大嫌いな腹黒騎士から兄の代用品として抱き潰される俺の話

胡蝶乃夢

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十二話

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「……愛している……」

 掠れた囁き声が切なく響き、揺らめく金眼が眩しそうに細められる。
 その顔は、笑っているような、泣いているような、複雑な表情だった。

 アルタイルは俺に口づけの雨を降らせながら、自分の正装を解いていく。
 いつも俺のことは全裸に剥くくせに、アルタイルは下衣を寛げるだけで、すべてを脱ぐことがない。
 俺も鍛え抜かれた身体が見たいし、裸で抱き合いたい気持ちもある。
 だから、アルタイルの服に手をかけ、口づけを返しながら脱がせていく。

「脱いで、全部……裸で抱き合いたい……」

 すべてを脱がし終え、あらわになったアルタイルの身体に手を這わせ、指先を滑らせながら視線を下げていく。
 たくましく太い首筋、厚く張った胸筋、硬く割れた腹筋、鍛え抜かれて絞られた機能的な肉体。
 惚れ惚れするほどの理想的な肉体美に、うっとりと見惚れてしまう。

 それに何より、俺のつたない誘いにも欲情してくれている、熱く猛った剛直が愛おしくて、指を滑らせて撫で上げる。
 ビクンと震えた先端を撫でていると、割れ目から先走りがあふれてきて、俺の指先を濡らす。
 構わず、わざとヌチュヌチュといやらしい水音を立てて弄くってやれば、アルタイルは吐息を震わせて悩ましげに眉を顰めた。
 そして、愛欲の滲む金眼で俺を見下ろし、濡れてヒクつく俺の後孔に剛直を当て、上下に擦りつけて扱きだす。
 熱くて硬い剛直が擦りつけられ、アルタイルが俺の手と恥部を使って扱いている。
 香油と先走りが混ざって、グチュグチュといやらしい音が響き、その音だけで腰が震えてしまう。
 そんな卑猥ひわいな光景に上気し、心臓が痛いほど高鳴って、もう我慢できないくらい昂ぶっていく。

「あ、はぁ……ん、ふぅ……も、焦らすなぁ……早く、早くぅ……」

 すると、すっと身体が離された。
 触れていた熱が失われ、不安な気持ちになり、俺は泣きそうになってアルタイルを見上げる。
 アルタイルは柔らかく微笑み、すぐに俺の脚を抱えて体勢を整え直し、腕を首に回すように促す。
 俺が縋るように抱きつくと、熱く猛った剛直の先端が後孔に押し当てられ、ゆっくりとゆっくりとした動作で腰が落とされ、アルタイルが俺の中に入ってくる。

「あ、あっ、あぁっ! アルッ、アルゥッ!!」

 奥の奥まで押し開かれて満たされていく感覚に、身も心も震えて甘い嬌声が漏れる。
 欲しくて欲しくて堪らなかったアルタイルと、ようやく一つになれたのだ。

 何よりも、俺を一途に愛してくれる。
 今は、兄のものなんかじゃない、俺の――俺だけのアルタイル。
 どうしようもなく飢えていた心を、俺のアルタイルは満たしてくれる。

 奥まで満たされて膨らんだ下腹に指を這わせ、俺は腹の上から剛直を撫でて実感する。
 アルタイルから愛され、優しく抱かれている――

「……嬉しい……」

 ――満たされていく幸福感に、そんな言葉が口をついて出ていた。
 狂おしいほどの愛おしさが湧いて、俺は両腕を伸ばし、アルタイルを強く強く抱きしめる。
 もう、愛おしい想いがあふれて抑えられない。

「アル、好き。好きだ、大好きだ。ずっと、こうしたかった。好きだった、愛してた。アル、好きだ、愛してる」
「レグ?! はぁ、はぁ」

 素直な想いが口をついて、次から次へと出て止まらない。
 さらに、逞しい腰に脚を回し、両腕両脚を使って思いきり抱き締めると、アルタイルは切羽詰せっぱつまったような声を上げた。

「ま、待て、レグ……はぁ、はぁ……はっ……!」
「アル、好き、好き。愛してる、アル。大好きだ、アル――」

 アルタイルの顔中に口づけをし、愛を囁き続ければ、アルタイルは苦しそうな表情で俺を強く抱きしめ、息を詰めて身を震わせた。

「はっ、くぅ! ……っ、ぐっっ!!」
「ふあぁ、あっ、熱い! アル、熱いぃ!!」

 身体の中を満たしていた剛直が奥深くで脈打ち、熱くて堪らない。
 灼熱の飛沫が最奥に吐き出され、熱が身体全体に広がっていく。
 愛されていると実感する、確かな熱量に全身が包まれる。

 俺が恍惚としている一方で、アルタイルは荒い息を吐いていた。

「はぁっ、はぁっ……くっ……ふぅ、ふぅ……」

 赤面して肩で息をついて震えている、恥ずかしそうなアルタイルなんて見たことがなくて、なんだか可愛く思えてしまう。
 俺は銀髪の頭を撫で、甘い幸福感に酔いしれて吐息をこぼし、熱に浮かされたように呟く。

「はぁ……気持ちいい……アルも気持ちいい?」
「ふぐっ……ふぅ、ふぅ……レグ、俺は忍耐を試されているのか……?」

 アルタイルは呻き声を上げ、息を荒げながら狼狽えるような、恨めしいような目で俺を見つめる。

「ん? ……優しく抱いてくれるんだろ?」

 首を傾げ、微笑んで見つめ返す俺の仕草に、アルタイルは苦々しく眉を顰め、片手で顔を覆って天を仰いだ。

「ああもう、可愛すぎて頭がおかしくなりそうだ……愛してる、レグ! 死んでも優しくする!!」
「なんだそれ、可愛いな、アル。ははは……ん、あっ!」

 アルタイルの必死な宣言に思わず笑うと、身体が揺れて中に入ったままの剛直が擦れ、締めつけて喘いでしまう。
 それが引き金になって、アルタイルの金眼に愛欲の火が灯り、剛直が硬さを増して緩やかな律動が開始される。
 どちらともなく抱き合い、口づけを交わし、甘い吐息が混ざり合う。

「ちゅ、ちゅっ……ふぁ、はぁ、ちゅっ……ん、ふ……ちゅっ、ちゅぷ……ん、はぁ……」

 こんなにも求め合い、優しく愛し合うのは初めてのことで、身体の奥底から込み上げてくる快感が、まるで別物のように感じられる。
 決して律動が激しいわけでも、強い刺激があるわけでもないのに。
 アルタイルに抱擁され、口づけられると、それだけで胸がいっぱいで、ふわふわと天にも昇るような心地になる。
 いつもの敏感なところだけじゃなく、アルタイルと触れ合っているところすべてが、どうしようもなく気持ち良くて、全身が性感帯にでもなったように感じる。

「あ、はぁ……すごい、気持ちい……いい、んっ、あ、あぁ……こんな、気持ちいいの、知らない……はぁ、あ、あぁん……ア、アルも、気持ちいぃ?」 
「はぁ、はぁ……俺も、気持ちいい……すごく、いいっ……レグの中まで、俺に抱きついて、っ……気を抜いたら、また持っていかれそうだ……はぁ、はぁっ……」

 アルタイルの甘い吐息や悩ましげな声にまで感じて、胸がときめくのと同時に内壁をキュウキュウと締めつけて震えてしまう。
 律動に合わせて俺も腰をくねらせれば、感じたことのない快感が身体を駆け抜け、アルタイルに抱きついてカクカクと腰を振るのが止められなくなる。
 ひどく淫らで見苦しいと思うのに、そんな俺の痴態をアルタイルが蕩けるような甘い眼差しで見つめるから、堪らなく感じてしまって我慢できなくなっていく。

「あっ、あん、も、もぅ、我慢できないっ、イキそ……あ、あっ……も、イキたい、一緒にイキたい、アルゥ……あっ、んん」

 アルタイルは俺が辛くならないよう緩やかな律動を続けていたが、それがかえって額に汗を滲ませて息を切らせる結果になり、懇願するような目で俺を見つめて囁く。

「はぁ、はぁ、俺も限界だ、一緒にイこう……少し激しくしても、いいか? ふぅっ、ふぅっ……」
「ん、んっ……いい、いいから、早く……あっ、あんっ!」

 頷き返した途端、アルタイルの動きが激しくなり、敏感なところすべてを擦り上げられ、穿たれる。
 強烈な快感に身悶える羽目になって、俺は強すぎる刺激から逃げるように腰をくねらせた。

「あっ、あっ、やっ、やんっ、激しっ、激しすぎるっ! んっ、んん、イク、イクから! そんなにしたら、一人でイクからぁ!!」

 泣き言混じりの甘えた嬌声が部屋に響く。
 だけど、奥深くまで穿たれる律動は激しさを増すばかりで、腰を強く打ちつけられるたびに快感が脳天まで突き抜け、視界がチカチカして星が散る。
 もはや、声を抑えることなどできず、断続的な喘ぎ声が漏れる口からは、あふれた唾液が垂れ落ちていく。
 全身を駆け巡る壮絶な快感に呑み込まれ、今にも絶頂してしまいそうだけど、アルタイルと一緒に達したい一心で必死にしがみつき、震えながら堪え忍ぶ。
 狂いそうなほど気持ち良くて苦しくて、もうわけがわからなくなって生理的な涙があふれた。

「あっ、あっ、あんっ、ああっ! もうイクッ、イクッ、イキたいっ! アル、早くっ、早くイかせてっ!!」

 上気して蕩けきった泣き顔で見上げると、アルタイルが息を詰めて苦しげに告げる。

「ああ、俺も、もうイク! 愛してる、愛してる、レグ!!」
「んっ、あっ、俺も、愛してる、アル! アルゥ!!」

 俺たちは愛の言葉を交わし合い、同時に絶頂へと上り詰めていく。
 アルタイルは一層俺を強く抱きすくめ、深々と奥を穿って切なげに息を切った。

「レグッ、っっっ!!!」
「あっ、ああっ、~~~~~~っっ!!!」

 耐えに耐えて蓄積していた熱が一気に解放され、頭が真っ白になる。
 アルタイルの剛直が俺の最奥でビクビクと脈動し、灼熱の飛沫が吐き出され、熱くて堪らない。
 俺の屹立も脈打ち、ドクドクと白濁液があふれ、二人の腹を汚して垂れていく。

「はぁっ、はぁっ、はぁ……っ……」

 上がった息を整えながら絶頂の余韻に浸り、愛されている心地いい熱が全身に広がって、この上ない多幸感に包まれる。
 幸せだと思って微笑みかければ、アルタイルは一瞬泣きそうな顔をしたけど、すぐに幸せそうな笑みを見せてくれた。
 俺の顔を両手で包んで、慈しむような優しい口づけが落とされる。

「ん……ちゅっ、ちゅっ……ん、んっ、ちゅっ……ん、はぁ……」

 幸せすぎて涙があふれた。

 アルタイルは顔を寄せ、俺のこぼした涙をついばんで、髪を梳いて頭を柔らかく撫でてくれる。
 労わるような眼差しで俺を見つめ、囁くようにして訊く。

「レグ、大丈夫か? 激しくしすぎたな……」

 心底心配して気遣ってくれる、アルタイルが愛おしくて仕方ない。
 俺は甘えるように身を寄せ、頷いて答える。

「ん……大丈夫……」

 落ち着いてきたのを見計らい、アルタイルが身体を離していく。
 奥深くまで満たしていたものが引き抜かれ、触れていた熱が失われた途端に寂しくなり、途方もない喪失感に襲われる。
 愛されていると実感できる熱を失うのが堪えがたくて、離れがたくて、気づけばアルタイルの腕に手を伸ばしていた。

「大丈夫だから……激しくしてもいいから……もっとして」

 これがひと時の夢だったとしても、もっとアルタイルと繋がっていたい。愛されていたい。

「もっと、アルが欲しい……好きにしていいから、俺をアルで満たして……」

 俺の涙ながらの懇願にアルタイルは目を見張った。
 次いで、激しい情熱と愛欲をその金色の眼に宿し、真摯な表情で俺を見据えて告げる。

「この身も命も魂も、いくらでもくれてやる。俺のすべてはお前のもので、お前は俺のものだ――愛している、レグ」

 情熱的な愛の告白に胸が締めつけられ、嬉しくて切なくてどうしようもない。
 夢だとわかっていても、俺は心の底で願わずにいられなかった。

 この夢が覚めなければいいのに……。
 この幸せな時間が永遠に続けばいいのに……。

 そう願いながら、俺たちは再び抱き合い、熱を分け合い、愛し合い続けたのだった――――。

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