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しおりを挟む結局俺が城に帰れたのは6日後。
おかしいよな?おかしいだろ?あの日に帰れたはずの俺はほとんどベッドに居たんだよ。
起きたらな?まぁ、ちょっと腰が重いくらいか?でも、そんな重さがある体で長時間歩くのは無理があるからって1日伸ばしたんだよ。お父さんが介護のようにテキパキと動いて色んなことしてくれるから快適ではあった、快適だったけどなんでかその日の夜、またヤったんだよ。おかしいよな?だってヤりすぎて家から出れねぇって言ってんのにまたヤる意味が分かんないよな?「優しくするから」とか言われて頷いた俺も俺でどうかと思うがおかしいよな?結局、優しいは優しいけど何度もヤったから当然、次の日も延期した。んで、やっと帰れるってなったのが今日。つうか、来たんだよ。俺の家に。お父さんの従者って人が。気絶するように寝てた俺は知らなかったけど、そろそろ仕事に戻れって言われたんだと。それもそうだよな。だって魔王なんだ、王様っていうのは色々とやることがあんだろ、だからそう言われて当然だ。むしろ言いに来てくれて助かったよ。俺、このままじゃ一生帰れなくなるところだったから。んで、やっとお父さんとなんでか手を繋いで森から出たんだ。愛着もあった家から離れる寂しさなんてなくて、むしろやっと帰れるなんて思いで家を出た俺たち…お父さんを待ち構えてた人が…じゃなかった。人達が居た。
「魔王様!こちらにサインを!」
「こちらにも!」
「連名になっておりますのでこちらにもサインを!」
森から出たら人が大勢居てビビった、何なら今もビビってる。
お父さんは当然みたいな顔で書類を受け取った後、スラスラとサインをいくつかしたらどうしたらそんなに顔を怖く出来んの?みたいな表情になった。
「息子を驚かすな」
「「「「「「「申し訳ございません」」」」」」」
いや、むしろこっちの方が驚くよ。お父さんの低い声の方が驚くよ。しかも怖いよ、想像上の魔王くらい恐ろしいよ。そりゃ魔王様って呼ばれるのも当然だよな。
「レオカディラ、馬車には乗れそう?」
乗れなくても乗るしかないだろう。というか運転する訳じゃないんだから軽々乗れるだろう。
結界を壊したからすぐに帰って城から魔法陣を展開しないといけないから早めがいいんだから乗れなくても乗るしかないだろ。
「………馬が可哀想」
「じゃぁやめておこうね」
確かに食べる為に動物を殺しちゃってはいるけど、こう、なんていうか仕事させるのが可哀想と思っちゃった俺は馬車に繋がってる紐を解いてから乗り込んだ。
「?レオカディラ、どうしたの」
「どうって帰るんでしょ」
「……馬車は馬がないと動かないよ」
「浮かせばいいじゃん」
「へ?」
「乗って」
「う、うん」
お父さんの手を取って馬車に入れたら浮遊の魔法陣を展開して動かした……はいいけど、場所が分かんねぇや。ていうか浮遊の魔法陣で俺自身を浮かしてみたい…けど無理なんだよなぁ…不安定なのか知らないけど上手くいった試しがない。
「…………どうやって」
「道が分かんない」
「………う、うん、先導してる人達に着いて行ける?」
それならとバードウォッチングの魔法陣を展開して馬車内で見れるように配置しておけば大丈夫だろうな。
「……………レオは凄いね」
どこがだ?
「ふふ、楽しみだね、帰れるの」
で、俺そこで気付いちゃったんだよ。いや、気付いちゃったっていうかいつもの研究癖が出ちゃってさ、確かに俺自身を浮かせることは出来ないんだけど乗り物に乗ってるなら浮かせるんじゃね?って考えて浮遊の魔法陣をもう少し浮かして、ていうか上空まで浮かしてみたら上手くいった。そうじゃん、空飛ぶ車をなんで想像出来なかったんだって思ったけど、そもそも記憶が戻ったのが最近だからしょうがないよなぁ…と納得した。
「レ、レ、レ、レオ!?」
「?」
「うい、う、浮いてる!」
そりゃ浮遊の魔法陣施してるし。あ。道案内してる人は着いてこれないよね、馬を浮かすのは無理だし。
「お父さん」
「うん!?」
「お城ってどこ?」
「う、うん、ちょ、ちょっと待ってね?し、……下を見る余裕ができたら教えるね」
そういう訳でバードウォッチングの魔法陣は消してお父さんの案内を待ってた。
かなり時間がかかったけど、やっと案内してくれた道通り…というか雲通りに進んでたらそれはそれはもうご立派な……うん、ご立派でお父さんのイチモツを思い出すのはやめるんだ、愚息よ。
ご立派なお城が立っていた。馬車70個分くらいの大きさがあるお城は上から見ても人がたくさんいた。同じ制服を着て立ってる人やお父さんみたいに高そうな服を着てる人も。それを見てビビった。ていうかビビりすぎて馬車を地面に置くことができなかった。だって今からそこに行くんだろ?人がいっぱいの場所に。つい最近まで生涯1人が確約されていた俺にとっては結構恐怖する眺めがそこにあった。
「レオカディラ?」
「……………こわい」
「なにが怖い?」
「ひと」
「そっか、じゃぁここに居よう」
いや、それもそれでどうかと思うぞ?お腹だって減るだろうし眠くもなるだろう。お父さんを待ってる人だって大勢居るのにずっとここに居る訳にはいかない。迷惑がかかる。
「大丈夫?」
そろそろ~っと馬車を降ろして地面に到着させた。
「少し待っててね」
そう言うとお父さんが外に出たけど一緒に着いて行く気はない。馬車を人が多いところに置いたことで気力は使い果たした。
しばらく待ってると馬車の扉が開いてそれにもビビったけど、お父さんだけ入ってきたことに安堵しながら硬直した体を楽にした。
「レオカディラの部屋の窓を開けておいたからそこから入ろう」
どうやら気を使わせてしまったらしいが素直に受け取ろう、受け取ることしかできない。
「あっちに進める?」
そう言われ迷わず指差された方向に進んでいくと確かに窓が開いているバルコニーが見えた。バルコニーだぜ?そんな単語、心の中でも言うと思わなかった。
「ここから降りるんだけど…行ける?」
バルコニーの柵に足を着いて床に飛び移るという危険な行為が待ち構えているのを忘れていたが、ここで拒絶して人が多い場所を通るなんてもっと無理だと勇気を出して柵に足を置いてぴょんっと飛び降りた。
「じゃぁ僕も」
そう言われて焦った。初めて会った時のように転ぶ可能性がある。きっとそういうところはおっちょこちょいに違いないと思い、腰を上げようとしたお父さんが乗ってる馬車を3階下の地面に降ろした。
その後すぐにキョロキョロとしながら馬車から出たお父さんに安堵しながら俺の部屋に入った瞬間、驚きで固まった。
いや、分かってたよ?だって魔王だもんね?俺、魔王の息子になっちゃってるんだもんね?それならこの広さも当然だよね?むしろこんな狭い部屋で!なんて罵る悪役になっててもおかしくないほどの立場だもんね?でもさ、あまりにデカすぎるぞ………俺の家よりデカい……むしろこんなにいるか?なんならここにキッチンを置いて欲しい、あと作業部屋も。そうしてくれてもまだ余るけどな。
コンコンコン。
びっくぅぅぅぅぅ!!!
おおおお、驚かせるなよ!扉のノック音なんて聞いたことないんだからな!?いきなりノックするなよ!せめて扉の下から手紙を差し入れて「これからノックします」って書いて送ってからにしてくれ!
「レオカディラ、入ってもいい?」
なんだ、お父さんか。驚かせないでくれ。切実に、頼む。
そして勝手に入ってきてくれ、その大きな扉前まで行ける気がしないからな。
「レオカディラ、大丈夫?」
大丈夫ではない。辛うじて……だ。
「魔力もたくさん使っちゃったでしょ?少し休もう」
そう言われて思い出した。結界のことを。
「どこを入り口にしていい?」
「今日はやめておこう、しばらくは魔力回復に努めて?」
「?ほとんど減ってない」
「え?」
いや、普段もあんま減らないけど今日は結界に魔力を流していないからもっと減ってない。なんなら満タン気味だ。
「でも、馬車を浮かせたり結界の消滅でたくさん使ったでしょ?」
「少量だ、いつもより減ってない」
「……………隔離しておいた方が利用されなくていいか?」
「なに?」
「………ううん、どこでもいいよ。レオがしたいところでいいんだ」
それならこの部屋から流せるようにするか。
結界の魔法陣を展開していくけど……確かに魔力が減っていくな。忘れてたわ、補充じゃなくて一から魔力を流すんだからそりゃみるみるうちに減っていくよなー、なんてぼーっとしながら結界を完成させた。
「お腹減った」
「………ほんとに………こんな短時間で………」
お父さんはたまにぶつぶつと喋るな。もう少し大きな声で喋ってくれねぇか?聞こえないんだよな。
「あ、ごめんね、すぐ料理を持ってくるから」
ていうかこれからどうすんだ俺。魔王の息子ってなにしたらいいんだ?あれか?悪逆非道なことばかりしてみるとか?………いや、怖いよ、俺。やめておこう、俺。
「レオカディラ」
傾いていた顔を持ち上げられて目線が合った。
「おかえり」
まぁ、どうにかなるか。
「ただいま、お父さん」
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