愛に飢えてる化け物は運命を拒絶する

ユミグ

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「バーナビー!ルーシャン!」
「「ヒナノ!」」

抱き着いちゃえ!なんて思いながら突進したら、私より早く二人が抱きしめてくれた。

「大丈夫か?」「私たちがいるからな」

ほら。
ここにも愛があるよ。
騙して得られた愛でも、これは本物の愛だ。
ちゃんと気付けよ私。

「……二人とも大好き」
「くっくっ…私もだ」
「好きだぞ」

可愛い二人に抱きしめられているこの場は、なんと…!パジャマパーティー会場なのです!
といっても、あの愚かな披露目の日を跨いで、そろそろ朝になりそうなんだけどね。ご丁寧にパジャマを着てくれてる二人は仕事を抜け出してきてまで、遊んでくれる。
数時間後には仕事するらしい。
お疲れ様だよ。

あ、流石に二人の寝室ではなく、客間を整えた部屋で開催されてます。

「嫌な思いをさせた」
「大丈夫だよ、バーナビーこそ大変になっちゃったでしょ?ごめんなさい」

天使が嫌い!なんて、声高らかに伝えたせいで、仲が悪くなってしまったら…。

「いや、むしろ助かった」
「そうなの?」
「ああ、元々…」
「あー!違うのー!」
「は、はい!申し訳ございません!」
「「?」」

寝室のテーブルにお菓子やらケーキやらお酒を乗せる側仕えに声をかけた。

「違うの!パジャマパーティーはベッドの上に置いて、クッションたくさん……もおお!私が整える!これじゃない!可愛くない!二人共一回退いて!」

空間収納からクッションを取り出して、ベッドに敷き詰めて、側仕えが持ってきてくれた全てを浮かして置いて、固定出来る魔法陣を目に見える形で出して、と。うん!これで安定するって分かるでしょ!

「どうだ!」
「ふっ、良いパーティーだ!」
「でしょ!でしょ!」

パジャマパーティーらしく、緑茶を淹れて二人に渡すと、先にバーナビーが説明してくれた。

どうやらあの愚か、喧嘩2国という名前が定着している一国の王で、鱗を飲み込み強い力を手に入れた愚かは国を脅し、次代となるはずだった子を殺し、地位と名誉と金を手に入れた、ただの小悪党だったらしい。
まぁ、そんな風にいいようにされちゃう国もどうかと思うけどね。
喧嘩2国である、もう一国の王があまりにもおかしいと探りを入れた結果、そういう情報がわんさか入ってきたと。
そして………

「だからお二人は子を授からなかったのだ…」
「バーナビー…」

バーナビーには兄が存在すると、調べではそう書いてあったと。
だから、情報を渡してくれた国と協力して潰そうとしていたところに、私のあれだ。
そして、神を怒らせた小悪党は既に存在せず、潰す事もしなくて良くなった。が、それだと、真相はいつまで経っても分からずじまい。
バーナビーの兄がどこに居るのかなんて…

『悪魔ー』
『なあに?』
『弱い奴そっちに行ったー?』
『いるよー、くるー?』
『ううん、収納から全て取り出して』
『いいよー、むくろの束に置いておくねー』
『ありがとう』
『大好き』
『私も』
『………?』

これでいいか。
小悪党が卵の殻を今でも持っているか分からない。
けれど、人間は収納の掃除をしない。
空間収納に入れっぱなしが多く、忘れている物も多い為、器が入れ替わる時に一度まっさらにしている。
それほど多いのだ、無駄が。

「バーナビー」
「ああ」
「場所が欲しい」
「ん?」
「小悪党が空間収納に入れていた全てを置く場所」
「「!?」」

なんとも簡単な男だ。
鱗を4つ吐き出したあの小悪党は、悪魔が相手をする程の者じゃないんだろう。
弱く、痛みを避けてきた人間はこんな数分で情報を吐き出した。
死なないように首輪でも着けておくか。
これならいくら壊しても修復されるから、弱い悪魔の教育として役立つでしょ。

「な、なぜか聞いても?」
「さっき来てくれたゼトスがいる?って聞いてきた。欲しい?」
「わ、わか、そ、それ、はなしっ、」

ううん、さすがになにを言いたいのか分からないよバーナビー。

「用意させる」
「うん」

神絡みは全てルーシャンに聞こう。うん。

という訳ですぐに部屋の確保をしてもらったのはいいんだけど、その部屋じゃ足りないと伝えて、どれくらいの広さが必要か正確に話した後に連れて行かれた部屋には、喧嘩2国の片方、ヴァジススト国王、グレダ・カーシュが待っていた。

「だからくせぇって言ってただろ」
「主様、もう少し黙れますか」

鬼人の王は、赤い角に赤い瞳と水色の髪色をしていた。うん、さっき見たんだろうけど、忘れちゃってた。

この人が小悪党の持つ情報を優先的に持っていくらしい。
というより、欲しいなら全部渡すよー、その代わりなにかあった時はこの国に協力してねー。なんてやり取りがあったそうです。

「いい、声を……か、かけ、んっ!かけてくれ」
「はあい」

バーナビーは神への愛が凄いな。

「「「「!」」」」

この山というか、一応、遠隔で整理整頓して並べられるようにしてたんだけど、あまりにも無駄が多いというか…。腐ったご飯は何に使うんだよ。なんて思いながらコソコソと悪魔世界に置いてあった荷物を整頓してた。途中、側に居る魂を確認して悪魔たちにも手伝ってもらったんだけど、間に合わなくて中途半端になったこれらを今から仕分けするのも大変だろう。

「ルーシャン、私もう平気?」
「ああ、休め」
「ううん」
「どうした?」
「手、繋いで?部屋の外まででいいから送って欲しい」
「ふっ、もちろんだ」

やっぱり子どもに見えてるらしい。
バーナビーたちにばいばいして、部屋の外までルーシャンに送ってもらった。

「「…」」

うん、離した手の中に空間収納にあった卵の殻を渡しておいたからねー。ちなみに卵の殻!だからね?一応、小さな袋に入れておいたけど、そのままぐしゃっ!とすると、見るも無惨な残骸になるからね?今もぐしゃぐしゃだけどね?

「おやすみなさい」
「ありがとう、おやすみ」

そうだ、報告、報告。

『闇の』
『………は、い』
『あの人間は悪魔に預けた、寿命尽きるまで拷問を受ける』
『かしこまりました』

これでいいでしょ。

「寝る?」
「う……ううん、お披露目するでしょ?」
「…」

リンジーが聞いてくれるけど……あ、あれ?

「リンジー!」
「うん?」
「リンジーこそ休まなきゃ!一体何時間起きてるの!」
「………ふはっ!それ、お、俺の、せ、せりふっ、あはははっ!」
「笑い事じゃないよ?」
「あはははっ!」

いや、笑い事じゃないんだって!
今この場に居ないディアブロが起き続けられるのは理解してるけど、リンジーはこんなに長く起きてる時ないよ!?グロリアはちゃんと寝たよ!?多分!

「ヒナノは、ふはっ!この1年で一回しか寝てないでしょ?」

1年経ってた事に驚きだよ。

「私は寝なくても平気だよ?」
「知ってる。でも休まなくちゃ」
「……ううん」
「ヒナノ」
「んーん、そうじゃないの。今が休息中なんだよリンジー。たくさん愛を貰って、愛に気づける場所。まさにこの世界が私の休憩場所になってるの」
「………そっか」
「うん、ありがとう」
「こちらこそ」

キラキラな瞳で見てくれるリンジーは、立ち上がったと思ったら…何故か紅茶を淹れ始めた。

「いいの!じゃぁえっと、寝室に行くから!側仕え今はいらないの!」
「くすくす、分かった。代わりを呼んでくるから待ってて」
「ちゃんと寝れる?」
「少しだけ寝て、明日ちゃんと寝る」
「約束」
「約束」

本当はゼトスに会いに行って、話をしたいけど……。
私は天使様。
出来る事があるならば全うしよう。

私を愛してくれる人達の為にも。

そして、私自身の為に。
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