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〜第5章〜
150.『チカラ』
しおりを挟む事務所に到着したみつれ。
中に入るとしおんとカエデが居た。
みつ「カエデさん!?来てたのか。」
しお「おかえりみつれさん。」
カエ「おかえりなさい、みつれさん。」
2人はみつれを出迎えた。
みつ「お前、カエデさんに言ってなかったのか?危ないヤツらが私たちを狙ってるって。」
しお「いや、言ったんだけどさ…。どうしてもって言ってきかなかったんだよ。」
しおんはやれやれとした表情をした。
みつ「・・・カエデさん、しおんから聞いてるだろうが、今危ないヤツらが私たちを狙ってるんだ。君も巻き込んでしまうかもしれない。すまないがしばらくはここに来ない方がいい。」
みつれはカエデに静かに言った。
カエ「私も皆さんの力になりたいんです。なにか私に出来ることがあるなら…」
カエデはみつれとしおんの力になりたいようだった。
みつ「今君が出来ることは家に帰ることだ。子どもを巻き込めない。」
カエ「わ、私も協力させてください!!ハナさんを助けたいんです!」
カエデは引き下がらなかった。
みつ「気持ちは分かるし嬉しいが本当に危険なんだ。ここにいるだけで危険なんだよ。襲われるかもしれない。」
カエ「それでも!私はやりたいんです!」
全く引き下がらないカエデにみつれは苛立ち、ハッキリと言った。
みつ「足手まといだ!!」
みつれは強い口調で言い放つ。
ヤバい空気を感じたのかしおんがなだめようとする。
しお「ちょ、ちょっとみつれさん……」
みつ「カエデ!ハッキリ言うぞ!子どものお前がいたら足手まといなんだ!これは遊びじゃないのは中学生のお前でもわかるだろ!」
みつれはカエデを呼び捨てにして言い放つ。
カエ「わかっています!!ただ私は、みんなを守るチカラが欲しいんです!危険なのはわかっています!!」
みつれに強く言われてもカエデは引き下がらなかった。
両者睨み合う。
そのあいだをオドオドとみつめるしおん。
カエ「確かに私はまだ子どもだしみつれさんたちのようなチカラはありません!でも!なにか役に立ちたいんです!!お願いします!!」
カエデは真っ直ぐな目をしてみつれを見つめる。
しおんは二人の間を割ってはいろうとする。
しお「ちょっと…みつれさんも言い過ぎだよ…。カエデちゃんも少し落ち着いて…」
みつ「お前は黙ってろ!」
カエ「黙っててください!」
2人は同時にしおんに言い放った。
しお「えぇー………」
みつ「じゃあ聞くが、お前に何が出来る!?」
みつれはカエデに訊ねた。
カエ「しおんさんが見逃したモノを見つけます!防犯カメラの映像とか。1人で全部確認していたら必ず見落としが生まれます!」
カエデは自分が出来ることをみつれに説明した。
カエ「みつれさんの言った通り、現場には行きません。それは足手まといになるのは分かってます。けど、それ以外なら…ッ!」
みつ「・・・わかった。だが、もし危険が迫ってきたら私たちの言う事は聞いてくれ。それを守ってくれたらここに居ていい。」
カエデの意思にみつれは折れた。
カエ「ありがとうございます!」
とりあえずホッとしたしおん。
みつ「それでしおん、『オビディエンス』についてなにかわかったか?」
みつれは本題にはいった。
しお「いや、『オビディエンス』って名前のクスリは無かったよ。そのワードで検索しても犬の訓練とか服従訓練とかしか出なかったよ。」
みつ「犬の服従訓練……」
しお「多分、組織のオリジナルのクスリだと僕は思う。やっぱり薬剤師とか調合師とかがいるんだよ。」
しおんは組織の中に薬剤師やそれに強い人間がいると推察した。
みつ「名前からして『服従』だからな…。その線で間違いないだろう。リンにも聞いたが、『オビディエンス』という名前の麻薬とかは聞いた事が無いと言っていた。」
しお「じゃあ間違いなくオリジナルだね。」
みつれは隠れ家で見つけたクスリとメモを取り出した。
みつ「これがそのクスリだ。これはスイが書いた物だと思う。」
しお「これが………」
しおんはクスリとメモを確認する。
みつ「私がスイに投与していたのは注射器でだった。恐らく2種類あるだろうな。」
しお「これ、メモには『女用』って書いてるけど、『男用』もあるって事だよね?クスリの成分は不明……か。」
しおんはメモをじっと見つめていた。
カエデもひょこっとしおんの後ろからメモを見る。
みつ「前に見つけたスイの日記にはクスリを手に入れたことは書いてなかったが、色々準備してきたと書いてあったことから簡単に入手出来たんだろう。となれば組織内にクスリを作ってる奴がいる可能性がより濃厚になったな。」
するとカエデが口を開いた。
カエ「あの……このクスリって?」
しお「あぁ、ハナさんを拉致したヤツらが使ってるヤツだよ。さっき話してたヤツ。これの出処を探してるんだ。」
しおんはカエデに説明した。
カエ「クスリの出処……それって作った人を探すってことですよね?」
しお「そうなるね。けど僕らはクスリに関しては専門外だからね…成分とか聞いてもさっぱり。」
みつ「そうだな。組織の人間1人痛めつけて吐かせるか…」
しお「乱暴で危険だけど、それが1番早そうだね……」
2人が方向性を定めようとした時、カエデが待ったをかけた。
カエ「ちょっと待ってください。…このクスリ、リンさんに調べて貰ったら分かるんじゃないですか?」
しお「どういうこと?これは麻薬じゃないと思うから分からないと思うけど。」
カエ「このクスリを科学捜査研究所で調べて貰うんです。」
みつ「ッ!なるほどそういうことか。」
みつれはカエデが考えてることがわかった。
しお「え?…なに研究所?」
カエ「科学捜査研究所……警察の附属機関です。……『科捜研』って聞いたことありませんか?科捜研はその略称です。」
しお「へぇー、よく知ってるね。」
カエ「お父さんがよく科捜研のドラマを観ていたので本当にあるか調べたんです。」
みつ「確かに科捜研なら成分を調べて、そこから入手経路を調べれば足がつきそうだ。リンに連絡してみよう。」
みつれはリンに電話を掛けた。
みつ「・・・リン、私だ。すまないが調べて欲しいものがある。一旦事務所に来て欲しい。……あぁ。待ってる。」
みつれはリンを事務所に呼んだ。
カエ「あの……私役に立ちましたか?」
みつ「あぁ。おかげで危ない橋を渡らずに済むかもしれない。ありがとう、カエデさん。」
カエデは少し顔を赤くして嬉しそうにした。
カエ「みつれさん、私のことは呼び捨てにしてください。そのほうが嬉しいです!」
みつ「フッ、わかった。ありがとうカエデ。」
みつれはカエデの頭にポンっと手を置いた。
しお「じゃあクスリはリンさんにお願いしよう。」
3人はリンが事務所に来るのを待った。。。
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