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第2章:北風とカナタのバジリスク退治!~アリスの場合~
第6話:エストの村のゴブリン退治3
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翌朝早くに依頼を出した村長の屋敷に向かう事にしたのだが……
やっちゃった。
めっちゃドアをノックされてる。
「アリス! まだ寝てるの? もう皆準備出来てるよ!」
カバチがめっちゃ叫んでる。
他にも宿泊客居るから……居たっけ?
まあ、いっか。
取りあえず顔を洗って、髪をとかさないと。
「ゴメン、ちょっと待ってて! 女は色々と準備があるのよ」
「じゃあ、もっと早く起きなよ!」
ごもっともな事を言われると腹が立つのはなんでだろう?
それが特にカバチの場合、余計に腹が立ってしまう。
ああもう! このやり取りの時間が勿体ない!
取りあえずカバチを無視して、急いで準備をすると階段を駆け下りる。
他の皆はロビーの横にある、食堂に集まっているらしい。
取りあえずカウンターに居るおじさんに挨拶をして、食堂に駆けこむ。
「ごめーん! 遅くなった」
「いや別に良いよ。お陰でゆっくりと朝を楽しめたし。おはようアリス」
あっ……
そう言えば、今回はカナタが居たんだった。
いつものメンバーと思って完全に油断してたわ。
「ほんっとゴメン」
「本当だよ! いっつもアリスが最後なんだから」
「まあまあ、カナタさんも良いって言ってるんだから。おはようアリス」
相変わらずアレクは大人だ。
カバチは腹立つけど。
っていうか……カナタ……
こいつ新聞片手にコーヒー飲んでるけど、見た目以上にオッサン臭い。
見た目は私達と変わらないくらいに見えるのに……
「おはよう……っていうか、カナタって結構じじ臭いんだね」
「ん? そうか?」
つい喧嘩を売るような事を言ってしまったのに、カナタは特に気にする様子もなく新聞をめくっている。
やっぱり、こいつ大人なんじゃないの?
私も自分では大人の仲間入りしたと思っていたが、なんか子供扱いされてる気がしてちょっと不快になる。
「コーヒー片手に新聞読んでるのなんて、おっさんくらいのもんじゃん」
「情報は冒険者の命だぞ? 年齢に関係なく、冒険者なら新聞くらい読んでおいた方が良いぞ。ほらっ」
そう言ってカナタが私の頭を新聞で叩く。
はっ? 全然気配が感知出来なかったんですけど?
そのことに驚きつつも、手渡された新聞に目をやると丁度カナタが読んでいたであろう記事が載っている。
「なになに……えっ?」
「ほらっ、どうもこの依頼きな臭い気がしないか?」
そこには見出しに『今年はゴブリン減少傾向にあり』と書かれてあった。
内容としては、昨年末の寒波の影響か……森の食糧不足の為、狼系、熊系魔獣によるゴブリンの捕食が活発化? 空のゴブリンの巣があちらこちらで発見。争った形跡はあるものの、その場に残された血痕の8割がゴブリンのものと思われる。狼系、熊系魔獣が狂暴かしている可能性が高い為、注意すべし。と書かれていた。
でも私達が受けた依頼はそのゴブリン退治だ。
「もしかしたら、他の魔獣に追われたゴブリンが村を襲っているんじゃ……」
「元々ゴブリンは臆病な性格だ。それに知能が低いとはいえ、群れで複雑なコミュニケーションを取る程度の知能はある。数匹の狼の群れや熊と、人間が沢山いる村じゃどっちが危険かなんて分かるだろう」
確かに村がゴブリンに襲われるなんて話は、殆ど聞いた事が無い。
街を襲う事はまず絶対に無い。
そのくらいに臆病な性格をしている。
「という事は、魔獣がある程度の数減った時に起こる現象が起こっている事に結び付くとは考えられないか?」
村がゴブリンに襲われた例は殆ど聞いた事が無いが、全く無い訳では無い。
そして、村がゴブリンに襲われる事例に関しては、全てに共通点がある。
「種の危機的状況に起こる……種族進化?」
「ああ、俺もカナタさんにその記事を見せて貰って、同じことを考えた」
私の言葉にアレクが頷く。
特殊進化……限られた範囲である種の魔獣や、魔族が一定数を割った場合に起こるとされている。
1つの群れが丸々進化した例や、その種族のリーダー的存在が現れるなど多様性はあるが、そうして進化した個体はユニークと呼ばれ、その強さは元の種族に寄る処が多いとはいえ、元となった種族とは比べるべくもなく強化される。
過去に毛皮の価格が高騰し、とある冒険者ギルドがグレイウルフの毛皮を狙って大規模な狼狩りを行った際、数が激減したグレイウルフのリーダーが雷獣と呼ばれるサンダーウルフに進化し、一つのギルドが壊滅寸前に追い込まれた事もある。
たった1体のユニークにB級冒険者パーティすらも歯が立たず、周辺のギルドからA級冒険者の勇姿を募って討伐したとか。
また、同時期ホーンラビットも同様に毛皮を目的に、多くの冒険者や狩人に狙われ、その際は森の全ての兎がキラーラビットに進化し、一つの街を襲い少なくない被害を出したという話もある。
そしてゴブリンの場合……多くはゴブリンリーダーや、ゴブリンジェネラルといった特殊個体が群れを率いて村を襲う事がある。
襲われた村はそのままゴブリンに乗っ取られ、新たなゴブリンの巣となるのだ。
ちなみにゴブリンリーダーの推奨討伐ランクはD級、ゴブリンジェネラルはC級3人以上のパーティとされている。
過去最悪のゴブリンの起こした事件は、たかがゴブリンに1つの国が落とされた事がある。
それこそ、ゴブリンを根絶やしにしようと考えた国が、ローラー作戦によるゴブリン殲滅を試みた結果、キングゴブリンが誕生した。
同時期に残った群れのリーダ全てが、ゴブリンジェネラルに進化した。
それだけならまだ騎士団で対応出来たのだが……最悪な事にそれと同時に種族進化も発生したのだ。
結果全てのゴブリンがホブゴブリンへと進化し、たった1000体のゴブリンの群れに国が落とされるという最悪の事態に陥ったのだ。
ちなみにその時のゴブリンキングは、今はゴブリンエンペラーにまで進化し、ゴブリンながら魔王の一角として今も北の果てに住んでいるとの事だ。
同時にホブゴブリンはさらなる種族進化を遂げたとか。
エンペラーにまで進化した種族は、この世界ではゴブリンだけだが、これがオークや、オーガであったならと周辺国家を震え上がらせた。
まあ、魔王とはいえ種族進化と特殊進化のお陰で知性が著しく上がったそのゴブリンの一団は、周辺国家と和平を締結しているらしい辺り、悪い事だけという事でも無いようだが。
っていうか、この魔王本当に優秀だったりする。
他の地にゴブリンキングが生まれたら、協力を惜しまず配下に加えて連れて帰るか、討伐してくれる。
なんでも自分達をネオゴブリンと名乗っていて、もはやゴブリンとは違う種族だと主張しているらしい。
実際の所、耳が尖っている事と、赤黒い色以外見た目も人間にかなり近いらしく、性格も野性味が取れているため、割と文化的で大人しいとの事だ。
ただ、個々の身体能力はゴブリンどころじゃない……オーガすら単体で倒してしまう。
幸いな事に寿命も300歳近いらしく、繁殖力が低いので数はそこまで増えていないが。
ちなみにエンペラーは既に700歳を超えているとの噂だ。
そして年老いたネオゴブリンの知識は英知と呼ぶにふさわしく、食客として国に招かれる事もあるとか。
北にあるノーザリア国の学校の歴史学の先生はネオゴブリンらしく、彼は人間を嫁に迎え入れてその国に帰化したのは有名な話だ。
まあ、人間より遥かに寿命が長いので、すでに3人目の後妻を娶っているらしく、玄孫までいる。
またネオゴブリンと人間の子供はちょっと寿命が長く、身体能力が高い程度で概ね人間という事らしい。
ハーフと人間の子供は、もう完全に人間よりになるらしいが。
っと脱線してしまったが、今の話を考えてもゴブリンリーダー、もしくはジェネラルくらいなら居てもおかしくない。
「なあ……ギルドがこの状況で、この仮説に至らない事ってありえるのか? ……だとしたらネクストフォレストのギルドはかなり質が低いって事になるが」
「いや、それはまず無いだろう……」
「じゃあ、知ってて俺達に依頼を受けさせたって事だな。この依頼普通に張り出してあったのか?」
カナタの言葉にアレクがハッとした表情を浮かべる。
「いや、掲示板の前で依頼を物色してたら、一人の若い男が勧めて来た」
「ふふっ……って事は、間抜けなギルドじゃなくて、鼻持ちならないギルドって事だな。やってくれる」
出会ってから初めてカナタが不快そうな表情を浮かべている。
「いや、もしかするとお前らの昇級って可能性もあるか……なら、すでに減点1だな。まあ、その可能性は殆ど無いだろうけど」
「どういうこと?」
カナタの言葉に対して、カバチが疑問をそのままぶつける。
ナイスカバチ! 私も、カナタの言ってる意味が分かって無いから、恥を搔かなくて済んだわ。
「この依頼を受けた時点で、情報不足って事だろ? 本来なら、ギルド職員に対して難易度の上方修正、もしくは偵察に内容を変更申請すべきだったって事」
カナタの代わりにアレクが答える。
くっ……久しぶりにアレクの得意気な顔が腹立つわ。
「もしくは……俺の身辺調査だろうな。くそっ! レイクポートで目立ったカナタって奴のせいさ。まあ、あっちは28歳らしいからな、いくらイースタンとはいえ、どうみても俺28に見えないだろ?」
「確かに……私達と同じくらいか、もしくはイースタンって事を考えても18歳くらい?」
「今年15歳になったばっかだよ」
確かに、どっからどう見ても28には見えないわ。
「取りあえず、村長に会って詳しい話を聞こうか。というか、本当にゴブリンジェネラルが居たらどうする?」
「一旦帰る……しかないよね?」
カナタの問いかけに対して私が質問すると、カナタが満足げに頷く。
また子供扱いされた気がする。
というか、同じF級なのになぜか凄く見下されている感じがするのは何故だろう……
「正解だけど、一つ手が無い事も無いけどね」
「どういう事?」
「ん? 昨日の飯屋のおっさんに付いて来て貰えば、なんとかならないかな?」
こいつは馬鹿だろうか?
一般人を守る冒険者が、一般人に護られてどうする。
とも思ったが、事実もし飯屋のおじさんが付いて来てくれたら、ゴブリンジェネラルくらいなんとかなりそうな気がしたのは内緒だ。
――――――
「良く来てくださいましたね」
村長の家に行くと、これまた筋骨隆々なおじさんが応対してくれる。
どうやら、この人が村長さんらしい。
というか、イメージと全然違ったわ。
村長っていうと、でっぷりと太っててニコニコしてるおじさんをイメージしてたけど。
目の前のおっさんは浅黒く日焼けしていて、白い歯が特徴的なマッチョマンだ。
応接間に案内され、依頼内容について再度確認を行い軽く打ち合わせをする事にした。
というか、お前と飯屋のおっさんの二人で行って来いと言いたくなったが。
やっちゃった。
めっちゃドアをノックされてる。
「アリス! まだ寝てるの? もう皆準備出来てるよ!」
カバチがめっちゃ叫んでる。
他にも宿泊客居るから……居たっけ?
まあ、いっか。
取りあえず顔を洗って、髪をとかさないと。
「ゴメン、ちょっと待ってて! 女は色々と準備があるのよ」
「じゃあ、もっと早く起きなよ!」
ごもっともな事を言われると腹が立つのはなんでだろう?
それが特にカバチの場合、余計に腹が立ってしまう。
ああもう! このやり取りの時間が勿体ない!
取りあえずカバチを無視して、急いで準備をすると階段を駆け下りる。
他の皆はロビーの横にある、食堂に集まっているらしい。
取りあえずカウンターに居るおじさんに挨拶をして、食堂に駆けこむ。
「ごめーん! 遅くなった」
「いや別に良いよ。お陰でゆっくりと朝を楽しめたし。おはようアリス」
あっ……
そう言えば、今回はカナタが居たんだった。
いつものメンバーと思って完全に油断してたわ。
「ほんっとゴメン」
「本当だよ! いっつもアリスが最後なんだから」
「まあまあ、カナタさんも良いって言ってるんだから。おはようアリス」
相変わらずアレクは大人だ。
カバチは腹立つけど。
っていうか……カナタ……
こいつ新聞片手にコーヒー飲んでるけど、見た目以上にオッサン臭い。
見た目は私達と変わらないくらいに見えるのに……
「おはよう……っていうか、カナタって結構じじ臭いんだね」
「ん? そうか?」
つい喧嘩を売るような事を言ってしまったのに、カナタは特に気にする様子もなく新聞をめくっている。
やっぱり、こいつ大人なんじゃないの?
私も自分では大人の仲間入りしたと思っていたが、なんか子供扱いされてる気がしてちょっと不快になる。
「コーヒー片手に新聞読んでるのなんて、おっさんくらいのもんじゃん」
「情報は冒険者の命だぞ? 年齢に関係なく、冒険者なら新聞くらい読んでおいた方が良いぞ。ほらっ」
そう言ってカナタが私の頭を新聞で叩く。
はっ? 全然気配が感知出来なかったんですけど?
そのことに驚きつつも、手渡された新聞に目をやると丁度カナタが読んでいたであろう記事が載っている。
「なになに……えっ?」
「ほらっ、どうもこの依頼きな臭い気がしないか?」
そこには見出しに『今年はゴブリン減少傾向にあり』と書かれてあった。
内容としては、昨年末の寒波の影響か……森の食糧不足の為、狼系、熊系魔獣によるゴブリンの捕食が活発化? 空のゴブリンの巣があちらこちらで発見。争った形跡はあるものの、その場に残された血痕の8割がゴブリンのものと思われる。狼系、熊系魔獣が狂暴かしている可能性が高い為、注意すべし。と書かれていた。
でも私達が受けた依頼はそのゴブリン退治だ。
「もしかしたら、他の魔獣に追われたゴブリンが村を襲っているんじゃ……」
「元々ゴブリンは臆病な性格だ。それに知能が低いとはいえ、群れで複雑なコミュニケーションを取る程度の知能はある。数匹の狼の群れや熊と、人間が沢山いる村じゃどっちが危険かなんて分かるだろう」
確かに村がゴブリンに襲われるなんて話は、殆ど聞いた事が無い。
街を襲う事はまず絶対に無い。
そのくらいに臆病な性格をしている。
「という事は、魔獣がある程度の数減った時に起こる現象が起こっている事に結び付くとは考えられないか?」
村がゴブリンに襲われた例は殆ど聞いた事が無いが、全く無い訳では無い。
そして、村がゴブリンに襲われる事例に関しては、全てに共通点がある。
「種の危機的状況に起こる……種族進化?」
「ああ、俺もカナタさんにその記事を見せて貰って、同じことを考えた」
私の言葉にアレクが頷く。
特殊進化……限られた範囲である種の魔獣や、魔族が一定数を割った場合に起こるとされている。
1つの群れが丸々進化した例や、その種族のリーダー的存在が現れるなど多様性はあるが、そうして進化した個体はユニークと呼ばれ、その強さは元の種族に寄る処が多いとはいえ、元となった種族とは比べるべくもなく強化される。
過去に毛皮の価格が高騰し、とある冒険者ギルドがグレイウルフの毛皮を狙って大規模な狼狩りを行った際、数が激減したグレイウルフのリーダーが雷獣と呼ばれるサンダーウルフに進化し、一つのギルドが壊滅寸前に追い込まれた事もある。
たった1体のユニークにB級冒険者パーティすらも歯が立たず、周辺のギルドからA級冒険者の勇姿を募って討伐したとか。
また、同時期ホーンラビットも同様に毛皮を目的に、多くの冒険者や狩人に狙われ、その際は森の全ての兎がキラーラビットに進化し、一つの街を襲い少なくない被害を出したという話もある。
そしてゴブリンの場合……多くはゴブリンリーダーや、ゴブリンジェネラルといった特殊個体が群れを率いて村を襲う事がある。
襲われた村はそのままゴブリンに乗っ取られ、新たなゴブリンの巣となるのだ。
ちなみにゴブリンリーダーの推奨討伐ランクはD級、ゴブリンジェネラルはC級3人以上のパーティとされている。
過去最悪のゴブリンの起こした事件は、たかがゴブリンに1つの国が落とされた事がある。
それこそ、ゴブリンを根絶やしにしようと考えた国が、ローラー作戦によるゴブリン殲滅を試みた結果、キングゴブリンが誕生した。
同時期に残った群れのリーダ全てが、ゴブリンジェネラルに進化した。
それだけならまだ騎士団で対応出来たのだが……最悪な事にそれと同時に種族進化も発生したのだ。
結果全てのゴブリンがホブゴブリンへと進化し、たった1000体のゴブリンの群れに国が落とされるという最悪の事態に陥ったのだ。
ちなみにその時のゴブリンキングは、今はゴブリンエンペラーにまで進化し、ゴブリンながら魔王の一角として今も北の果てに住んでいるとの事だ。
同時にホブゴブリンはさらなる種族進化を遂げたとか。
エンペラーにまで進化した種族は、この世界ではゴブリンだけだが、これがオークや、オーガであったならと周辺国家を震え上がらせた。
まあ、魔王とはいえ種族進化と特殊進化のお陰で知性が著しく上がったそのゴブリンの一団は、周辺国家と和平を締結しているらしい辺り、悪い事だけという事でも無いようだが。
っていうか、この魔王本当に優秀だったりする。
他の地にゴブリンキングが生まれたら、協力を惜しまず配下に加えて連れて帰るか、討伐してくれる。
なんでも自分達をネオゴブリンと名乗っていて、もはやゴブリンとは違う種族だと主張しているらしい。
実際の所、耳が尖っている事と、赤黒い色以外見た目も人間にかなり近いらしく、性格も野性味が取れているため、割と文化的で大人しいとの事だ。
ただ、個々の身体能力はゴブリンどころじゃない……オーガすら単体で倒してしまう。
幸いな事に寿命も300歳近いらしく、繁殖力が低いので数はそこまで増えていないが。
ちなみにエンペラーは既に700歳を超えているとの噂だ。
そして年老いたネオゴブリンの知識は英知と呼ぶにふさわしく、食客として国に招かれる事もあるとか。
北にあるノーザリア国の学校の歴史学の先生はネオゴブリンらしく、彼は人間を嫁に迎え入れてその国に帰化したのは有名な話だ。
まあ、人間より遥かに寿命が長いので、すでに3人目の後妻を娶っているらしく、玄孫までいる。
またネオゴブリンと人間の子供はちょっと寿命が長く、身体能力が高い程度で概ね人間という事らしい。
ハーフと人間の子供は、もう完全に人間よりになるらしいが。
っと脱線してしまったが、今の話を考えてもゴブリンリーダー、もしくはジェネラルくらいなら居てもおかしくない。
「なあ……ギルドがこの状況で、この仮説に至らない事ってありえるのか? ……だとしたらネクストフォレストのギルドはかなり質が低いって事になるが」
「いや、それはまず無いだろう……」
「じゃあ、知ってて俺達に依頼を受けさせたって事だな。この依頼普通に張り出してあったのか?」
カナタの言葉にアレクがハッとした表情を浮かべる。
「いや、掲示板の前で依頼を物色してたら、一人の若い男が勧めて来た」
「ふふっ……って事は、間抜けなギルドじゃなくて、鼻持ちならないギルドって事だな。やってくれる」
出会ってから初めてカナタが不快そうな表情を浮かべている。
「いや、もしかするとお前らの昇級って可能性もあるか……なら、すでに減点1だな。まあ、その可能性は殆ど無いだろうけど」
「どういうこと?」
カナタの言葉に対して、カバチが疑問をそのままぶつける。
ナイスカバチ! 私も、カナタの言ってる意味が分かって無いから、恥を搔かなくて済んだわ。
「この依頼を受けた時点で、情報不足って事だろ? 本来なら、ギルド職員に対して難易度の上方修正、もしくは偵察に内容を変更申請すべきだったって事」
カナタの代わりにアレクが答える。
くっ……久しぶりにアレクの得意気な顔が腹立つわ。
「もしくは……俺の身辺調査だろうな。くそっ! レイクポートで目立ったカナタって奴のせいさ。まあ、あっちは28歳らしいからな、いくらイースタンとはいえ、どうみても俺28に見えないだろ?」
「確かに……私達と同じくらいか、もしくはイースタンって事を考えても18歳くらい?」
「今年15歳になったばっかだよ」
確かに、どっからどう見ても28には見えないわ。
「取りあえず、村長に会って詳しい話を聞こうか。というか、本当にゴブリンジェネラルが居たらどうする?」
「一旦帰る……しかないよね?」
カナタの問いかけに対して私が質問すると、カナタが満足げに頷く。
また子供扱いされた気がする。
というか、同じF級なのになぜか凄く見下されている感じがするのは何故だろう……
「正解だけど、一つ手が無い事も無いけどね」
「どういう事?」
「ん? 昨日の飯屋のおっさんに付いて来て貰えば、なんとかならないかな?」
こいつは馬鹿だろうか?
一般人を守る冒険者が、一般人に護られてどうする。
とも思ったが、事実もし飯屋のおじさんが付いて来てくれたら、ゴブリンジェネラルくらいなんとかなりそうな気がしたのは内緒だ。
――――――
「良く来てくださいましたね」
村長の家に行くと、これまた筋骨隆々なおじさんが応対してくれる。
どうやら、この人が村長さんらしい。
というか、イメージと全然違ったわ。
村長っていうと、でっぷりと太っててニコニコしてるおじさんをイメージしてたけど。
目の前のおっさんは浅黒く日焼けしていて、白い歯が特徴的なマッチョマンだ。
応接間に案内され、依頼内容について再度確認を行い軽く打ち合わせをする事にした。
というか、お前と飯屋のおっさんの二人で行って来いと言いたくなったが。
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