騎士隊長と黒髪の青年

朔弥

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ジョルジュの企み (媚薬)

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 中いっぱいにアシュレイを感じながら莉人はアシュレイの隊服とシャツの前をはだけさせ、彼のきたえ上げられた胸に手を乗せた。引き締まった筋肉の張りに触れながら、莉人は腰を動かした。
「あっ····んうっ···は··ぁあ···」
 悩まし気な甘い嬌声をあげながら、アシュレイの上でしどけなく乱れる。
 だが、自分ではなかなか絶頂を迎えるまでの刺激を得られず、もどかしく躰を揺らす。
「ゃだ····お願···い·····」
 動いて欲しいと、欲情に満ちた瞳で強請ねだった。
「リヒト···」
 アシュレイは莉人の腰を掴んだまま、下から何度も突き上げた。
 下から貫かれる圧迫感に髪を乱しながら、淫らに喘ぐ。
「ぁあっ····んっ···や····あぁぁ······」
 あられもない声が絶え間なく洩れ、快楽の絶頂へと導かれていく。
 アシュレイはより一層深く内部に突き立て、莉人の躰を揺らした。
「···っつ·····あ、ああぁッ······」
 躰を仰け反らせ、震えながらアシュレイの躰に精を放った。イっても尚莉人の躰は淫欲に溺れ、アシュレイの熱い欲望を咥え込んだまま、物欲しげに躰をしならせる。
「や···だ······」
 少しも鎮まる気配のない、湧き上がる快楽におかしくなりそうだと不安に瞳が揺れる。
 アシュレイは莉人と繋がったまま、躰を抱きかかえベッドに組み敷くように体制を変えた。そして優しく莉人の頬を両手で包み込むように触れた。
「リヒト···心配しなくていい、薬の所為だ」
 涙で潤む目尻に安心させるように優しく口づける。


 ──── お前が求める限り

 抱いていていてやる ────




 ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇ ❇




 莉人の躰が落ちつき、眠りに落ちたのは朝方になってからだった。
 アシュレイはようやく眠った莉人を起こさないようにそっと部屋を出る。その足でアシュレイはグレースの部屋へと向かった。


 コン コン

 軽くドアをノックするとドアが開き、グレースが部屋に招き入れた。
「リヒトの様子はどうですか?」
 リディオから事の顛末てんまつを聞いていたグレースはおおよその事は察していた。
「ああ、落ち着いた···」
 少し疲れた表情でアシュレイはベッドの端に腰掛けた。
 グレースは机の上に置いてあった書類を手に取り、アシュレイに差し出した。アシュレイは受け取り、
「これは?」
と、目を通す。
「最近、貴族の間で横行している媚薬が問題になっています。常用性はないようですが、かなり強い催淫剤のようで···」
「······そのようだな」
 身をって体験したばかりだ。
「······」
 貴方でも体力の限界ですか、と言いそうになった言葉をグレースは飲み込む。
「それでリヒトに薬を入れた奴は割れたのか?」
「ええ、既に拘束済みですよ。ですが、薬の入手経路は不明です···今の所は···」
「?」
 歯切れの悪い言い方に、怪訝そうな顔をする。
「見知らぬ男から受け取ったそうですが、その男は神官の装いだったとか」
 グレースの神官という言葉にアシュレイの眉がピクッと動く。
 大いに心当たりのある人物が1名浮かぶ。
「······奴か」
「恐らく···。ですが証拠がありません」

 チッ·····

 アシュレイは忌々しそうに舌打ちした。
 証拠がなければ、また前回のように知らぬ存ぜぬでかわされて終わりだろう。
「グレース、リヒトに薬を盛った奴は何処の隊だ?」
「確か第6···だと思いましたが」
「第6の隊長に今回の件の責任を不問にする条件にジョルジュの動向の監視を伝えろ」
「分かりました」
 後は頼んだ、と立ち上がり部屋を出ようとしたアシュレイにグレースは声をかけ引き止めた。
「アシュレイ、それともう一つ問題が···」
 どう伝えるべきか、と考えあぐねているグレースに、
「何だ···さっさと言ったらどうだ···」
と、促す。
「え─···とですね···最近は彼に手を出そうと思う者も落ち着いたと思ったんですけど···食堂でリヒトの···その···姿に、欲情を喚起された者が多数···」
「·········」
「変な気を起こす者が出ないと良いのですが····」
 頭が痛いな···とアシュレイは額を押さえた。
 あの快楽に懸命に抗う様はそれだけで嗜虐心をそそられる。血迷う者が出てきてもおかしくはないだろう···。


 俺以外に触れさせはしない

 必ず

 ──── 守ってみせる

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