ヒナの国造り

第３章・若さを保つ食材

いざ、頂へ②

登山口に到着したヒナは早速準備運動を始めたのである。激しい動きを予想してか身体の調整を行う。

「よし、入るわよ！」

登山口は洞窟の入り口のようなトンネルになっていた。やや薄暗いトンネルの中を少し進んでいくとすぐに出口が見えてきた。

「ここが……山道か！」

山道は大きな木が生い茂っており、森の中みたいな感じではあったが、道はちゃんとあり進みやすい感じである。

「でも罠が有るかもしれないから気を付けないとね。」

ヒナはここですべての道具を装備して準備を終えた。いざ進もうとすると何かの呻き声のようなものが聞こえてきた。

“ウォォォーーッ！！”

ヒナはそれが猛獣の鳴き声だと察知した。近くにいるようだが極力近づかないようにしようと慎重に歩く。するとミニサイズ(とはいっても人間の２倍は大きい)の恐竜のような猛獣がいた。怪物だらけと聞いていたが“怪物”といえるような猛獣はいない。その場を去ろうとヒナは少し駆け足をした。すると……

「うわあ！足がめっちゃ早くなってるわ！」

なんと、このオーシャン・エメラルドで作った野球のレガースのような防具は足を早くする効果もあったようだ。猛獣をこの防具で回避に成功し、ヒナは一安心からか小さなため息を吐いた。

「ふぅ～、よかった。こんな能力があるとは“オーシャン・エメラルド様様”だね。」

ところがお腹が空いてきているのか突然気分が絶不調になったヒナは少しよれよれの状態になってしまったのだ。

「お腹が……朝結構食べたはずなのに……」

原因不明(？)の空腹に苦しむヒナだったが目の前にあるものを発見した！

「おぉ！大きなイチジクだぁ！」

目の前にかなりでかいイチジクを発見。ヒナは空腹のあまりそのイチジクに向かってダイブをしたのであった。

「いただきまーす！」

ヒナがダイブするとそのイチジクのてっぺんが開き、ヒナがその中に入ってしまったのだ。

“パクッ！”

ヒナが中に入るとイチジクは閉じた。どうやらこれはイチジクではなく食人植物だったようである。逆にヒナが食べられてしまったようだ。

ところが突然イチジクが内部から切り刻まれてヒナが脱出したのである。そしてヒナが別のイチジクを発見すると小刀で一振りするとそのイチジクも切り刻まれたのである。

「この小刀、すごく使えるわ！お腹が空いていたからとはいえ、食人植物と気付かないのは私の判断不足。絶対に気を付けないといけないわね！」

油断をした自分を恥じたヒナは突然目の前に現れた猛獣を小刀で切りつけると猛獣は真っ二つになった。そして切りつけたあとでまた少しお腹が鳴りはじめたのだ。

「この小刀……とても切れ味が良いわ。あとオーシャン・エメラルドの道具を使うと理由は分からないけどお腹が空くみたいね。」

道具の使い方やメリット・デメリットを理解しはじめてきたヒナはこの後は途中までは順調に順調に登山を続けていったのである。

登山の途中で木がなくなって登山道から村が見える場所へとやってきたヒナは直露達に聞こえるようにしたのかただ叫びたかったのかは分からないが大声を出した。

「みなさーん、おはようございまーす！！猫屋敷日奈凛でーーっす！！」

大声を出したためかヒナはスッキリしたような笑顔を見せたのである。

「大声を出したらスッキリしたわ！」

その頃、直露達は民宿の多忙で外に出ておらずヒナの声は聞こえなかった模様。しかし、外にいたブルーサイドの人たちには聞こえていた模様。

「ん？どこかで選挙活動しているのか？」

「天国からのメッセージなのか！？」

「空耳……かな？疲れてるのかな？」

「指名手配犯がふざけてどこかから叫んでいるのか？くそーっ、捕まえてやる！！」(ブルーサイドの警察官)。

どうやら本人の意図とは別に変な見解をされているようである。それを知らないヒナは再び登山を再開した。