ヒナの国造り

第５章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

テロリスト指定①

水曜日の活動を終えて直露の旅館へと戻った一行の顔つきは疲れていた。ヒナも直露も支援者の仲間達も皆疲労を隠せずにいた。

「疲れたけど嬉しい声も聞けて良かった。これからはもっと支持の声をいただければなと思います。みなさん、本日もお疲れ様でした。」

全員で食事を済ませてから各自は部屋に戻ったのである。ところが夜８時頃、難麦がヒナの部屋の扉を勢いよく開けて怖い顔をしていたのである。

「え？どうしました？」

「お嬢ちゃん！！居間に来て皆でテレビを見てくれないか！！？」

難麦に連れられて居間にいくヒナであったが、テレビに映っていたのはなんとあの人物であった。テロップには『危険候補者の動き』と表示されていたのである。

「日紙さん、こんばんは。今日の危険候補者の方はどちらの方でしょうか？」

「こんばんは。市川さんはご存じあるかは分かりませんが『日紙直露候補』ですね。彼は強い過激思想の持ち主でこの地区をまず乗っ取ろうとしていますよ！！」

「へえー、恐ろしいですね。危険な候補者は何人かいると聞きましたが、こんな人物がいるとは知りませんでした。」

なんと直伸がテレビに出演してアナウンサーに直露の中傷を吹き掛けているのだ。しかも相手も信じており、メディアで直露批判が展開されたのである。嘘を吐きまくる直伸にそれを真に受けるアナウンサーのやりとりに皆が激怒した。

「このアホアナウンサー！！こんなやつの話を何信じとんねん！？」

「直伸のやろー、嘘ばかりつきやがって！！てめえこそ過去に大犯罪クラスの悪事をしでかしたことを忘れたか！！？」

「こいつらぶん殴りてー！！」

「直伸は嘘ばかりついてるな。テロリスト指定とはどういう姿勢だよ！！」

怒りごうごうの居間で直露はただ黙って見ていたのである。すると直露の隣にいたヒナがボソッと呟いたのである。

「直伸さんのしゃべり方を見ていると自分が嘘をついているという自覚はないわ。だからああやって巧いこと相手に伝えることが出来るから市川さんを騙すことが出来るのね。直伸さんは本当に口が達者だわ……」

「ヒナちゃん……よく人の心理が分かるんだな……」

「よく見ていたら分かるわよ。市川さんは全然自分の考えを喋っていないわよ。自分の思想より直伸さんの考えを番組の目玉にしているのが分かるわ。」

「あ……何か喋り始めたぞ。」

再びアナウンサーと会話を始めた直伸であった。

「ああ、今日はその日紙直露候補に会いました。活きのいい支援者もたくさんいて綺麗な子もいて羨ましかったですよ(笑)」

「へえー、そんな子もいましたか。そして明日以降はどうされるのですか？」

「明日以降？そうですね。直露候補とその仲間達をとりあえず潰します！！芽は摘み取るべきですから！！」

これを見た直露支援者達は興奮し始めたのである。

「やれるものならやってみろ！！」

「てめえらに負けたくないわ！！」

「明日以降が楽しみだな！！」

すると直露は「静かに」と周囲を静寂にしてある決意を語り始めたのだ……