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〜第5章〜
149.『スイの声』
しおりを挟むスイの声を聞きつけてスイの部屋に入ったみつれ。
みつれはスイの日記が入っていた引き出しを開けたが、なにか挟まっている感触がした。
そこにはクスリと1枚の紙があった。
みつ「これ……スイが書いたやつか?」
そこには細かく書き込まれていた。
【『オビディエンス』女用
1日3回まで。5時間以上間隔を空けること。
それ以上の投与は、頭痛・嘔吐・錯乱・幻覚・幻聴等を引き起こす。
また過剰投与による副作用によって重度の記憶障害等を引き起こす可能性がある。
クスリの成分は不明。
身体の神経を過敏にさせ、テストステロンの分泌を加速させる。
呼吸が荒くなり、いずれ思考が出来なくなる程身体が疼く。】
メモにはクスリの効果が書かれていた。
後はスイがクスリを受け取った日付け、分量が書かれていた。
みつ「これが……スイが私に使っていたクスリ……」
クスリの効果に思い当たる点が多いことからこのクスリが自分に投与された物だと確信した。
するとまたスイの声が聞こえた。
みつれは声が聞こえたほうに振り向く。
しかし誰もいない。
みつ「・・・もしかして、私に教えてくれたのか……スイ…」
みつれは聞こえるはずの無いスイの声に安心を感じた。
みつ「ありがとう……スイ。」
フッと笑うと、みつれはなにかに後ろから抱きしめられる感覚がした。
それに恐怖は無く、優しく暖かい感覚だった。
そのなにかはみつれの耳元で囁いた。
『 』
みつれはハッとし、静かに微笑んだ。
みつ「私も愛してるよ…スイ。」
みつれは服を着て隠れ家を後にした。
みつ「事が済んだら掃除しに来るよ、スイ。だから待ってて。」
みつれはバイクに跨り、事務所にむかって走り出した。
みつれは運転しながらしおんに電話を掛けた。
みつ「・・・しおん、おはよう。今からそっちに戻る。」
しお「わかったよ。リンさんも一緒?」
みつ「いや、リンは署に戻って行った。私が戻るまでの間、『オビディエンス』というクスリを調べておいてくれ。」
みつれはしおんにクスリの名前を伝えた。
しお「『オビディエンス』?それって昨日言ってたクスリの名前?」
みつ「あぁ。さっき旧トンネルの隠れ家で見つけた。スイが私に使っていたクスリだ。」
しお「わかった!調べてみるよ!!気をつけて帰って来て。」
みつ「あぁ、また後でな。」
みつれは電話を切った。
続けてリンにも電話を掛ける。
だがリンは電話に出なかった。
みつ「・・・出ないか。また折り返してくるだろう。」
みつれは事務所に急いだ。
道中、リンから折り返しの着信が入る。
みつ「もしもし、リンか。」
リン「みっちゃん電話出れなくてごめんね。
なにか見つかった?」
みつ「あぁ。スイが使っていたクスリが見つかった。『オビディエンス』という名前のクスリだ。心当たり無いか?」
リン「『オビディエンス』……いや、麻薬とかでそんな名前は聞いた事ないねぇ。」
リンはその名前になにも心当たりは無かった。
みつ「今、しおんに調べさせてる。私も事務所に戻ってる最中だ。またなにかわかったら連絡する。」
リン「わかった!」
みつれは電話を切った。
みつ「・・・急ごう。」
みつれはスピードをあげ、事務所にむかった。
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