ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
270 / 762
第10章・団結に向けて

闘いは終わる

しおりを挟む
竜太が高直を倒した前後の頃、松浦と対峙していた和也と雅也との戦いは一区切りを迎えていた。それは雅也の携帯に電話がかかってきたからだ。

「もしもし…………それは本当か……それなら戦っている暇はないなあ。すぐ急ぐわ!!」

電話を切った雅也は和也に伝える。

「俺らの仇がトライギアに出没した……急ぐぞっ!!」

「分かった。急ぐぞっ!!」

「お前ら、戦いはどうするんだ……?」

「もう今は終わりだ。俺達は仇に異常な憎しみがある。まずはトライギアへ行くから次また会おう!!」

「分かった。必ずまた決着をつけよう……!!」

松浦に二人は決着をつける約束をして去っていったのである。再会と決着を夢見てである……

「松浦さん、大丈夫ですか?」

「尚徳さん、ありがとうございます。尚徳さんこそ転倒していましたが大丈夫でしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ。」

松浦を皆が心配してくれていたようである。松浦は皆の顔を見ると笑顔で応えたのである。


一方でヒナは振媛との戦いを終えたあと、喜渡楽の部下の職員の甲斐東崇(かいとう・たかし)に呼び出されたのである。

「一体何かしら?」

「君とそこの二人(雪と喜愛)に通告があるそうだ。」

「?」

「君達はトラブルが多く、手がつけられないと喜渡楽様から苦情があって明後日から出ていってもらうことにした。」

「本当に!?やった!!」

なんと3人は振媛を倒したことによってトラブルメーカーと見なされて追放されることが決定したのである。だが喜愛は少し複雑な表情を見せていたのである。

「お父さん、お母さんに会えるのは嬉しいけどここの友達と離ればなれになるのは辛いよ……」

「でも私達がいるから……大丈夫よっ!!」

ヒナは悲しそうな顔をした喜愛の頭を撫でて励ましたのである。そして気がつけば二日経過したのである…………


そして2週間後、アラドマウンテンの山頂の広場にヒナはいた。方舟を探しに無事登頂したのである。すると向こうからたくさんの人々が集まってきたのである。


集まってきたのは竜太、稲田、サトキ、京介、雪、東口純一、東口与一郎夫妻と喜愛、尚徳、松浦、音揃俊策、高直邦子・幹夫親子、青山恭平、花井衆、浜田京猛敏の17人であった。高直親子は竜太がアラドシティに到着したときにたまたま見つけてたくさんの写真を無事に渡したのであった。

「みんな!」

「ヒナちゃん、元気そうだな!」

「尚徳お父さん!!来てくれたのね!!」

二人は熱い抱擁をしたのである。そして旅の続きはどうするか尚徳は質問したのである。

「まだ旅を進めるか?」

「うん、まだまだ世界は広いし見に行きたいところはある。帰る方法も教えてもらえるからまた尚徳お父さんのところにも顔を出すよ。」

「ああ、それなら嬉しい。気を付けてくれよな……死ぬなよ……必ず帰ってこいよ……!!」

二人が励まし合っているときに高直親子は竜太に声をかけていた。

「この度はご主人の件で申し訳ございませんでした。」

「いえ、本当にシャロンさんも竜太さんも辛かったと思います。」

「あの……もしよければ僕がご主人の変わりになれたらと……」

「…………幹夫はどう思う?」

「優しい人だからお父さんの代わりになってほしいな。」

「ありがとう……幹夫君。まだ“謝罪して写真を渡して遺された家族を養って”ではすべては終わらないけど……必ず皆を幸せにします!!」

「竜太さん、よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします……!!」

夫であり父でもあった高直を奪った責任から遺された妻子を守ることを決意した竜太はこれからは『高直竜太(たかじき・りゅうた)』として新たなるスタートを切る。

「ヒナちゃん、元気でな!また会おうね!!」

「竜太さんもお元気で……!!」

方舟は見つからず降水マシンの謎は掴めずに終わったが、たくさんの仲間たちとの思い出を築き、ヒナは雪と共に新たなる旅立ちへと歩み始めたのである。だが竜太に関してはこれからも関わりはあるとヒナは直感していたのである。そのヒントはスーザックにあると思われるからだ……

第10章終わり
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...