化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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「どこ行くのー?」
「洋服見に行くの」
「洋服………んー…んー…」
「ふふ」

リンジーに支度を整えてもらっている横でライがゴロゴロしながら洋服について考え始めた。
洋服着ないもんねぇ。
帽子なら似合いそうだけど、ライならすぐ失くしちゃいそうだもんねぇ。可愛いけどね。

「リンジー洋服見た、駄目!アルフは近寄っちゃ駄目なの!」
「「「…」」」

どうやらライは誰かに何かを聞いたらしく、それをどう解釈したのか分からないけど。

「ヒナノはライの!」
「「「…」」」

母親を取られると思ってるみたいだ。
私としては助かるけど……

「ライ」
「なあに?」
「どうしてアルフは近寄っちゃ駄目なの?」
「だってライと遊んでくれなくなるって!」
「私が?」
「うん!だから駄目!」

確かに伴侶となったら、寝室に突撃出来なくなるから合ってはいるな。

「でも、アルフも私と遊びたいのかもしれないよ?」
「んー…んー…」

会えなくなるのがやだ!なんて思ってくれてるのは嬉しいけど、ライが駄目と人間に言っちゃうと命令になる。
キラキラしているという事は、そういう事だ。
望む望まないに限らず。

「アルフも遊びたいの?」
「……伴侶になって欲しいと思っています」
「「…」」
「伴侶になったらライの事追い出すんでしょ?」
「「「…」」」

そんな事はないよ。
とは………言えないよねぇ。

「そうだ、私に伴侶が出来たらその時に考えよう」
「分かった!」
「アルフは伴侶じゃないから追い出す事しないよ」
「そっか!ならいいよ!」
「………ありがとうございます」

伴侶になったら邪魔しちゃ駄目。とでも言われたのかな?

「ライ様も一緒に行かれますか?」
「うん!洋服見る!」

退屈だと思うよー?
なんならアルフを連れて遊びに行ってくれたりしないかなぁ?

「応接間に転移しますね」
「「はあい」」

今日の私は自分の物ではなく、貰った服だからリボンなんかは付いていない。
可愛い軍服だ。
応接間に着いたらすぐに連絡して、転移ではなく歩いてここまで来るんだって。
外部の者達は魔法使用禁止を命じられているらしい。

「そうだ!シュワールも遊びたいって!」

氷のが言ってた人間か。
会いに行けたのかな?

「今度遊ぼうね」
「うん!うん?今度っていつ?」
「シュワールに会ったら聞いてみて?」
「分かった!」

出来ればこんなに人がいるところで話さないで欲しいけどね?

「可愛いよおおぉぉぉ…!」
「んへ」

私の事情にライは関係ない。
のびのび遊んでおくれー。

「ヒナノ、私もいいか?」
「バーナビー!嬉しい!遊んでくれるの?」
「ふっ、それは今度にしよう」
「今度っていつ?」
「すぐに落ち着くから待っててくれ」
「うん!」

バーナビーが転移して応接間に来た。
ルーシャンに洋服プレゼントしたいのかな?
私もプレゼントしちゃおうかなぁ?
久しぶりに洋服作って…せっかくだからエロエロにしちゃう!?

「神獣様もお久しぶりです」
「む!ライだよ!」
「それは失礼しました、ライ様」

バーナビーは動物が好きみたい。

「こちらはいかがです?」
「あぐっ!んー…お母さんのご飯がいい!」

甘い物を取り出して餌付けしてる。
私のご飯がいいって。んふふ。

「お母様がいらっしゃるのですね」
「ふふん!」

ぽすぽすと口に肉球を当ててはやめて、また当てるのは私の事を言いたくてたまらないんだろうなぁ。

「ライはいい子!なんて可愛らしいのおぉぉぉぉ…!」
「んへ…んへへ」

ライの毛をわしゃわしゃと撫でてると……

え?

嘘……

「イ……ヒナノ?」

近付いてくる…


運命が。


運命は1人じゃない。

この世界にも数人いるかもしれないし、アルフだけかもしれない。
それは私だけに限った事ではない。魂がある者なら誰にでも当てはまる。
世界を渡れば多分、数百は居るんじゃないかな?
でも……
なんで今なの?
私が“気付いた”……ううん、憶測で思っている事を考えている中、現れるのは…

必然?

それとも……

「ヒナノ?」
「うん…」
「大丈夫?」
「………」

ライは私の不安を嗅ぎ取ったんだろう。
ふんふんと、鼻を私に押しつけて心配してくれてる。

「いらっしゃいます」
「通せ」

バーナビーの声で開けられた扉の先には……ライのキラキラも相まって深々とお辞儀をする獣人2人。
私の運命は緑の髪に緑の耳とふさふさな尻尾、伏せていて分からない瞳の色はきっと……

「顔を上げろ」

金色だ。

イヴとアダムは交換こしたみたいな色味。
イヴは金の瞳に赤のくるくるとした髪。
アダムは赤の瞳に金の髪。
今の私は器の変更をしたから、イヴの姿ではないけれど、初めての肉体はそんな色味。
そして、アルフの髪色は金色で瞳は緑。
目の前にいる獣人の髪色は緑で瞳は金色。
まるで2人の色味を交換こしたみたいに。

「天使様、王様にご挨拶を申し上げます」

獣人だからなのか、匂いも放っていない私が運命だと、ツガイだと、なぜだか気付いている。
でも、この場で駆け寄って来ないのも、私の事を射抜くように見つめる瞳で愛を伝えてくれているけれど…

「カルレー商会代表をしております」

知ってるんだ。
私が運命だと。
でも…獣人は匂いで運命を嗅ぎ分ける事が多い。
今の私に匂いはなく、魔力だって隠しているのに…。
どうしてか知ってここまで来た。私を追ってここまで…

「ロイド・シャノンと申します」

入り込んできたんだ。
どうにかして近付こうと画策して。

「座れ」
「「ありがとうございます」」

アダムの夢をアルフの胸の中で見た。
そして思った事があるんだ。
アダムがもしも、楽園にいた頃のように、快活なままならアルフみたいになってたのかな?って。
再会した時には、きっと何十万年と経っていて、見つからない私にきっと疲弊して、疲れてしまったアダムになってしまったんだろうけれど…。
もし、楽園にいた頃に、私に感情があれば、アルフのような感情が表に出るような人になってたのかなって。
私は人を創る事が出来る。
魂を意識的に生み出す事は出来ないけれど、器となる肉体を創る事は可能だ。
アルフは人間、私が無意識に意識して器を創った形跡も見当たらない。
ただの人間。
目の前の彼もそう。
アルフは人間で、人間の親から生まれ、人間として生きてきた人生がある。
だから性格が違う部分もあるけれど…
思っちゃったんだ。
生まれ変わりなのかも。って……

そうしたら、彼は…

「見せろ」
「かしこまりました」

果実の…リクの生まれ変わりかもしれない。
私の伴侶になってくれたリクなのかもって。
床に座っていた私はソファに座り直して、ライの顔を膝に乗せて撫でている。
彼から視線は一度も外さずに。

「王様のご依頼の品でございます」
「ふむ…」

やっぱりルーシャンへのプレゼントなんだと思っている私は我慢出来なくて口を開いた。

「愚かな人間と無駄な時間と行動出来ない者が嫌い」

リクが嫌いな事柄を、確認のような気持ちで問う。

「っっ、……私の事でしょうか、天使様」
「うん」
「……おっしゃる通りでございます」

知りたかった事は聞けていない。
ずっとずっと、リクに聞きたかった。
私が私を思い出す前から傍に居て、取り込ませる為に色々と画策しながら愛を伝えてくれていたリクに聞いてみたい。
私を騙しながら生きてたリクはきっと我慢してた事もたくさんあったと思うの。だからね?正しさを捨てられたら、教えてくれるって信じて待ってたんだよ。
「我慢をしなければ、どんな行動を取る?」
聞いてみたい。
でもそれは、リクの答えではなく彼の答えだ。

「ヒナノへーき?」
「うん、大丈夫だよ」

ライを撫でて無理矢理心を落ち着かせる。
彼がどうやって運命だと知ったのかは分からない。
でも分かる事もある。
今、私は、彼に見定められている。
運命だとしても嫌いな人間を愛したくはないと。
きっとそう思ってる。
私を見つめる瞳の中には愛情と、偵察のような伺いが見える。
愚かで馬鹿な人間を好きになりたくないと、そう思ってると……憶測だけれど……そうであって欲しいという願いもあるけれど……そう信じられる瞳の動きをしている。
私は擬態が得意だった。
か弱なヒナノちゃんを演じる私は人と接しなくなって随分と経つ。
だから色々と粗雑な性格になってしまったけれど…
機敏を読み取るのは今でも得意だ。

「バーナビー」
「どうした」
「その奥の服は似合うと思う」
「ふむ…それを」
「かしこまりました」

彼は商人なんかじゃない。
隠してはいるけど、高い魔力量に、淫魔の匂い、横にいる獣人の男の匂いと、血の匂い、錆びついた匂いも少しある。
右に重心をかけているのは左のふくらはぎを負傷しているから。
指先の動きは滑らかで、布1つ取るにも注意を払うこの男は密偵か、情報収集を主としている職業をしているんだろう。

でもなんでだろ?
なんで匂い消さないんだろう?
そういう薬草もあるし、高価な物ならきちんと消えると書物に書いてあった。
獣人なら尚更匂いに敏感なはずなのに。
あれれ?
そういえば護衛の者達の中に2人、獣人が居る。
血の匂いは気にならないの?王様と天使様の前なのに?
あれ?
私が強くなってるのかな?
んん?

「変えてくれ」
「どのように」
「襟をもう少し鋭く出来るか?」
「お任せ下さい」

ふむ。

「私が二人にプレゼントします!」
「ん?」
「バーナビーとルーシャンに服をプレゼントするの!」
「ふっ、楽しみだ」
「ライには帽子が似合うかなぁ?」
「ライも着るのー?」
「ふふ、違うよ。頭に乗せるの」
「わあ!それなら苦しくなさそう!」

氷のと、氷のの友達の分もお願いしようかな?

「あのね……」
「ん?」

どうやら秘密を言いたいみたい。
口にぽすぽす肉球を当ててるから、脳内に直接話しかける。

『どうしたの?』
『んー…んー…んー!!!内緒なのー!』

どうやら私に内緒事が出来たらしい。

『困ったら言いなさい』
『んー…んー…んー…んー!!!!』

我慢は大変だねぇ。

「私もなにか送ろう」
「あ!それならお願いしたい事あったよ!」
「なにがいい」
「3人で一緒にパジャマパーティーしたい!」
「ふはっ、どんな事をするんだ?」
「ベッドでね?お菓子たくさん並べてー、リンジーの淹れてくれた紅茶を飲んでー、どうでもいい話をしながら寝ちゃうのー」
「言っておこう」
「わーい!」

リクはコーヒーが好きだった。
あ、あれ?コーヒーないな?
なんでだろ?あってもおかしくないよね?だって色んな食材や飲み物もあるのに、なんでコーヒーだけがないの?
んー?
【黄金の光が降り注ぐ時黒き実りはなくなり緑が生えた】
これかなぁ?
歴史書にあった記述がコーヒー?
でもなんでなくなっちゃったの?
光…光…

「これを」
「かしこまりました」
「ヒナノ」
「うん?」
「私はもう行く、必ず遊べるようにするから待っててくれ」
「はあい!お仕事頑張ってねー」
「ふっ、もちろんだ」

次は私のば……ん……
ううん、どうやら彼には私が馬鹿に見えたみたいでちょっと軽蔑してるぅぅ。
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