ヒナの国造り

第１１章・新たな武器と過酷な道のり

８月までに……①

時間がないと感じたヒナ達はリンを探すために全力で探しに言ったのである。だがリンらしき子供はなかなか見当たらずにいたのである。

「あの女(エレーラ)の敷地に入ったばかりにタイムリミットまで出来てしまい申し訳ない……」

竜太はヒナに謝罪した。ヒナはそれを怒ることはしなかったのであった。

「それは関係ないわ。運命というのはそういうものよ。」

だが……ヒナはその時にあるものを見てしまったのである。

「あれ、リンちゃん？」

リンちゃんと見たことない男性が一緒に歩いているのを見かけたのである。しかもリンは笑顔であったのだ……

「もしかして親しくなっているのかな？竜太君、直露さん、行きましょう！」

ところが気がつくと二人はいなくなっていたのである。何処かへ行ったようで辺りを見渡しても見つからないのである。すると近くを歩いていた西村雄麿がヒナに声をかけてきたのである。

「やあ！君達！」　

「あなたは？」

「僕は西村雄麿(にしむら・たけまろ)です。君は孤児院にいた子じゃない？」

「はい、いましたけど……」

「僕の息子の雄郎(たけろう)も甥の貴行(たかゆき)も孤児院の職員として働いているよ。これも縁だな！！」

「いや……私は孤児院の職員ではありません。ただ子供が好きだから一緒にいただけですよ……」

どうやら西村はヒナを孤児院に勤めていると思っていたのである。甥の貴行は関西地方の施設に勤めているという。彼の母方は周参見野一族であるがヒナ達はそのことを知らずにいた。

「何か相談があれば教えて！！」

「いや、別にありません…………」

ヒナは悩みを言わなかったのであった。それもそのはずで西村の顔つきは異常なまでにニヤニヤしていたからである。

「私は竜太君や直露さんがいますから……沢山の人に迷惑をかけたくありませんから……」

「う～ん、残念！！また何かあれば報告してね！！」

そう言うと駄洒落ではないが西村はサッと去っていったのである。

「(防御の固い連中だな！！まあお前らの“目的”はすでにあの人達が預かっているのだからなっ！！！)」

意味深な呟きをした西村だが、ヒナ達は一体何をしに来たのかと疑問に思ったのであった。

「あの人誰？」

結局誰かは分からぬままヒナは西村の去る姿を見つめていたのである。竜太は二人の行方を探しに行こうとしたがヒナが制止したのである。

「一人で行かない方がいいわ。」

チームの乱れを恐れてかここでは離れないでともに行動することを提案したのである。