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第3章・若さを保つ食材
村への帰還と食材の正体②
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この日の食事はごはんと魚の塩焼きとサラダと漬物に加えて少し大きめのステーキが出たのだ。食堂にはヒナ、直露と家族(両親、妻、姉夫婦、甥)ととある一家(中年夫婦と息子)の10人がいた。普通に和気あいあいの雰囲気であった。
トイレを済ませたヒナは遅れて食堂にやって来たのである。ヒナの服装は浴衣姿に池に転落した際に身体を冷やしたのか黒いストッキングを履いていたのである。食堂の入口のカレンダーをチラッと見ると……
「(今日は2006年4月12日……施設を出たのは4月7日だから時は元の世界と一緒なのね……)」
どうやら異世界と実世界の時の流れは同じのようであった。カレンダーを眺めて目が潤むヒナに直露が声をかけたのだ。
「ヒナちゃん、どうしたの?一緒に飯を食べよ!」
「うん!食べる食べる!!」
ヒナは右となりに直露が座っている席に座ると左となりには中年夫婦の夫人の方がいた。
「お疲れ様でした。美人な子ねえ……!」
「いえ、私はそうでもないですよ!!?」
突然美人と言われてヒナは驚いた。ヒナは昔から外見で誉められたことが意外とないためか確かに美人ではあるが綺麗とか可愛いとかと言われるのに抵抗があるようだ。
すると夫人の女性は写真をヒナに見せたのである。シェルティー(シェトランドシープドック)の写真であった。
「この子シェルティーですね!!」
「『シェルティーってなにかしら?』この子はシャルデンテシープドックという種類でシャルデンテと呼ばれているのよ……」
そう言えばここはヒナの元居た世界ではないのだ!!ヒナは事情を説明すると夫人の女性は理解したようで話をこのシャルデンテ(シェルティー)に戻したのである。
「この子は今は何歳ですか?」
「この子はね……少し大きく育ったけどわずか一歳で死んじゃったの。“ユータ”という名前だったのよ。身体の気管と細胞が老化していたからもし若返る何かがあれば助けられたのかもしれないわ……」
どうやら夫婦は愛犬が居たが早くに亡くしてしまったらしい。一方で直露は父と関係ない雑談をしていたのである。
「最近赤い雲が発生したのにまだ何も起きてないな!何もないのか今年は?」
「お父さん、油断禁物っ!まだ何が起こるか分からないよっ!!」
直露の話を他所に夫人の女性はヒナに犬の思い出話をしていたときであった。
「もしこの子が助かれば息子が独立したときに息子みたいな存在になれたのに……」
「こらっ!お前が受験勉強で“若返る果実”を山まで探しに行かんからユータは死んだんだ!!お前は愛犬が可愛くなかったのか!?」
「親父、突然なんだ!?全て俺のせいかよ!!いい加減にしろよな。親父こそ時間のある日でさえ行かずに家で野球中継見ていただけだったんじゃないか!!?」
なんと夫人の横で夫と息子の喧嘩が始まったのである。それはもはやややこしい一悶着であった。夫人がなだめるも二人は聞く耳も持たない。ちなみに二人は酒は入っておらず怒りに我を忘れているようだ。
「親父がしっかり面倒見ていたら助かったかも知れないんだぞ!!あと『受験近くて無理だからその時は親父頼むぞ!!』といっただろ!!なのに全て俺のせいにしやがって!!」
隣同士の二人は軽い掴み合いとなったのである。その時に息子の男性が怒りのあまりに投げ飛ばした灰皿(一本も吸ってないので吸い殻は入っていない)がヒナの頭部にぶつかったのであった。
「いった~!」
しかし二人はヒナに気付かずにまだ言い合いをしていたのである。
「このくそ親父!!」
「言うことも聞けない可愛くない息子だな!!」
ヒナはついに堪忍袋の尾が切れたのかカツンとなって怒ったのである。
「ちょっとあなたたち!!何を怒っているの!?若返る果実がどうのこうので争わないでよ!!話を聞いていたらどっちも悪いように見えるわ!!“両成敗”だよ!!」
親子は怒る彼女を見て唖然としていたのである。勿論二人とも反論できないのだ。
「そんなことで争っていたら死んだユータくんが可哀想よ!!しょーもない争いなんかしてほしくなかったに決まってるよ!!!ね!!もう争わずにいようよ!!それがユータくんの為になるはずだよ……ね!!」
二人は少し悪いことをしたと自覚したのかうつむき加減であった。ヒナの表情は少し怒りが出ていたが涙も流していたのであった。
「今は旅行に来ているんだからみんなで楽しんでいた方が良いわよ。その子もそっちの方が嬉しいはずだよ……」
「ヒナちゃん……」
直露は驚いた表情をしながらも彼女の心境を少しだけ理解していた。彼だけでなく喧嘩していた二人も彼女に言った。
「ごめんなさい……」
続けて息子が言う。
「あいつが生きていたらあなたと同じように怒っていたと思う。悪いことしました……」
ヒナは息子の目の前で正座して語ったのである。
「私が“若返る果実”を持ってきたからもう喧嘩しなくてすむから……ね。もう争わないでください……」
息子も父も涙を流していた。夫人の女性も直露も少し涙を流していた。すると直露の父が何処かへと行き、すぐに全員分のチョコレートケーキをおぼんに積んで持ってきたのだ。
「甘いケーキを食べて心穏やかになりましょう!!」
皆がケーキを食べると雰囲気は少し穏やかになった。赤い雲が現れたら起きる災いとはこの事だったのか……それは分からないが一瞬とはいえ一夜の争いであった……
トイレを済ませたヒナは遅れて食堂にやって来たのである。ヒナの服装は浴衣姿に池に転落した際に身体を冷やしたのか黒いストッキングを履いていたのである。食堂の入口のカレンダーをチラッと見ると……
「(今日は2006年4月12日……施設を出たのは4月7日だから時は元の世界と一緒なのね……)」
どうやら異世界と実世界の時の流れは同じのようであった。カレンダーを眺めて目が潤むヒナに直露が声をかけたのだ。
「ヒナちゃん、どうしたの?一緒に飯を食べよ!」
「うん!食べる食べる!!」
ヒナは右となりに直露が座っている席に座ると左となりには中年夫婦の夫人の方がいた。
「お疲れ様でした。美人な子ねえ……!」
「いえ、私はそうでもないですよ!!?」
突然美人と言われてヒナは驚いた。ヒナは昔から外見で誉められたことが意外とないためか確かに美人ではあるが綺麗とか可愛いとかと言われるのに抵抗があるようだ。
すると夫人の女性は写真をヒナに見せたのである。シェルティー(シェトランドシープドック)の写真であった。
「この子シェルティーですね!!」
「『シェルティーってなにかしら?』この子はシャルデンテシープドックという種類でシャルデンテと呼ばれているのよ……」
そう言えばここはヒナの元居た世界ではないのだ!!ヒナは事情を説明すると夫人の女性は理解したようで話をこのシャルデンテ(シェルティー)に戻したのである。
「この子は今は何歳ですか?」
「この子はね……少し大きく育ったけどわずか一歳で死んじゃったの。“ユータ”という名前だったのよ。身体の気管と細胞が老化していたからもし若返る何かがあれば助けられたのかもしれないわ……」
どうやら夫婦は愛犬が居たが早くに亡くしてしまったらしい。一方で直露は父と関係ない雑談をしていたのである。
「最近赤い雲が発生したのにまだ何も起きてないな!何もないのか今年は?」
「お父さん、油断禁物っ!まだ何が起こるか分からないよっ!!」
直露の話を他所に夫人の女性はヒナに犬の思い出話をしていたときであった。
「もしこの子が助かれば息子が独立したときに息子みたいな存在になれたのに……」
「こらっ!お前が受験勉強で“若返る果実”を山まで探しに行かんからユータは死んだんだ!!お前は愛犬が可愛くなかったのか!?」
「親父、突然なんだ!?全て俺のせいかよ!!いい加減にしろよな。親父こそ時間のある日でさえ行かずに家で野球中継見ていただけだったんじゃないか!!?」
なんと夫人の横で夫と息子の喧嘩が始まったのである。それはもはやややこしい一悶着であった。夫人がなだめるも二人は聞く耳も持たない。ちなみに二人は酒は入っておらず怒りに我を忘れているようだ。
「親父がしっかり面倒見ていたら助かったかも知れないんだぞ!!あと『受験近くて無理だからその時は親父頼むぞ!!』といっただろ!!なのに全て俺のせいにしやがって!!」
隣同士の二人は軽い掴み合いとなったのである。その時に息子の男性が怒りのあまりに投げ飛ばした灰皿(一本も吸ってないので吸い殻は入っていない)がヒナの頭部にぶつかったのであった。
「いった~!」
しかし二人はヒナに気付かずにまだ言い合いをしていたのである。
「このくそ親父!!」
「言うことも聞けない可愛くない息子だな!!」
ヒナはついに堪忍袋の尾が切れたのかカツンとなって怒ったのである。
「ちょっとあなたたち!!何を怒っているの!?若返る果実がどうのこうので争わないでよ!!話を聞いていたらどっちも悪いように見えるわ!!“両成敗”だよ!!」
親子は怒る彼女を見て唖然としていたのである。勿論二人とも反論できないのだ。
「そんなことで争っていたら死んだユータくんが可哀想よ!!しょーもない争いなんかしてほしくなかったに決まってるよ!!!ね!!もう争わずにいようよ!!それがユータくんの為になるはずだよ……ね!!」
二人は少し悪いことをしたと自覚したのかうつむき加減であった。ヒナの表情は少し怒りが出ていたが涙も流していたのであった。
「今は旅行に来ているんだからみんなで楽しんでいた方が良いわよ。その子もそっちの方が嬉しいはずだよ……」
「ヒナちゃん……」
直露は驚いた表情をしながらも彼女の心境を少しだけ理解していた。彼だけでなく喧嘩していた二人も彼女に言った。
「ごめんなさい……」
続けて息子が言う。
「あいつが生きていたらあなたと同じように怒っていたと思う。悪いことしました……」
ヒナは息子の目の前で正座して語ったのである。
「私が“若返る果実”を持ってきたからもう喧嘩しなくてすむから……ね。もう争わないでください……」
息子も父も涙を流していた。夫人の女性も直露も少し涙を流していた。すると直露の父が何処かへと行き、すぐに全員分のチョコレートケーキをおぼんに積んで持ってきたのだ。
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