巡る旅の行き着く先は終焉と呼べるのか

ユミグ

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淫魔編

5-48

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私は私が愛する世界への戻り方を知らない。

獣王として召喚された世界には100年程居た。
そこから召喚され続けたんだよね。
といっても前みたいなのじゃない。
1年で殺される事はなくなって様々な世界を楽しんだ。

そしてデズモンド様を探す。

見つからなかったけどね。

召喚されてなんでかすぐに求婚されて当初の目的とは違う事になったり、魔王を倒して来いとかいう馬鹿が居たから魔王と呼ばれるただの人間に力を貸したり、そこに居るだけで幸福を呼ぶと言われた世界では同じ場所にずっと居たり、黒目黒髪を信仰の対象として崇め国を強固とする国もあった、すぐに逃げたけど。

そうやって数百とまではいかないけど召喚され続けた中変化があった。

私の変化。

何故か枷がつくようになった。
目が見えなくなったり、喋れなかったり、記憶喪失になったり…
1番不味かったのは魔力が一時的に消滅した事だ。
あれはヤバかった、死ぬかと思った、生きてるけど。
魔力が消滅しなくても少しの魔力しか一時的に保有出来ない場所もあった、あの世界は良かった。
拷問された、実体験が出来たお陰で気持ちが分かったから、その後召喚された世界では拷問に力をいれて取り組んでみたりしたけどあれはいい。

私は何十と召喚され魔人も獣人も居る世界に行ったけど私をツガイだ!なんて言う人は居なかったから存在しないと思ってた。

だけど居た。
獣人が私のツガイだと言ってくれたんだよ。

最初は魔力がなくて言語機能も失って分からなかったけど、獣人にとって私は香しい匂いだから囲ってるのだと思ってたけど、言語を勉強したらそんな事を言われたからびっくり驚きだ。



愛したよ。
その時の私で精一杯愛したけど、また300年程経てば召喚されての繰り返し。

魔法も上手くなった、陣にもなんとなーく流せるようになったけどまだ下手くそ。
陣はまだまだ練習が必要。
体の治し方も上手くない、というか壊滅的。
魔法は無詠唱だけが上手くなっていく。
想像力が豊からしい。





私が召喚されてから4773年が経った。
私の友人達は焦れたらしい。

ふふ、私が居なくて心配してたんだって。

バチバチバチバチと私をいつものように取り囲む陣に今で良かったと思った。

いいタイミングだ。

「なっ!?罪人が逃げるぞ!」
「なにをした!」
「んふふー、ばーかばーか」
「くそっ!ガキが!」

ちなみに信仰する世界もあったけど、ほとんどが私を子ども扱いします。
とってもとってもガキらしいです、うぜぇね!

それと一時的になくなっていた魔力や視力なんかは大体1年程で元通りになるけど、服装や怪我は召喚されてもそのままだったりする。

今の私を運ばれてる、昔とは違う召喚にも慣れてきた。

ピアスはいくつか無くした。
魔法がなくて取られたから。
懐中時計もなくなったからまた作った。

無くした物はたくさんあるけど、心はいつだって愛を持ってる。



また何処かへと召喚される、美味しくて楽しい世界だといいなぁ…



*********************************



「なっ!?ヒナ!なんっ、風の!」
「うん」
「んえ?」
「とりあえず海ののワンピースでいーい?」
「んん?」
「ぅぅ…」

目を開ける前に聞こえてきたのは友人達の声。
下着姿で拷問されてた私の魔力を確認してみるけど、うん、元通りだ。
召喚されても元に戻るらしい。
また1つ知れた。

「ヒナ!ヒナ!」
「わっ!海の!っっ、大好きだあああああああ!」

どうしてか海のが抱き着いてくれてるぅぅ!
なんのご褒美!?これなんていうご褒美ですかぁ!?
ありがとうございます!もっとして!

ん?人間もたくさん居る。

そういえば召喚され…

「あれ?なんで?帰って来れたの?」
「っっ~!この阿呆!」
「わっ!な、なにしちゃったかな?あ、お尻が」
「やめええええ!」
「う、うん」

贈り物全部使ったのかな?でも大丈夫!安心して!

「いっぱい作ってきたの!海のに似合う洋服とー、たくさん!あと飲み物も美味しいのあったからいっぱい取ってきた!」
「…阿呆が」
「うん?」

なんでかもう1度抱き着く海のと、私が出したたくさんの布やらをすぐに仕舞う風の、眩しそうにして今にも死にそうな土の。

「んふ、んふふ、帰って来れたぁ…会いたかったんだ海の、とってもとっても会いたかった!大好きだよ」
「余も好きじゃ」
「…」

なんてことでしょう!?なんてことだあああああ!こんなにすんなり好きを頂けるなんて!!!

ぐはっ…!やられた………

「海のに土のも風のもただいま!たくさん話したい事があるんだよ!海のの緑茶が飲みたいなぁ?」
「ぐすっ、分かったのじゃ」
「ごめんね」
「阿呆」

心配かけてしまいました。
いいタイミングだと思ったけど、まさか海のが居るとは思わなかったから、とても最悪なタイミングだったね。

私を一瞬で治してくれた風のも少しだけ苦しそうな顔してくれてありがとう。

眩しいのに、海のも居るのに居てくれてありがとう土の。

「海のの部屋!…土の?」
「まぶしい…」
「う、うん、よく分からないけど私に会いに来てくれたんだよね?また家に…あ、もうないか、また遊びに行くからお帰り」
「どこもいかない?」
「多分」
「…うん」

海のただいま!とはいきません!

「海のごめんね」
「ふんっ!」

すっかり元通りです、緑茶をガブガブいただきます!

「あ、風の、服もケガもありがと。今脱ぐから」
「よい、やる」
「いいの?」
「よい」
「ありがとうございます!」
「ぬ?」
「おかえり~」
「ただいま!それとちょっと急いでるんだよね!」
「どこに行くのじゃ」
「ギリギリなんだ!30日経つと思うから明日来てもいい?」
「「…」」
「本当にごめんね」
「よい、必ず戻って来るのじゃ」
「うん!」

空に転移して服を脱いで、あ、洗浄してくれてる。
着替えて世界は変わってるだろうから換金して、うーん、女、女、女が歩いてる国はどこだああああ!

あ、あった!

はぁ、本当に死ぬかと思った。

まだ死ねない!私魔法の使い方とっても下手くそみたい!

よし!海のの元に帰るぞ!おー!
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