ヒナの国造り

第４章・ドーリンの洞窟と若さの効用のルーツ

洞窟の中の禁断の成分⑥

危険だが先に進める方法があるという直摩にヒナは戸惑う。

「この先に進むことはこのままではできない。だが一つだけ方法はある。あの左の道の足場無い部分に足場を作ることだな。」

なんと直摩は左の道の足場を作れと無茶をいいはじめたのである。さすがにヒナは猛反対したが、無理もない。あの左の道の足場の無い場所の対岸の壁には穴があり、先へと進める気配がある。だが一つ間違えれば危険なマグマに転落するからである。

「それだけは止めましょう！！あそこは強烈なマグマが煮え切っています。まちがえればマグマに飲み込まれますよ！！」

「ふーん、君はそこまでの冒険家だったのね。残念……！危険がワクワクさせてくれるといいながらマグマに落ちたらなんちゃらとか骨がないね。」

「そんな言い方…………！！」

「僕は昔、やってみせたよ。マグマの海の上の綱渡りにも挑戦したことがあるし溶却炉の工事を命綱なしでしたことがある。一歩間違えれば即座にあの世行きだよ(笑)。それくらいの危険は普通に日常茶飯事的な感覚でしていたよ(笑)。」

「…………！！」

「でもヒナちゃん、成功率は決して低くない。チャレンジしてみようか！！」

そして二人は左の道の終点へと向かい到着したのであった。下を見ると今日もマグマの煮えたぎりぶりは健在である。しかし先まで遠く、たどり着くまでに転落するのではとヒナは感じたという。

「先に進みたくても転落したらもはや絶命ですから……どうやって渡るのですか？」

「渡る方法はあの対岸の穴の横辺りに針金を引っかけれるような部分があるだろう。あそこにこの先端に針金付きのロープをうまく引っかけるようにするんだ。引っかける部分は穴の左右に２ヵ所あるから日本のロープを引っかけるとまずは土台が出来るよ。」

「(そんな無茶な！！)」

ヒナは無理を悟った。第一、仮に通せたとしてもそれでどうやって渡れと言うんやという話である。

「そうしたら本当に渡れるのですか？」

「それは通してから。」

直摩の無茶ぶりにヒナは困惑した。しかし２つのロープをまずは引っかけるようにすればいいと思い、カウボーイのごとくロープを回してから勢いでロープを投げたのである。するとロープは引っかける部分にうまく入ったのだ。そして隣の直摩を見るとなんと経験者の手つきともいえる腕前だからか余裕でロープを引っかける作業をしていたのである。そしてうまいこと引っかけるのだから恐ろしい。

だが、引っかけてからどう運ぶのか……明らかに渡れるはずがない。ヒナが疑問に思うと直摩は言った。

「二本だけでは足りないだろう。だから『二人では難しい』んだ。だけどここからチャレンジだよ！！」

「“ロープ渡り”だよ。」

「そんな無茶な！！」

なんと消防士のトレーニングのごとく、ロープにしがみついて向こうへ渡れということであった。さすがのヒナも恐怖心からか汗が流れまくったのである。