【完結】悪役を脱却したい白豚王子ですが、黒狼王子が見逃してくれません ~何故かめちゃくちゃ溺愛されてる!?~

胡蝶乃夢

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本編

47.料理上手なお嫁さん?

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 翌日から、僕は散歩ついでに、親子の家へご飯を作りに通うようになった。
 酷く衰弱していたチョコチップは息子を思う気合もあってか、数日と経たないうちに驚異的な回復を遂げた。
 体調が改善して魔力循環も正常に戻り、以前と同じく土魔法が使えるまで復活していた。

『地の精霊よ、我が魔力を以てこの土を壁にせよ。【土塊防壁サンド・ウォール】』
 
 チョコチップはお得意の土魔法で、ボロボロになっていた家の壁をどんどんと補修していく。

「わぁー、すごいね土魔法! こんな使い方もあるんだ!?」

 目の前で展開される土魔法に僕が感嘆の声を上げると、チョコチップは出来上がった壁を見て満足げに頷く。

「うんうん、これなら何とか親子二人で暮らしていけるだけの仕事には就けそうだな。良かった良かった……ラズベリーも本当にありがとうな。作ってくれる飯のおかげで、心身共にどんどん活力がみなぎってくる。この通り元気いっぱいだ、この礼は必ずするからな!」

 白い歯を覗かせ笑顔を見せるチョコチップは、数日前まで衰弱死してしまいそうだった姿など見る影もなく、痩せこけていた頬は張艶はりつやを取り戻して元気いっぱいといった様子だ。

「ああ、うん。いっぱい食べてくれるだけで僕は作り甲斐があって楽しいよ」
「ラズベリーの作る飯は本当に美味いからな、毎日ずっと食べていたいくらいだ。今日の飯は何にするんだ?」
「どうしようかな、何か食べたい物ある?」
「ラズベリーの作る飯なら何でも美味いけど、そうだな、じゃあ――」

 僕とチョコミントがわいわいご飯について話していると、それを微笑ましく見ていたチョコチップが言う。

「家柄が合えばな。ラズベリーをチョコミントの嫁にもらいたいくらいなんだがな。そうしたら、毎日ラズベリーの作る飯が食べられるのにな」
「ぶっ! なっ、なっ、なっ、何言ってるんだよ、父さんっ!?」

 チョコミントは吹き出し、変な事を言い出した父親にギャーギャーと騒ぎ出す。
 そんな二人の姿を見て、僕は遠い目をして渇いた笑いを零す。

「あ、あははは、は……はぁ」

(いやいや、僕、男だし。女だったとしても、こんな不細工な白豚なんて誰も嫁になんてしたくないよ。憎くき謎の強制力のせいで、僕は相変わらず痩せられないし……ぐすん)

「ラズベリーさえ良ければと思ったりしたんだがな」
「僕、男だし。こんな凶悪顔の巨デブなんて、みんな嫌だよ……」
「なっ! そんな訳ないだろうっ!? ラズベリーは愛嬌があって、かっ、かっ、かっ、か、か、か……かわいいっ!!」
「そんなに無理してお世辞言わなくても大丈夫だよ?」
「無理してないっ! お世辞じゃないっ!!」
「ああ、うん。ありがとう」
「う、うぅ……」

 チョコミントが余りに一生懸命に言ってくれるので、僕は幼いのになんて気配りのできる良い子なんだろうかと、感心して微笑ましくなってしまう。

 それから、チョコミントは時々何か考え込んでいる素振りを見せていた。

「どうしたの? 何か悩み事?」
「俺、少しだけど土と風の魔法が使えるようになったんだ。ラズベリーの飯のおかげで、元気になって魔力も増した気がするし……だから何かできないかなって……」
「そうなんだね。それじゃあ、お父さんの手伝いとかもできるんじゃない? お父さんきっと喜ぶよ」
「そうなんだけど、それだけじゃダメなんだ。それだけじゃ、この生活から抜け出せない。ラズベリーにも本当は迷惑かけたくないんだ」
「僕の事は気にしなくていいよ、料理は趣味だし。沢山食べて貰えるのも嬉しいし、一緒に食べるのも楽しいから」
「そうか……」
「お父さんも地道に資金を貯めて土地を買い戻すって言ってたし、一緒に頑張ろうよ」
「そうだな……」

 その日、チョコミントの表情は晴れず、ずっと何かを思い悩んでいた。


 ◆


「チョコミントがいないんだが、何処に行ったか知らないか?」

 翌日、家に訪れた僕に血相を変えて飛び出して来たチョコチップが言った。

「え、チョコミントいないの? 僕、知らないよ……」
「今朝から何処にもいないんだ、何も言わずに何処かに行く子じゃないのに……何処に行ったんだろうな……」

 チョコチップは心配そうにオロオロとして、考えあぐねている様子だった。
 僕も心配になって、何処に行ったのだろうかと思考を巡らせる。

「昨日、チョコミントが魔法が使えるようになったから、何かできないかなって言っていたんだけど、何か関係あるのかな?」
「魔法? あの子が使えるのは土と風の魔法なんだが、何かって……まさか、まさかな、そんな筈ないよな……」

 チョコチップの表情がどんどん強張り青褪めて暗くなっていく。
 そして、貧民街の奥の方へと視線を向けて呟いた。

「まさか、魔鉱石なんかに手を出してないよな?」
「魔鉱石があるの?」

 そんな危険な物が近くにあるのかと、僕は驚いて訊き返した。
 チョコチップは躊躇いながらも、僕に説明して聞かせる。

「貧民街に接した『腐敗の森・・・・』の奥深くにある『毒沼・・』に巨大な魔鉱石がある」
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