2度目の高3(さいご)に恋をする。

テラガミコタロウ

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一学期

第6話 パワハラにも程がある

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キーンコーンカーンコーン
 授業開始のチャイムが、校舎中に鳴り響く。
 これから始まるのは委員会決め。一番の難関であった自己紹介を終えた(終わらせられた)俺には委員会決めなど屁でもない。何なら寝てても何とかなるだろう。いつも俺はあまり物の委員会に所属している。特にこだわりが無いからだ。楽なら何でもいい。
「はーい、じゃあ学級委員から行こうか!」
 黒板に【学級委員長】と書き意気揚々と話す松島には多少の覇気が感じられた。
 学級委員長。これは絶対にやりたくないな。こだわりが無いとは言ったが、これは別だ。クラスの中心に立つなんて今までの3年間一度も考えた事なかった。行事があれば率先して企画、運営にまわり、何かクラスで問題がある度に「学級委員長がしっかりしてないからだ」などと教師から言われる。そんなの、自分から望んでやる人などいるのだろうか。
「学級委員長やりたい人ー!」
––シーン
 松島が声をかけるが、案の定反応する人は誰一人としていない。
「あちゃー、どうしようか」
 松島は腕を組み思索している。
 すると、何かいいことが思いついたようで、こちらに向かって笑みを浮かべた。こちらというのは俺たち生徒の方か、または俺個人へか、一瞬目があった様な気がしたが、気のせいである事を祈りたい。
 
「あ、良いこと思いついちゃった」
 そして松島はいきなり手を挙げ続ける。
「推薦です! 坂井、学級委員長やれ」
 
 はああああああああああああああああ?
 一瞬思考が停止した。何がどうなったら松島が俺を推薦するんだ。意味がわからない。
 クラスメートはみんな俺の方を見て、ずいぶん嫌そうな顔をしている。
 隣に座る美空ですら、こちらを心配そうな目で見てくる。
「いやいや、やらないですよ!」
 俺は慌てて反論した。
「ていうか何で俺なんですか? 他にもいるでしょ! 出来そうな人!」
 そう、さっきの自己紹介を聞いていた感じだと、このクラスには俺の何倍もリーダーシップが取れそうなやつがいっぱいいる。なのに俺を推薦するとか、これはもはやパワハラだろ。
「何故かって? そりゃこの中で一番年上だし」
 当たり前だ。というか一番年上はあなたでしょ。
「それに……やっぱりユーモアが欲しいからさ」
 ユーモアってなんだよ。意味をよく知らないが、バカにされてるのは良く分かる。
 しばらく沈黙が続いた後、また尾市が口を開いた。
「せんせー、いくら何でも留年のあいつを学級委員長なんかにしたら、このクラス崩壊しますよ。だったらあそこですまし顔したあいつにしてくださいよ」
 そう言って尾市は、窓際の前の方の席の男子を指差す。
 こればかりは尾市に感謝だ。でもそこまで言われるとちょっと腹立つが。
「あぁ、泉ね。彼生徒会に入る予定だから学級委員長にはなれないんだよ。本当は泉にお願いしたいんだけど」
 泉シュウイチ。程よく伸び切った髪。身なりの整ったその風貌は優等生感を一段と引き立てている。
 尾市は澄まし顔とか言ってたが、俺から見るとただぼーっとしているだけのようにも見える。
 だが自己紹介の時、あの泉という奴はハキハキとした抜群のトーク力で、クラスメートを唖然とさせていた。クラスの代表を務めるには十分。いや、十分すぎる男だ。
 
「ん? あ、何か言いましたか?」
 少し間をおいて泉が反応する。どうやら本当にぼーっとしていたみたいだ。
「うっせえ!」
 尾市が泉に向かって言い放つ。流石に理不尽すぎて泉が可哀想だ。
「まあとにかく、適任は坂井しかいないよね! だって、誰も手挙げてくれないんだもんね! はい決定!」
「ちょ、ちょっと待っ……」
「それじゃあ、学級委員長が決まったってことで、前に出て来い坂井! 後の委員決めはお前に任せる!」
 そう一方的に言って松島は教室から出て行った。
 
 一生恨む。
 もうこれは、正真正銘パワハラと言って良いだろう。
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