お手てつないで。

お萩。

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夏のヒルガオ

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何か鼻歌交じりの歌を口ずさみ楽しそうに庭の手入れに勤しむ妻を他所に、座敷で本を読む。

気づけば、机の上に置かれた麦茶が入った硝子製の器はびっちょりと濡れている。
僕は、それを手に取り温くはなったが、まだ充分に涼を取れる液体を喉の奧へと一気に流し込む。



妻の名前を呼び掛けようとし、庭に目線をやると。
妻は、咲き乱れた昼顔を摘み取って居た。



傍らに、小さな女の子を連れてー。



和服姿のその娘は妻から昼顔を受け取ると。ソレを抱え、妻にペコリと頭を下げる。
妻は、微笑んでその子の姿を見る。


僕は席を立ち縁側の近くまで近づいて、妻に声を掛けた。



良く通る低く優しいお声が自身の名前が耳に響いたので、そちら側を見ると、先程まで本に没頭しておられた夫が縁側で此方を見て居たので嬉しくなって微笑んだ。

傍らに居る少女も夫に気づいた様子で、私が渡した夏に咲くお花をその小さな手で大事そうに抱えたまま。慌てて夫の方を向き、ピョコンと御辞儀してその場を走り去った。
私は「転ばない様に気をつけてね」と、少女の後ろ姿に話し掛ける。

コチラを振り返った少女は、ニッコリ笑ってー。


その場から、スゥーと消えた。




彼女が消えた途端。
ひぐらしの鳴き声が辺りに響き渡る。



私のすぐ隣りまで来ていた夫が、ゆっくりと少女が居た場所から、空を見る。

「今年も来たね」
「えぇーそうですわね」

互いに微笑んだまま。
私達は驚く事も無く。




今年も夏の終わりの兆しを感じて居たー。






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