異世界に召喚されて中世欧州っぽい異世界っぽく色々な冒険者と過ごす日本人の更に異世界の魔王の物語

へたまろ

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第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~

第18話:16階層~モンスタートライアルネオ!~

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「さてと……レベルと技術が噛み合って無いからな。これからは身体で覚えて貰おう」

 何やら物騒な言葉が聞こえてきたが、ダンジョンを踏破するのが目的ですよね? 
 なんか、違う思惑が見え隠れするのですが……
 僕は一抹の不安を感じながらも、カナタさんの話を聞いている。

「という訳で、これからは危険だからこの兜をやろう」

 そう言ってカナタさんが手渡してきたのは……なんともおどろおどろしいオーガフェイスのフルフェイスヘルムだった。
 というか、なんでそんなもん持ってるんだろうねこの人は……
 いつぞやの虹色鋼のニードルもだけどさ……持ってる装備貸してくれたら大分楽になりそうなのに。
 そんな事を考えながらヘルムを手に取る。

 うん……これ絶対に呪われてるよね? 
 なんか呻き声的なものも聞こえるし。

「という訳で、取りあえず被ってみ?」

 そう言ってカナタさんは一瞬で僕の手からヘルムをはぎ取ると、頭に被せて来た。
 ちょっ! 止めて! という僕の心の声は全く届くはずもなく……
 カポっという音がして、頭にすっぽりとヘルムが被せられる。
 そして同時に……

(殺せ!)

 ん? 

(殺せ!)

 こ……こいつ脳内に直接! 

(殺せぇぇぇぇぇぇぇ!)

 という声が頭に響いたかと思うと、身体が勝手に動き始める。

「うん、これ鬼人の兜っていって魔物100体狩るまで外れないからさ! ガンバ!」

 ちょっ! あんた、なんてもん被せてくれとんすか! 
 いやあああああああ! 

 僕の叫び虚しく体が勝手に走り出してしまった。

「行っちゃいましたね」
「ああ、まあ俺達はゆっくり追いかけるとしよう。あれだったら途中で回収すればいいさ」

 2人が呑気にそんなやり取りをしているのが、遥か後方から聞こえて来た。

 ―――――――――
 そして気が付くと目の前にはアーマーリザードが居る。
 ラージアーマーリザード程じゃないが、今まで出会ったものより一回りは大きい。
 まあ、こっからしばらくは小ボスほど強い魔物は出てこないが、今までとはくらべものにならないほど強い魔物がうじゃうじゃいる。
 間違ってモンスタールームに入ってしまったら、小ボスと戦うより遥かに危険な目に合う。

「我が目の前に立つ度胸、褒めてやろう!」

 誰? 
 いや、僕ですけどね。
 勝手に喋ってます。
 というか、ヘルム勝手に喋ってます。

「ギャァァァ!」

 という叫びと共にリザードが太い腕で殴りつけてくるが、勝手に体が反応する。
 その腕を弾こうと剣を振るうが、少し勢いが弱まった程度か。
 別に強くなる訳じゃないのか……

「非力な……だが、力が無ければ数でいくしかあるまい」

 失礼ですよ? 
 結構レレベル上がって力も付いてるはずなんですけどね? 
 そんな事を思っていたら、振り上げた剣を即座に振り下ろす。
 再度ガキンという音がして、今度は完全に腕が一瞬制止するのが分かる。
 えっ? てか、早くね? そんな事を思っていると、そこからさらに振り子の要領で、振り下ろされた剣を突きに持っていく。
 ガキッという音がして、今度こそリザードの少し腕が押し戻される。
 しかしそこで終わらない、僕の身体はさらにその状態から腰を捻って腕と肩、背筋まで駆使した突きを繰り出す。
 ジャキンッという音が響いたかと思うと、リザードの鱗が一枚弾け飛ぶ。
 リザードが驚きに一歩下がった瞬間に、地面を一気に蹴る……僕じゃない僕が・・

「臆したな! ならば死ぬが良い!」

 また勝手に喋ったかと思うと、突き、突き、突き、突きと突きの連打を浴びせ続ける。
 徐々に剥がされていく鱗。
 そして、その鱗の無い部分や、関節の柔らかいところを狙って放たれる無数の斬撃。
 徐々にリザードの身体を赤い鮮血が染め上げていく。

「グォォォォ!」

 リザードが雄たけびを上げていっきに突進をかましてくるが、

「その心意気やよし! じゃが、少し遅かったのう」

 次の瞬間、僕の手から放たれた突きは確かな手応えとともに、ブチリという音を発した。
 そして、その巨体が右肩から一気に地面に崩れ落ちて、勢いのまま少し先まで滑っていく。
 はっ? 

「右足の膝の腱を断ち切ったからのう……もう、動けまいて」

 そしてゆっくりと近付いて行くと、リザードの顎を蹴り上げる。
 一気に上体が起こされたところで、喉元を一閃……
 大量の返り血が気持ち悪いわ! 
 少しは僕の身体を気遣え! 
 そんな不満を兜にぶつけるが……

「カッカッカ! 気にするな! 次に行くぞい」

 全く聞き入れてもらえない。

 ―――――――――
「ふははは、ぶち殺してくれるわ!」
「何をやってるんだ?」

 はい、すいません完全にガス欠です。
 僕はいま地面に仰向けに倒れ込んでいる。
 だが、ヘルムはこの状態でも魔物を呼び寄せようと騒いでいるから、凄く厄介だ。
 そして、やってきたのがカナタさんとレイドだ。
 気付けば、レイドも少し疲れた表情をしている。
 ここに来るまでに何かあったのだろうか……いや、そうだよね。
 戦闘担当の僕が居なかったら、必然とレイドが戦闘を全てこなすことになるんだった。
 そんな事おかまいなしに、カナタさんが僕の身体を突っつく。

 痛い! 
 痛いっす! 
 っていうか、このヘルムかなりの無茶を僕にさせた。
 背後から迫りくるジャイアントバットを思いっきり左手殴りつけた時にバキっという嫌な音が、僕の拳から聞こえた。
 はい折れてます……僕の中手骨いっちゃいました。
 それでも無視して剣を握って振り回す兜さん……
 そして、ひたすら走り回った結果肉離れを引き起こし、完全に動けなくなりました。
 ってあれ? 
 カナタさん何してるんですか? 
 ふと見ると、カナタさんが緑色の液体を振りまいている。
 それって……ポーション? 
 そんな事を思っていると、バキッという音がまたも左手から聞こえる。
 だが、これは骨が治ったっぽい感触だよね。
 なんてことを思っていると、足の痛みと震えも消える。

「完全回復したから、もっかい行って来い!」
「感謝致します!」

 おい! 
 丁寧だなお前! 
 でもこれ僕のからだあああああああああいやあああああああ! 

 またも勝手に走り出す僕の身体。
 結局、このやり取りを8回やったところで……

「ふむ……われも天に返る時が来たようだ!」

 そう言ってヘルムがポロリと取れた。
 そのヘルムはオーガフェイスから、優しい女神のような表情に変わっていた。

「うんうん、呪いの解除も出来たし、エンも強くなったしで一石二鳥だな」
「やっぱ呪われてたんじゃないっすか!」

 ダンジョンの一室に、僕の声が木霊する。
 しかし、会うたびに疲れていたレイドが今は晴れやかな表情をしているのが凄く気になる。
 けど、まあ良いか。
 今は、少しでもこのまま地面に横になって体を休め(ジョボボボボボ)……
 カナタさん? 
 何をしてらっしゃるので? 

「よしっ! これで完全回復だな? それじゃ、魔物が出たら宜しくね」
「あんたは鬼か!」

 知ってますか? ポーションじゃ心の疲れまでは取れないんですよ? 
 そう言いたい! 
 凄く言いたい! 
 でも威圧のこもった爽やかな笑みで見つめられると、黙って頷くしかなかった。

 でも、どうやら本当に強くなったようだ。
 スキルに身体操作レベル1というのが付いていたが、これは自分の身体の使い方が上手になるようだ。
 まあ、簡単に言えば運動神経が良くなるって事かな? 
 そして、レベルも上がってるし……それ以上にステータスの上がり方がおかしかった。
 入った当初は6しかなかったレベルも14階層までに17まで上がっていたのだが今は……

 レベル6→17→21
 HP37→68→192
 MP0→3→9
 筋力30→133
 魔力1→16
 体力29→159
 敏捷20→101

 スキル
 剣術レベル3
 見切り
 身体操作レベル1
 狂戦士化

 剣技
 五月雨突き
 強突き
 一文字

 剣技を覚えていた。
 五月雨突きは、あの突きの連打だよね? 
 説明分には体力を削って1秒間に3回突きを突く事が出来ると書いてあった。
 強突きは、全身を利用した腰を捻った突きだよね? 
 通常の倍の威力の突きを放つ事が出来る……多用すると翌日関節痛と筋肉痛に悩まされると書いてあった。
 そして、一文字……
 綺麗に乱れる事のない、横一文字の斬り払いを打てるようになる。
 斬られた相手の傷口が綺麗。

 最後の剣技要らなくね? 
 まあ、副作用が無いだけマシだけどさ? 
 見た目が綺麗に見えるだけの剣技とか、あんま役に立たないよね? 

 チナミニ狂戦士化ニ触レル気ハ、アリマセンカラ……ハハ。

 しかし、このステータスの上がり方は異常だな。
 多分、身体を限界まで酷使ししてポーションを使って、すぐに酷使を繰り返していたからだろうね。
 魔法を一切使って無いから、そっち方面は全然だし。
 超体育会系モンスタートライアルだったわ……
 っていうか、マジでダンジョン踏破する気あるのかね? 
 めっちゃ遠回り……してないね。
 実質二日目だけど、二日で16階層を制覇するとか結構凄いよね。
 これも全部、カナタさんが道を知ってるからだもんね。
 殺されるまでは文句言えそうにないですね。
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