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〜第5章〜
125.『焦り』
しおりを挟む防衛大臣親族誘拐事件終息から10日。
しおんは無事退院し、事務所兼自宅に戻っていた。
みつれ、しおん、カエデ、リンは懸命にハナを捜索するが、いまだに手掛かりのひとつも無かった。
時間だけが過ぎ去る中、4人に焦りの色が見え始める。
しお「ハナさんの情報がひとつも出ないね…」
しおんはモニターの前で頭を悩ませていた。
カエ「少し休憩しましょう。お茶どうぞ。」
カエデはお茶をしおんに差し出した。
しお「ありがとうカエデちゃん。けどおちおち休憩もしてられないなぁ…」
カエ「みつれさんとリンさんは聞き込みをしに行ってるんですよね。なにか手掛かりあればいいんですけど……」
みつれとリンは情報屋のオキの所に行っていた。
オキはリンが贔屓にしているbarのマスターで、裏社会に詳しいリンの協力者だ。
オキ「やぁ、リンさんみつれさん。いらっしゃい。」
リン「マスター、ハナちゃんの情報なにか入ってきてない?」
リンはオキにたずねた。
オキ「・・・残念ながら無いねぇ…。」
みつ「テロ組織の情報はなにか入ってますか?」
次にみつれはテロ組織についての情報を聞いた。
オキ「いや、残念ながら…。あの事件以来音沙汰が無くなってね。情報が入ってこないんだ。」
みつ「・・・そうですか……。」
リン「なにかわかったらすぐ教えてねマスター。」
みつれとリンは店を出た。
リンは内心焦りと苛立ちを感じていた。
みつ「リン……大丈夫か?」
リン「・・・大丈夫。私よりハナちゃんだよ。」
リンは車にむかって歩いていく。
みつ「ちょっと待てリン!」
みつれはリンの後を追う。
みつ「リン!お前ちょっと休め。ここ最近まともに寝てないだろ。」
みつれは車に乗ろうとするリンの腕を掴む。
リン「離して!!こうしてるあいだにもハナちゃんが!!!」
リンはみつれの手を振り払う。
みつ「焦る気持ちはわかるが落ち着け。」
リンはみつれの胸ぐらを掴んだ。
リン「なんでみっちゃんはそんな冷静なの!!私のせいでハナちゃんが拉致られたんだよ!?私に休んでる時間なんか無いの!!!」
みつ「リン……」
みつれはリンをみつめた。
リンの目の下にはクマが出来ていた。
リン「………ッ!」
リンはバッと手を離した。
リン「ご、ごめん……みっちゃん……。」
みつ「・・・気にするな。」
2人は言葉が出なかった。
騒ぎを聞いていた通行人達が二人を見てザワついていた。
みつ「場所かえるぞ。リン。」
リン「う、うん。」
2人は車に乗りその場を走り去る。
リンは運転しながらみつれに謝った。
リン「みっちゃん、さっきはごめんね……。」
みつ「気にするな。」
リン「みっちゃんの言う通りだよ。焦ってもどうしようもないのは分かってるのに……」
リンは目に涙をためていた。
みつ「リン…一旦リンの家に戻ろう。な?」
リン「・・・うん。」
2人はリンの家に戻った。
部屋に入るとみつれはリンを抱きしめた。
リン「ちょっ!?みっちゃん!?」
リンは突然のことで驚いた。
みつ「ハナさんが拉致されたのはお前のせいじゃない。」
リン「うん……ありがと……」
2人はしばらく抱き合った。
みつ「とりあえずシャワーを浴びて寝ろ。お前に必要なのは睡眠だ。」
リンは静かに頷いた。
リンとみつれは一緒にシャワーを浴びた。
シャワーを浴び終わった2人はベッドに入る。
まともに眠っていなかったリンは裸のまますぐに眠りについた。
みつ「・・・ふっ。おやすみ、リン。」
みつれは静かにベッドを出る。
そしてしおんに電話を掛ける。
みつ「・・・しおん、私だ。やっぱりオキさんにも情報は入ってないらしい。」
しお「随分時間掛かったね。今どこ?」
みつ「リンの家だ。今リンを寝かしたところだ。」
しお「リンさん、ずっと寝てなかったもんね。わかったよ。みつれさんも一緒に休んで。リンさんと一緒に居てあげて。」
しおんはリンを心配していた。
みつ「あぁ、わかった。」
みつれは眠っているリンをみつめた。
今リンを支えれるのはみつれしかいなかった。
しお「僕とカエデちゃんはちょっと出掛けるよ。」
みつ「ん?どこ行くんだ?」
しお「カエデちゃんがちょっと行きたいとこがあるんだって。バイク使うよ。」
みつ「わかった。気を付けてな。」
みつれは電話を切った。
みつ「・・・私も少し眠るか。」
みつれはリンのベッドに入り、裸で抱き合いながら眠った。
しおんとカエデはバイクでとあるところに向かっていた。
その場所はユウゼンが居た廃ビル跡地だった。
しお「ここだよカエデちゃん。」
カエ「はい。ありがとうございます。」
2人はバイクを降りる。
カエ「ここがしおんさんのお父さんが居た場所だったんですね。」
しお「そうだよ。もう瓦礫しかないけどね。…けど驚いたよ。カエデちゃんがここに来たいなんて。」
カエ「はい。なにか手掛かりが残ってるんじゃないかって…」
カエデは瓦礫を漁っていく。
しお「みつれさんがアルバムを見つけたって言ってたな…。もしかしたらまだなにかあるかも。僕も探そう。」
しおんもカエデと一緒に手掛かりになるものを探し始めた。。。
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