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残ライフ3
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「マリア、まず、質問させてくれ。ここは、何ていう地域……何ていう国なんだ?」
頼む、どこかヨーロッパの国──イギリスか何かだと言ってくれ!
「ここは、ムタニカ大陸のはずれにある、ローズハート王国ですわ、お嬢様」
「……。」
ムタニカ? ローズハート王国??
そんなの全く聞いたことがない──。
NHKのおかげで、ヨーロッパの国なら大抵知っているはずなのだが──。
それに、先程のマクベスの発言によれば、王家の名前もローズハート──。王家の名前も国の名前も同じだなんて、そんなことは現代でもよくあるのか?
それに何より、前から違和感を感じていたのは──マクベスという名前に、聞き覚えがあると思ったんだ。
それはどこでだったか──ええい、このなまくら頭よ、思い出せ思い出せ──。
「……ふふ、そういえば5才になる私の孫にも、この間同じことを教えましたわ」
孫?
──孫?
「っあーーー!!」
加菜!!
そうだ、加菜だ──!!
加菜が言っていた、マクベスという男の出てくるマンガ!
──いや、アニメ?
よく分からんがとにかくそれだ!
いやしかし、とても信じられない──でも信じられないことなら、私の身にとうに起きすぎている──。
つまりここは、私が今いるこの世界は、夢とかではなくて──マンガの中だというのか──?
「ふふ……はーはっはっは……」
「マーサ様……?」
──笑うしかない。
もし自分は今マンガの中にいるんだなんて家族や職員さんに言ったら、見事に認知症認定だ──。
しかしそういうことにすれば、すべて、合点がいってしまうのだ。
「……。」
そうだ、それならば葬式の帰り、あのバスの中で加菜はたしかに、殺人鬼の正体を私に見せた──しかし、このぼんくら眼め!
ぼやけてどんなやつだったか、分からなかったんだ──。
いや、諦めるな。とにかく、思い出せ。
そうだ、たしか加菜は──犯人はオトコマエだと言っていたな。
あとは、あとは、ほら──何を言っているのかよく分からなかった。
まあ、とにかく犯人は男前ということであれば、いくらかは絞れるはず──。
まず、王太子は──ものすごい美男子。
ジルさんは──言うまでもなくものすごく格好いい。
ゲールズも──かなり顔は整っている。
一応セザリエも──相当の美男子。
一応お父様も──私に似て美しい。
っかーーー!! 疑わしい男衆はみんなオトコマエ!!
全く絞れてない!
それにそういえば、背丈もみな長身で、同じくらいだ──一度目に道端で殺されたときのシルエットでも絞れるかと思ったが、これじゃてんでダメだ──。
マンガだからみんなオトコマエなのか!? 背が高いのか!? 雑な設定は仕方ないのか!?
私は深いため息をついた。
「マリア、セザリエ……今夜、誰が私を殺しにくるのか、それが分からないんだ……」
「……。」
そうこぼすとマリアは困ったような顔、セザリエは冷たい目をしている。
そういえばちょうど先程は、セザリエを犯人扱いしてしまったが──。
「さっきは、セザリエを疑ったんだが……」
でも、違うよな?という確認と、動揺しているかどうかを見るためにじーっと見つめると、弟はばかばかしいとでも言いたげにフンと鼻を鳴らした。
「ま、動機ならわんさかありますけどね。……でも多分それは、他のやつらも同じでしょ」
う~む。
これは、違うのか?
なかなかに読めないやつだな。
今のところ、そうだ──全員疑わしい、が──。
その中でも一番怪しいのが──マクベスだと思う。
最も私にこの世からいなくなってほしいと思っているのは、おそらくあの男ではないか?
なぜならば、新しい婚約者との門出を祝うのに元婚約者の存在はどうしても邪魔になるし、マクベスがジルさんに指示を出して、あの夜私を殺したのならすべて辻褄が合う。
でも、いやしかし──ジルさん自身の意思ではないとしても、やはり彼が実行犯というのは納得できない(自分でも情けないが、恋は盲目というやつだ)──だから、実行犯はゲールズあたりかもしれない。
もしこの予想が外れていたら、ゲールズに相当、いやものすごく失礼だな──先に謝っておく、ゲールズ、申し訳ない。
とにかく、そういうことならば、ここは逆転の発想だ!
「……セザリエにマリア、頼みがあるんだが」
「なんでしょう?」
「あ~、嫌な予感……」
私が思うに、殺人犯から逃げるのは逆に背中を取られ、危険──それならば今夜、私たちで殺人犯を見張っていればいいんじゃないか?
「お願いだ。私と今夜、マクベスとカナリアの婚約披露パーティーに出て、みんなを見張っててくれ」
「……。」
弟は天を仰いでいるが──虫でも飛んできたか?
頼む、どこかヨーロッパの国──イギリスか何かだと言ってくれ!
「ここは、ムタニカ大陸のはずれにある、ローズハート王国ですわ、お嬢様」
「……。」
ムタニカ? ローズハート王国??
そんなの全く聞いたことがない──。
NHKのおかげで、ヨーロッパの国なら大抵知っているはずなのだが──。
それに、先程のマクベスの発言によれば、王家の名前もローズハート──。王家の名前も国の名前も同じだなんて、そんなことは現代でもよくあるのか?
それに何より、前から違和感を感じていたのは──マクベスという名前に、聞き覚えがあると思ったんだ。
それはどこでだったか──ええい、このなまくら頭よ、思い出せ思い出せ──。
「……ふふ、そういえば5才になる私の孫にも、この間同じことを教えましたわ」
孫?
──孫?
「っあーーー!!」
加菜!!
そうだ、加菜だ──!!
加菜が言っていた、マクベスという男の出てくるマンガ!
──いや、アニメ?
よく分からんがとにかくそれだ!
いやしかし、とても信じられない──でも信じられないことなら、私の身にとうに起きすぎている──。
つまりここは、私が今いるこの世界は、夢とかではなくて──マンガの中だというのか──?
「ふふ……はーはっはっは……」
「マーサ様……?」
──笑うしかない。
もし自分は今マンガの中にいるんだなんて家族や職員さんに言ったら、見事に認知症認定だ──。
しかしそういうことにすれば、すべて、合点がいってしまうのだ。
「……。」
そうだ、それならば葬式の帰り、あのバスの中で加菜はたしかに、殺人鬼の正体を私に見せた──しかし、このぼんくら眼め!
ぼやけてどんなやつだったか、分からなかったんだ──。
いや、諦めるな。とにかく、思い出せ。
そうだ、たしか加菜は──犯人はオトコマエだと言っていたな。
あとは、あとは、ほら──何を言っているのかよく分からなかった。
まあ、とにかく犯人は男前ということであれば、いくらかは絞れるはず──。
まず、王太子は──ものすごい美男子。
ジルさんは──言うまでもなくものすごく格好いい。
ゲールズも──かなり顔は整っている。
一応セザリエも──相当の美男子。
一応お父様も──私に似て美しい。
っかーーー!! 疑わしい男衆はみんなオトコマエ!!
全く絞れてない!
それにそういえば、背丈もみな長身で、同じくらいだ──一度目に道端で殺されたときのシルエットでも絞れるかと思ったが、これじゃてんでダメだ──。
マンガだからみんなオトコマエなのか!? 背が高いのか!? 雑な設定は仕方ないのか!?
私は深いため息をついた。
「マリア、セザリエ……今夜、誰が私を殺しにくるのか、それが分からないんだ……」
「……。」
そうこぼすとマリアは困ったような顔、セザリエは冷たい目をしている。
そういえばちょうど先程は、セザリエを犯人扱いしてしまったが──。
「さっきは、セザリエを疑ったんだが……」
でも、違うよな?という確認と、動揺しているかどうかを見るためにじーっと見つめると、弟はばかばかしいとでも言いたげにフンと鼻を鳴らした。
「ま、動機ならわんさかありますけどね。……でも多分それは、他のやつらも同じでしょ」
う~む。
これは、違うのか?
なかなかに読めないやつだな。
今のところ、そうだ──全員疑わしい、が──。
その中でも一番怪しいのが──マクベスだと思う。
最も私にこの世からいなくなってほしいと思っているのは、おそらくあの男ではないか?
なぜならば、新しい婚約者との門出を祝うのに元婚約者の存在はどうしても邪魔になるし、マクベスがジルさんに指示を出して、あの夜私を殺したのならすべて辻褄が合う。
でも、いやしかし──ジルさん自身の意思ではないとしても、やはり彼が実行犯というのは納得できない(自分でも情けないが、恋は盲目というやつだ)──だから、実行犯はゲールズあたりかもしれない。
もしこの予想が外れていたら、ゲールズに相当、いやものすごく失礼だな──先に謝っておく、ゲールズ、申し訳ない。
とにかく、そういうことならば、ここは逆転の発想だ!
「……セザリエにマリア、頼みがあるんだが」
「なんでしょう?」
「あ~、嫌な予感……」
私が思うに、殺人犯から逃げるのは逆に背中を取られ、危険──それならば今夜、私たちで殺人犯を見張っていればいいんじゃないか?
「お願いだ。私と今夜、マクベスとカナリアの婚約披露パーティーに出て、みんなを見張っててくれ」
「……。」
弟は天を仰いでいるが──虫でも飛んできたか?
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