あの日の約束

朔弥

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告白

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「京也、帰ろうぜ」
 ホームルームも終わり、ガタガタと椅子や机の床を擦る音が教室のあちこちでする中、友人の一人である榊原篤史さかきばらあつしが声をかけながら近づいてきた。
「あ ─··悪ぃ、俺さ化学で分かんねぇとこを古賀に聞いてから帰るわ」
 化学の担当教諭である古賀こが真琴まことの名前を出しながら、辻本京也つじもときょうやは化学の教科書を取り出した。
「またかよ···いつからそんなに熱心に勉強するようになったわけ?」
 梅雨も開け、本格的な夏を迎える頃のこの時期の高校3年生の自分達には部活もなく、学校が終われば受験勉強にいそしむしかない。
「何言ってんだよ、俺ら受験生だぜ?苦手科目克服の為に決まってんだろ?」
 嘘をつくな!と篤史は横目で京也を見た。
「お前さ···いい加減に諦めたらどうだ?確かに化学の古賀は綺麗な顔してるよ···だけどよく考えろ!奴は俺らと同じ男だ!」
「力説しなくったって知ってるよ」
「しかも今までどんなタイプの奴が告りに行っても玉砕って話しだろ?男子校ここの雰囲気に流されて同性でも付き合えるって奴じゃねぇんじゃないのか?」
 俺みたいに、と自分を指差す篤史は女の子が大好きなノンケだ。他校に彼女もいる。そんな彼だが、入学した当初に同性の教師に一目惚れした京也を避ける事もなく普通に友人として接してくれていた。
「そう···かもしれねぇけどさ···」
 まだ何も伝えていない。一目惚れしてからずっと彼の姿を眺めていただけだった。2年越しの見つめるだけだった片想いから、3年となり卒業まであと1年しかない···そう思うとこのままでいいのかと焦りが生まれた。
 なんとかきっかけを掴みたくて、受験を口実に古賀のいる理科準備室に通う日々が続いた。
「そんなに悩んでんなら、さっさと他の奴らみたいに告って玉砕してこいよ。慰めてやっから」
 昼飯一回くらい奢ってもいいぞ~、と明るく笑いながら篤史は言った。
「何でフラれる前提なんだよ···」
 恨めしい視線を向けながらも、背中を押してくれている友人を嬉しく思う。


 今日こそは···

 伝えられるだろうか


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