それは、流石にマナー違反だからね」

 手加減をされているみたいです。
 表層心理だけを読み取っているらしいです。

「倫理的思考もだいぶ身に付いてきているね。自閉症スペクトラムの症状もないし、ギフテッドだし」

 ジヘイショーというのは、個性の一つらしいです。
 少し、人とのコミュニケーションが苦手だけど、得意なことにはとことん情熱を発揮する特定分野の天才になりやすい子だって教えてもらいました。
 スキルみたいなもので、生まれ持った思考回路だから考え方を変えるのは難しいらしいです。
 頑固とは違うみたいです。
 話すのが得意だったり、苦手だったり。
 普通? いや話すのが得意な子は、思ったこと言いたいことを一気に話したり、会話が多岐に渡りすぎて何話してるか忘れたりと……
 近所で井戸端会議してるおばちゃんたち? って聞いたら、それはジヘイショーの子たちに失礼だと言われました。
 興味のあることに対する集中力は素晴らしく、こだわりを持って臨むタイプだから。
 融通が利かないけど、それは仕方のないことだから周囲が理解して、合わせられる人が合わせて得意なことを伸ばせば後世に名を残すような凄い人にだってなれるんだって。
 そう言った子たちは、私のカメラアイのような特殊な才能を開花させることもあるみたいで……才能に気付かれず埋もれる子もいるとか。

「俺は、絶対に見逃さないけどなー」

 そして、お菓子のおじさんは、そういった才能を発掘する才能を持っているみたいです。

「それよりも、そんな子どもらしくないことばかり考えてないで、おやつ食べようぜ!」

 色々考えていたら脳が疲れたので、糖質を補給しないといけませんね。

「おじさん、リリスとばっかりはなしてないで、こっちきてよー!」

 気が付けば、おじさんを独占していたようです。
 おじさんは、皆から好かれてますから。
 先生も、微笑ましいものを見るような目で、おじさんを見てます。
 最初の頃は、何かするたびに怯えの色を含んだ目で、戦々恐々としてましたが。

 いまも、一つ上の男の子のリキが、僕の横に座ってよー! と強請ってます。
 おじさんも、嬉しそうにいいぞー! と言って、そっちに向かって行きました。
 ちなみにリキは、身体操作系の才能があるみたいで、おじさんとよく食後の運動を頑張ってます。
 前に回転したり、後ろに回転したり。
 壁を蹴って、高いところに移動したり。
 高いところからジャンプして、転がりながら着地したり。
 手すりに飛び乗ったり、壁の淵に捕まったり。
 パルクールと呼ばれる走り方らしいです。
 おじさん以外の大人が、ヒヤヒヤした様子で見てますが、大丈夫です。
 怪我をしても、おじさんが手を翳せば治ります。

 ……おじさん、いくつ才能を持ってるのでしょうか?

「あっ、美味しい……」

 そして、私たちの好みを把握しているので、ただ甘いだけじゃなくて、色々な食感や風味を楽しめるお菓子も持って来てくれます。
 そして、このおじさん……私たちのお父さんです。
 血は繋がってません。
 というか、国民全員のお父さん役らしいです。
 王様って言うらしいですよ!
 ふふ……王様くらい、ここに来る前から知ってます!
 私の知ってる話だと、すっごく悪い人って話だったんですけど。
 きっと、王様に対する世論の印象操作をして、ひきずり下ろしたい人達が広めた噂だったんですね。
 王様の支持派閥と敵対していて、王子に期待している人たちとか。
 うん、悪い人たちですね。

****
「クシュン」
「えらく可愛らしいくしゃみですね、宰相様」
「あっ? ああ……誰か、私の噂をしてるんじゃないかとな……」
 
****
「クシュン」
「騎士団長には似つかわしくないくしゃみですね」
「うむ、誰か、噂をしてるのかもな」

****
「クチュン」
「風邪ですか? 魔法師団長」
「いや、これは私の話しを誰かがしているのか」

****
「ぶえっくしょーい、てやんでまるチクショー!」
「メアリーのくしゃみって、おっさんくさいよね」
「えっ? あっ、いや……誰か、私の噂でもしてるのかしら? 可愛いって罪よね」
「えっ?」
「えっ?」

****
「クシュン、クシュン、クシュン、クシュン、クシュン、クシュン、クシュ………………クシュン」
「母上、大丈夫ですか?」
「あら、ヘンリー、ごめんなさいね。風邪ではないと思うのですが」
「王妃殿下、念のためにイッシーを呼びましょうか?」
「それには、及ばないわ」

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