ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
246 / 762
第10章・団結に向けて

竜太に似た男③

しおりを挟む
和也は松浦に言う。

「まあ、松浦さんとやら……俺達は悪(ワル)なんだよ。」

「話聞いてたらそう思うわ(笑)。」

「成る程な……そういう見解をするのかね……」

少しにやついた和也は松浦にある発言をしたのである。

「さっき何で“俺達”と言ったか分かるか?」

「さあ……?」

「俺もいとこも悪だからだよ……」

するとこのタイミングで恭次郎が余計なことを言ったのである。

「父方か?母方か?」

「父方だ……母は一人っ子だ……」

「そうか。ありがとう!」

横で聞いてた恭次郎の妻が恭次郎の頭をハリセンで叩いたのである。

「ギャ!」

「いらないことを聞かなくてよろしい!!」

松浦は恭次郎夫妻を見つめていた。

「(何だ……?)」

「ふははははっ!!松浦!!俺は道を譲っても睨み付けてきた男女を能力の剣で斬りつけたことがある。」

「何っ!?」

「態度の悪いやつは切り刻むというわけだ……!!」

「残忍すぎる…………!!」

「俺のいとこはサンライトベアシティにて12年前に金目当てに資産家夫人を斬り殺して、5年前にも金目当てで男性を斬り殺しているんだぜ……」

「わ……お前のいとこは……」

「どうだ……恐ろしいだろ……!!」

「………………クズじゃねえか。」

「!?」

「みんなー、こいつとそのいとこはクズだぞーっ!!せーの……」

「クーズ!!クーズ!!クーズ!!」

松浦側からの“クズコール”にあまりにも耐えきれない和也はあるエピソードを疲労することにしたのである。

「あのな…………東住吉竜太という男はな……宅配時代に元議員の駐車場の車にポシェットをぶつけたらしい。なかなかのクズだろう……?」

どうやら竜太の“クズエピソード”らしいようで和也はどや顔で披露したのだが、皆の反応は冷ややかだった。

「殺人の方がクズだと思いますよ。」

早速尚徳の一言が和也の心を突き刺してしまったのである。

「な……なんだと……!?」

気持ちの揺らぐ和也に恭次郎は言う。

「東口家は今は財産がないから若いうちは宅配などのアルバイトで稼ぐことを学ぶ家訓があるが、宅配中に自分の身体や荷物が車にぶつかることはよくあるよ。」

続いて音揃も言う。

「ええ、僕も新聞配達のバイトしたことありますがそういうことはたまにはあります。」

さらには恭次郎夫人も……

「私は父から『二十歳(はたち)になれば家から出ていって稼がなくてはいけない』と言われていたから二十になる前に宅配の仕事をしていました。勿論ぶつかりますよ。」

「ぶつかったらどうしてる?」

「謝るのが本当は大切なことかもしれないけど謝ったら弁償代も請求されかねないからやはり逃げるわ……」

「だよな。逃げるのはよくないのはわかるが弁償だけは嫌だからなあ……」

松浦は宅配経験者とあって皆の発言に頷いていた。そして東口は尚徳に話を振ったのである。

「尚徳さんは配達の仕事とか……?」

「本業ではないけど勤務していたレストランのメニューのチラシを一件一件配る仕事(ヒナの世界でいうポスティング)が時々ありまして夏の暑い日にも配ったりしました。何かに身体や鞄をぶつければ当時は若いので気にせずその場を去りました(笑)。」

「というわけで殺人の方が許せないことだと決定しました!!せーの!!」

東口が音頭を取ると……

「クーズ!!クーズ!!クーズ!!クーズ!!」

「ぐぬぬ……!!」

和也が怒りの表情でオレンジの果実をかじろうとした時、ある声がこだました……

『解せぬ…………』

「!?」

『お前たち……まだ10合のうちの1合の半分も登れていないくせに何を下らぬ茶番劇をしているのだ……!?』

「いえ……茶番劇などとは……」

和也は謎の声に返事をすると声はさらに怒りのようなものを秘めたものと化したのである。

『お前たち……すこし反省したらどうだっっっ!!!』

“ドドドドドっ!!!”

“ゴーーーッ!!!”

近くに雷が落ち、その衝撃で全員が転んだのである。

『お前たち…………“あの人”に恥じぬ行動を見せろ!!!』

謎の声はそう言うとその声は聞こえなくなったのである。いったい何だったのだろうか……?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

廃城の泣き虫アデリー

今野綾
ファンタジー
領主の娘だったアデリーはある日家族を殺され育った領地から命からがら逃げ出した。辿り着いた先は廃城。ひとり、ふたりと住人が増える中、問題が次々とおこって… 表紙はフリー素材です

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...