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12 幸せのカタチ

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 家族というモノが欲しかった。
 愛しい妻と、愛らしい子供たち。
 朝、おはようの挨拶をする。
 家族で朝食を摂って、俺は仕事に、子供たちは学校に出かける。
 妻は家を出る俺たちを笑顔で見送って、いそいそと家事に取り掛かる。
 仕事から家に帰れば、家族が笑顔で出迎えてくれる。
 朝食と同じように、夕食は家族で食卓を囲む。
 子供をお風呂に入れ、おやすみの挨拶をして、それぞれの部屋に戻る。
 妻と寝室で二人、夜は密やかに愛し合う。
 そんな、普通の家族が欲しかった。
 それが全て一度に手に入ると喜んでしまった俺は、考え無しと言われても仕方のない事だ。

 社会人になって五年目に、俺の両親は交通事故で死んだ。
 祖父母は四人とも既に亡く、両親がどちらも一人っ子だった為、俺はあっさりと天涯孤独になってしまった。
 俺に遺されたのは、父方の祖父母の代から住んでいたという古い日本家屋の一軒家だった。家族で住むには丁度良いが、一人で住むには持て余す。生命保険の受け取りとか、相続税とか、固定資産税とか、お金にまつわる諸々が終わってからは、平穏で退屈な日々が何年も続いた。

 誰もいない家で目覚める。
 朝食は摂らずに家を出て、職場の工場でパンを食べる。
 飲み屋か牛丼屋かファミレスで、一人夕食を摂る。
 誰もいない家に帰る。
 風呂に入って、寝る。

 俺の理想、というか願望には程遠い、変化に乏しい単調な日々だ
 それが変わったのは、職場近くの飲み屋で芙由美と出会ってからだった。何が気に入ったのかは分からないが、カウンター席でスマホを漫然と弄りながら一人晩酌をしていた俺に、芙由美は嫣然と話しかけてきた。最初は商売女かと警戒したのだが、どうやらただの逆ナンだったようで、酒も合わせて気分の良くなった俺は、その晩に芙由美と寝た。
 以来、俺は仕事帰りに同じ飲み屋へと向かい、芙由美と飲んで寝るという生活を続けた。
 初めの頃は飲み屋の近くにあったラブホテルを使っていたのだが、連日となるとさすがにホテル代がバカにならない。持ち家の一人暮らしで財布に余裕があるとはいえ、金持ちというわけでもない俺は、芙由美を自宅に連れ込んだ。
 後で知った事だが、芙由美は飲み屋でしょっちゅう男に集っていたらしい。自分で飲み代を払った事はほとんど無く、適当な男を捕まえては奢らせていたそうだ。
 それがあの店でトラブルにならなかったのは、飲み代の対価に芙由美が自分の身体を差し出していたからだという。まあ、あの身体とセックスが対価であったのなら、飲み代を惜しむ男はいないだろう。かく言う俺も、その一人だが。
 今にして思えば、俺が芙由美を自宅に連れてきた時にターゲッティングされたんだろう。家と金がある便利な男として。
 そこに愛情があったのかは分からない。今となってはどうでもいい話だ。
 今の俺には家族がいる。
 世間一般でいう家族とは少し違う。そして、俺が望んでいた家族関係とも少し異なる。だがそれでも、俺は遥奈と亜紀を、家族だと思っている。

 愛らしい娘たちと、おはようの挨拶をする。
 家族で朝食を摂り、俺は仕事に、娘たちは学校に出かける。
 仕事から家に帰れば、娘たちが笑顔で出迎えてくれる。
 朝食と同じように、夕食は家族で食卓を囲む。
 お風呂に入り、おやすみの挨拶をして、それぞれの部屋に戻る。
 娘の一人と寝室で二人、夜は密やかに愛し合う。
 そして、もう一人の娘とも愛し合う関係となった。
 普通とは少し違う、それが今の俺の家族だ。

   ***

「ふはあ……」

 熱い湯船に浸かりながら、那津男は深く息を吐きだした。額から噴き出す汗を流すため、両手でお湯をすくって顔にあてる。バシャバシャと洗顔の時よりも激しく手を動かし、汗をさっぱりと洗い流した。

「ねえ、パパ」
「なんだ?」
「やっぱり、お姉ちゃんの事、これ以上は優しくしなくてもいいや」

 お風呂の洗い場では、義理の娘の亜紀が身体を泡だらけにして肌を磨いている。年相応のほっそりとした体つきだが、胸とお尻は女らしい丸みを帯び始めている。母親の芙由美の豊満な身体を考えると、いずれは同じような魅力的な肢体になるのかもしれない。

「おいおい、さっきと言っている事が違うぞ」
「だって……こんなに愉しくて気持ち良い事、お姉ちゃんは毎晩してたんでしょ? やっぱりズルいよ」

 シャワーで身体にまとわりついた泡を綺麗に洗い落とすと、亜紀は那津男のいる湯船に身体を入れてきた。これ見よがしに脚を高く上げ、無防備なお尻を義理の父親に向けてゆっくりと入ってくる。もちろん、お尻とその向こうにみえる女の部分が丸見えだ。
 義理の娘が魅せる淫らな仕草に、湯船の中で那津男の肉棒が硬くなってきた。
 それを承知でいるのか、亜紀は湯船に身体を沈めると、那津男に背中を預けるようにもたれかかってきた。那津男の肉棒が亜紀のお尻に当たっているが、義理の娘はお構いなしである。
 那津男は寄りかかってくる亜紀の身体に手を回し、自分の肉棒を押し付けるように華奢な身体を抱き締めた。幼い少女の身体が、那津男の身体にすっぽりと収まる。

「毎晩、俺の部屋に来たとは言っても、最近じゃ何もしない事もあるぞ」
「ウソ」
「いやいや、ウソって何だ」
「何もしないって言ったって、お喋りしたり、イチャイチャしてたりしたんでしょ? そういうのは、何もしないって言わないよ?」
「んぐっ……」

 幼い少女らしからぬ、あまりにも的確な亜紀の指摘に、那津男は思わず絶句してしまった。
 最初は確かに、那津男は遥奈を無理矢理に犯した。だが、今の二人の関係は、理想的な家族とはとても言えないものの、お互いに望んで肌を合わせるくらいには良好である。
 そしてついさっき、本人の望みに応じて、那津男はもう一人の娘である亜紀を抱いた。
 身体の関係を結んだ義理の娘を抱きかかえながら、そんな今の関係に辿り着く事など想像もしていなかった頃の事を、那津男は思い返した。

   ***

 芙由美が浮気の末に失踪した夜、那津男が遥奈に対して、この家に住み続ける対価に要求したのは、少女自身の身体だった。
 それは、言ってみればタダの憂さ晴らしであった。そして、自分を裏切った女に対する意趣返しでもあった。芙由美に対する怒りをただぶつける為に、那津男は年端も行かない少女を毎晩犯し続けたのだ。
 那津男だけでなく、娘二人も捨てられたという同じ立場だったのだが、それは深く考えないようにしていた。
 初め、遥奈はイヤイヤ身体を差し出していたのがありありと分かった。無表情に、無感動に、それはまるで、人形のように義父に身体を任せていたのだ。
 芙由美に捨てられたという事実に対する憂さ晴らしで妻の連れ子を犯していたのだから、那津男にとって人形のような無反応はむしろありがたかった。変に罪悪感を抱かずに済む。
 芙由美とは、結婚前から派手なセックスを愉しんでいた。寝室だけでなく、リビングや飲みの帰りに外でした事もある。尻を叩いたり、目隠しをして手を縛ってからアナルセックスを愉しんだりした事もある。
 豊満な身体に、溢れる性欲。
 そんな母親とはまるで異なり、遥奈は面白味のない少女であった。娘として見るならば、遥奈はおとなしくて親には従順な、年齢よりも大人びて見える美少女だった。当然ながら、最初から遥奈を性欲の対象としていたわけではない。芙由美と結婚し、義理の娘となった遥奈を、那津男は自分の娘として扱うつもりであったのは確かである。
 遥奈の身体は、母親に比べて未成熟ではあったものの、十分に女の色香を備えていた。だが、人形のように身体を差し出していたせいか、義理の娘の身体は、重くて硬かった。だが、逃げた妻に対する憂さ晴らしのつもりで遥奈を犯していたので、等身大のラブドールとして少女を犯していた那津男にとってはなんの問題もなかった。
 それが、ある晩突然、少女が柔らかくなった。
 芙由美と付き合う前から那津男は何人もの女と経験していたが、あれは初めての体験であった。
 まるで羽毛布団のように、那津男の身体が少女の身体に沈み込んでいったのだ。実際にはもちろん、遥奈の身体が溶けたり消えたりしたわけではない。だが、硬く鈍い反応しか返してこなかった肉人形が、成人男性である那津男の身体を飲み込んだのだ。
 そう、飲み込んだという表現が、那津男にとっては一番しっくりとくる。
 ふわりと柔らかく、突き入れた腰と肉棒がどこまでも沈んでいく感覚。肉棒の根元の部分が、落下の時のように危険な快感を覚える。尻穴がキュッと締まり、慌てて腰を抜こうとするも、少女の両脚が那津男の腰に絡みつき、義父の身体をさらに飲み込もうとした。
 その時、淫らな少女の形をした肉人形が、輝き持つ魂を得たように那津男には思えた。
 淫らな笑顔。男と交わるときのオンナの表情。
 面白みのない少女と思えた義理の娘は、那津男の中で華麗に花開いたのだ。
 その晩を境に、遥奈は那津男にとって等身大のラブドールなどではなく、母親の芙由美とは異なる魅力を持った美少女となった。
 自分の半分にも満たない歳の少女に、那津男の心は惹かれていったのである。

   ***

「遥奈か……。帰ってきたら、俺はどんな顔してりゃいいんだ?」
「大丈夫だと思うよ。お姉ちゃんも、あたしがパパと仲良くするのを期待してたみたいだし」
「ハッキリ言われたわけじゃないだろ?」
「そりゃ、そうだけど……。もしかして、あたしとした事、後悔してる?」
「ああ、それは無い。大丈夫だ」

 そう言って、那津男は亜紀の小柄な身体を背後から改めて抱き締め直した。湯船のお湯が、ばしゃりと弾ける。

「お前の初めてを、後悔なんてしないし、させないよ」
「うん……」

 抱きしめた腕にかけられた娘の小さな手の感触に、那津男は幸せを感じるのであった。

「それじゃ、二回目も愉しんでいいよね」
「ダメだ」
「ふえ?」
「子供はもう寝る時間だ」
「そ、そんなのズルい! こんな時だけ子供扱いしてっ! パパのだって、こんなに元気じゃない!」

 そう言って、那津男にもたれかかっていた亜紀は、身体をねじって義父の肉棒を掴んだ。

「あだだっ! ……扱いも何も、お前は本当に子供だろうが。明日も学校なんだから、風呂から上がったらさっさと寝ろ。その代わり、今夜は俺と一緒に寝ていい」
「ホントにっ?!」
「ああ。だが、今夜はホントにこれ以上はやらないからな」
「えー……」
「えー、じゃない。遥奈が帰って来るのは明後日なんだ。明日は早く帰って来るから、続きは明日な」
「うんっ!」
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