ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第4章・ドーリンの洞窟と若さの効用のルーツ

ヒナと直露

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直露と彼の義兄の二人は様子をうかがい、彼女に近づいたのであった。

「大丈夫なんか?」

「大丈夫だよ直露くん!あとこの人は?」

「これは僕の義理のお兄さんだよ。つまり僕のかみさんのお兄さんということ。うちのかみさんが連絡してヒナちゃんを助けるよう恃んでくれたみたいで来てくれたんだよ!」

「ヒナちゃん、はじめまして。直露くんの義兄の菱鼓有久(ひしづつみ・ありひさ)といいます。これからもよろしくね!」

「この度はありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。」

ヒナは有久にお辞儀をすると有久は彼女に感心してしまったようだ。

「直露くん、彼女はすごく礼儀正しいな。本当に素晴らしいや。ヒナちゃん位の歳でここまで礼儀正しい子は本当に立派だよ。」

すると話をしている最中に束椎木の兄の方が目覚めたようである。

「おい……そこのお嬢ちゃん……」

「どうしたのですか!?怪我がひどいですよ!!」

「(いや……お前がやったんだろが……)なんだあんたは?もう義兄もいるからあんたらは俺らには勝てんぞ。何を言いたいんだ!?」

「ちがう……真相を言いたいんだ……あの洞窟の秘密や俺らのバックにいる人物のこともな……」

「バック……?どういうことだ。自分達の後ろに誰かいるのか?」

束椎木兄は隠された事実を淡々と語りはじめたのである。

「俺は……本当はお嬢ちゃんを襲う気はなかったんだ。」

「嘘つけ!さんざんひどいことしまくっていたくせに!!」

「違う……弟は重度の洗脳を受けていたんだ……こいつはもう人格破綻しちゃってるんだよ……」

「おい、お前もあれこれしておいて自分は大丈夫とか抜かしているんじゃないぞ!!」

「そうだな……あんたの言う通り、俺も悪い。エスカレートしてしまって善悪の判別すら出来なくなっていたんだ……」

「犯罪者みたいな言い訳するんじゃねえ!!」

「直露くん、落ち着いて!!ゆっくりこの人の話を聞きたいの!!」

「ヒナちゃん……」

さすがにヒナに制止されると直露は怒りをおさめて冷静になった。束椎木兄弟の洗脳とは一体何なのか彼女は知りたかったのだろう。

「まあ、闇の世界に生きてきた俺達が普通のやつらと人格がけた外れに違うのはお嬢ちゃんがやられた通りのことを見ればわかる。」

「私は初めての思い出を奪われたこと“だけ”は絶対許さないわよ!どんな理由があっても……ね!!」

「(思い出を奪われたこと“だけ”って……それ以外は許すのかよ!!あれだけのことをされてるのに……!!)」

直露は心の中で突っ込んだが、話は本格的な部分に触れていた。

「まあそんな部分を普段から見せていた俺らはある日な……魔界の主に選ばれたみたいなんだ。あのドーリンの洞窟の守る役割を……な……」

「それでなぜ私が洞窟に行ってはいけなかったのかしら?」

「ああ、それか。それはな……あの食材には魔界には都合の悪い“成分”があってな、あの洞窟には成分の秘密が隠されていて山で食材をとったあんたがあの洞窟に行くのを恐れていたみたいだよあの方は……ぐっ……」

束椎木兄は突然力尽きたのであった。

「大丈夫ですか?続きを聞かせてください!!」

心配して身体を揺するヒナに直露は言う。

「心配しなくて良い。洗脳が解けたのとさっきのダメージで意識が薄れているだけだ。命に別状はない。だが、ヒナちゃん。君は人が良すぎる。こんなやつらを心配するとか普通では有り得ないのではないのかな?」

「でも直露くん、私は辛い生活をしてきてこの人たちの辛さも分かるような気がするの。私みたいな考えの人は少ないかもしれないけど私みたいな人が一人でも多くいれば憎しみとか争いとか減ってくれると信じてるの……」

「そうか……そんなヒナちゃんのこと俺は嫌いじゃないぜ。」

「俺も嫌いじゃない!良い子だなおい!」

「みんな、ありがとう。直露くんも本当にありがとうね!有久さんもありがとうございます!!」

そして警察官らしき人たちが工場に来て、束椎木兄弟を連行して一旦治療してから逮捕ということになった。ヒナは怪我もあり、一旦入院が決まったのである。直露はヒナの横に寄り添うことにした。二人の仲は兄弟以上の絆があったのだ。
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