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毎日少しづつ体調が良くなって来ているのが分かる。
ずっと部屋の中に居て、アンナ先生から借りた本を読んでいたんだけど、先生から天気の良い日には、庭に出てもいいと許可をもらったので、綺麗な庭園に出てゆっくり歩いたり、ベンチに座り本を読むことが僕の日課になった。
綺麗な青空を仰ぎ見て、
「あーあ。アンナ先生には、バレちゃったなぁ・・・ふふっ。」
僕が、ライの事を好きな事をアンナ先生には、バレバレだったみたい。
「ルーカス様は、殿下の事好きでしょう?」
「ど、どして?わかったの?」
「ふふふっ、ルーカス様の殿下を見る目が恋してる人の目だからね!」
「・・・恥ずかしい。」
「違う?」
「えっと・・・違わない。ライの事・・好き、大好き。でも、僕なんか駄目だよ。もっと素敵な人がいるよ。」
「そうかしら?ルーカス様は、とっても素敵だと思いますよ。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
「・・・・両思いだと思うけどな。」
先生が小さな声で何かを言ってたけど、僕には、聞こえなかった。
僕は、先生は何故医師になったのか、聞いてみた。
「そうですねえ、話せば長くなるんですが宜しい?」
「えぇ、是非、聴きたいです。」
アンナ先生には、弟がいる、いや、居たそうだ。
もう、天国に召されたみたいだ。
僕と同じで、生まれてから身体が弱くて、それでも希望を持ち、前向きに病気と闘う日々だった。
成人まで生きれた事に感謝しながら、過ごしていたと、しかし、病魔は確実に弟を蝕んでいた。
色々な医師に診てもらっても、治す事は出来ないと。
何が原因か解らぬまま、弟は息を引き取った。
息を引き取る前に、弟に言われた事があると。
「僕のように、病気に苦しむ人を助けてあげて?姉さんなら出来る。お願い。僕は姉さんがいてくれたから、幸せだったよ。ありがとう。」
先生は、この言葉を一生忘れない。と。
だから、先生は医師を目指す為に、死にものぐるいで勉強をしたそうだ。
医師になってからも、色々な症状の患者さんを診て、研究したり、薬を開発したりと頑張って来たと。
今なら、弟をこの手で助けてやる事が出来たのに、と悔しそうな顔で話す先生を、僕はただ見つめる事しか、出来なかった。
先生は、
「ルーカス様は、私の弟と似てるの。優しく、誰にでも心を寄せてくれる、そんな所がそっくり。本当に。」
僕は、そんな出来た人間ではない。
嫉妬心もあるし、醜い部分もある。
でも、先生は、
「それは、当たり前の感情よ。それが無いと人間ではないわ。その負の感情を感じさせないのがルーカス様なのよ。だから私はルーカス様に医師として、患者に寄り添える人になれると、思うのよ。無理強いはしないわ。考えてくれたら、嬉しいわ。」
ここの所、先生に言われた事をずっと考えている。
ー僕が出来る事ー
僕がライに想いを伝える事はない。
きっと・・・叶わないから・・・
公爵家だからと、いつまでも甘えている事は、駄目。
嫡男なら、公爵家としての仕事があるし、時期宰相として、動かなければならない。
それは、兄様がしっかり務めてくれる。
僕は?
そう、僕には何もない。
だから、日々悩んだりする。
これは、転機ではないだろうか。
頑張ってみようかな。
やれるとこまでやってみよう!
まずは、沢山の知識や、勉強をしなければ何も始まらないのだ。
よし、今が好機!
久しぶりのワクワクする気持ちで、僕は気合いを入れた。
それからは、アンナ先生達に何をすれば良いのか、相談する為に足繁く医師棟に通う日々が続いた。
先生達には、ライや皆に黙っていて貰うように、お願いした。
だから、今はライの側近の仕事は、お休みさせてもらったんだ。
せっかくライが、僕の為にと言ってくれたのに、申し訳ないと思う。
そうライに言えば、ライは、
「気にしなくていいよ。ルーが元気になるのが1番だからね。体調には気をつけるんだよ。」
なんて・・・なんて、優しいんだろう。
諦めたくても、諦められないよ。
大好きな大好きなライ。
本当に、ありがとう。
僕、頑張るから。
ライに、「凄いね。頑張ったね。」って言われるように。
だから、ライの側から離れる僕を、忘れてライに相応しい人と、幸せになってね。
ライの幸せが、僕の幸せなんだから。
そうして、僕はライにも家族にも、内緒でカンダス帝国に留学する事を決めたんだ。
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