『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
154 / 197
〜第5章〜

149.『スイの声』

しおりを挟む



スイの声を聞きつけてスイの部屋に入ったみつれ。
みつれはスイの日記が入っていた引き出しを開けたが、なにか挟まっている感触がした。


そこにはクスリと1枚の紙があった。



みつ「これ……スイが書いたやつか?」


そこには細かく書き込まれていた。




【『オビディエンス』女用

1日3回まで。5時間以上間隔を空けること。
それ以上の投与は、頭痛・嘔吐・錯乱・幻覚・幻聴等を引き起こす。
また過剰投与による副作用によって重度の記憶障害等を引き起こす可能性がある。

クスリの成分は不明。

身体の神経を過敏にさせ、テストステロンの分泌を加速させる。
呼吸が荒くなり、いずれ思考が出来なくなる程身体が疼く。】



メモにはクスリの効果が書かれていた。

後はスイがクスリを受け取った日付け、分量が書かれていた。



みつ「これが……スイが私に使っていたクスリ……」

クスリの効果に思い当たる点が多いことからこのクスリが自分に投与された物だと確信した。


するとまたスイの声が聞こえた。


みつれは声が聞こえたほうに振り向く。
しかし誰もいない。


みつ「・・・もしかして、私に教えてくれたのか……スイ…」


みつれは聞こえるはずの無いスイの声に安心を感じた。


みつ「ありがとう……スイ。」


フッと笑うと、みつれはなにかに後ろから抱きしめられる感覚がした。
それに恐怖は無く、優しく暖かい感覚だった。


そのなにかはみつれの耳元で囁いた。




『                            』



みつれはハッとし、静かに微笑んだ。




みつ「私も愛してるよ…スイ。」




みつれは服を着て隠れ家を後にした。


みつ「事が済んだら掃除しに来るよ、スイ。だから待ってて。」


みつれはバイクに跨り、事務所にむかって走り出した。



みつれは運転しながらしおんに電話を掛けた。


みつ「・・・しおん、おはよう。今からそっちに戻る。」


しお「わかったよ。リンさんも一緒?」


みつ「いや、リンは署に戻って行った。私が戻るまでの間、『オビディエンス』というクスリを調べておいてくれ。」

みつれはしおんにクスリの名前を伝えた。



しお「『オビディエンス』?それって昨日言ってたクスリの名前?」


みつ「あぁ。さっき旧トンネルの隠れ家で見つけた。スイが私に使っていたクスリだ。」


しお「わかった!調べてみるよ!!気をつけて帰って来て。」


みつ「あぁ、また後でな。」


みつれは電話を切った。


続けてリンにも電話を掛ける。
だがリンは電話に出なかった。


みつ「・・・出ないか。また折り返してくるだろう。」


みつれは事務所に急いだ。



道中、リンから折り返しの着信が入る。


みつ「もしもし、リンか。」


リン「みっちゃん電話出れなくてごめんね。
なにか見つかった?」


みつ「あぁ。スイが使っていたクスリが見つかった。『オビディエンス』という名前のクスリだ。心当たり無いか?」


リン「『オビディエンス』……いや、麻薬とかでそんな名前は聞いた事ないねぇ。」


リンはその名前になにも心当たりは無かった。


みつ「今、しおんに調べさせてる。私も事務所に戻ってる最中だ。またなにかわかったら連絡する。」


リン「わかった!」


みつれは電話を切った。



みつ「・・・急ごう。」


みつれはスピードをあげ、事務所にむかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...