ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第14章・日常へ戻る時

キララと護と奇跡を託された医者⑤

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ハイデルンの変身した剣を持つ護はジェルに対して挑発した。

「俺は一度もWの元で殺しは一切しなかった!!お前はそれを弱者のように見るが俺達はそれを誇りに思っている!!」

「何を言ってやがる。殺しの機会が無かっただけだろ。」

「ふざけるな!!お前らが殺しを嫌がる人間を粛清していただけだろ!!」

護は怒りの表情を見せてジェルの元に向かって走り、ジャンプしたのである。

「“ハイデルンダンクブレード”っ!!!」

ジャンプした護はそこから剣で護を斬りつけたのである。ジェルは剣獣でガードした。だが剣獣が少し血を吐いたのでダメージがあったようだ。

「ぐっ……!!」

「お前、剣獣が血を吐いているだろ。パートナーは盾じゃねえんだよっ!!」

「黙れ!!何がパートナーじゃい!!“ただの剣”だこれはっ!!」

「ばか野郎!!“意思があれば物でも生物”だろが!!そんな視線からじゃお前は人を尊重したり助けたりできないのがまるわかりじゃ!!」

「物を“物呼ばわり”して何が悪い?」

「意思があればパートナーだろ!?分からんやつだなあ!!俺の剣にダメージを与えればハイデルンだけじゃなく俺にもダメージがくる!!それを防ぐのがパートナー同士の助け合いだっ!!」

護とジェルの言い争いは戦いより加熱しかけていた。だがジェルがある言葉を口にしたのである。

「護……お前あれを忘れてないだろうな?」

すると護は何かを思い出したかのように恐ろしい顔つきになったのだ。

「ジェル……あの人……」

ファルルはジェルの姿勢を見て呟いた。


一方、再び飛鳥達3人が話し合いをしていたが意味深な発言が飛び出した。飛鳥がある質問をしたのである。

「あのさ……ここの幹部は何人殺してるの?みんな殺意ムンムン出してるみたいだけど……」

すると意外な答えが春日の口から出てきたのだ。

「ああ……大体は幹部でさえ基本は殺人なんかしないよ。まあ強いて言えば『よほどの上層幹部』じゃない限りはな……」

すると紫丁香花も意外な発言をしたのだ。

「殺人をしでかしたのは数人で今のところ知っているのは『黒四』『ジェル』『ママパス』『黒雀(くろすずめ)』『W』の五人くらい。女性幹部の『M』ですら誰も殺害してないと聞くわ。」

「黒雀……?聞いたことあるような……つまり大体のやつらの殺人自慢とやらは……」

春日が飛鳥に詳しく説明する。

「ない。はっきり言ってないに等しい!!ただミッションで建物を爆破したりで人を殺めた可能性は否定できないが……だからさっきの五人は“普通に人を殺めた”連中だということだ。ただ殺しを匂わせる発言や常に殺意を抱いていないと特定の幹部に“粛清される”のも事実。だから大体は強がって『殺す』とか思ってもないのに言う!!」

そして紫丁香花はある過去を思い出したのである。

「昔、ジェルはある若い子と数人の幹部と共にある任務に携わったみたいなの。確か既に洗脳が解けた『オーサ』と“常陸(ひたち)”こと『瀬戸ユラシア逢佐(せと・ゆらしあ・あいさ)』とジェルと私の上司だった“ホイさん”ね。そして当時“紫丁香花”の名前が無かった私の七人よ。その時に若い子が銃撃をした際に誤ってホイさんに当たってしまったの……それで助からなかったわ…………」

「ホイさんって誰ですか?」

飛鳥はホイさんのことを知らないようだ。紫丁香花は説明を続けた。

「ホイさんとは『ホイケル』長官のことよ。あの人は根は優しくて任務でも殺人をしないよう気を付けていた人よ。ジェルとは大違いなのにあの人が死んでからジェルはすごく怒り狂ったの。」

「何でだよ。おかしいじゃん。むしろ価値観の違いが明白なのになにか深い関係があるのですか?」

「実は二人は…………」


その時、ジェルは護に対して再び不気味な笑みを見せていた。

「まさか……忘れたとは言わせないだろうな…………?」

「あれは事故だった…………」

「嘘つけ!!正直に言わないとお前だけじゃなくてこいつらも叩き斬るぞ!!」

他のヒナを始めとする皆を斬ると脅しをかけてきたジェルだが護は怯まずに言う。

「本当のことを言う。“俺は殺していない!!”信じれないなら全員斬ってみろよ……まずは俺を叩き斬ってからな!!いくぞハイデルンっ!!」

ハイデルンの剣を強く握りしめた護。一体過去に何が……?

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