ヒナの国造り

第１４章・日常へ戻る時

解散……そして旅の一時の終焉②

日常生活に戻ってきたヒナはその後、元いた施設に臨時職員として勤務することになるのであった。息長や尚徳と一緒に働くことになったヒナは色々と大変ではあったが、大好きな子供達ともふれ合えて幸せのようであった。

「日常も良いわね……」

ヒナは再び日常を味わう。異世界で貰った道具に防具や剣は自宅の部屋に置いて戦いとは無縁な生活に戻ったのだ。もちろんスリルな異世界も大好きだが、やはり尚徳に息長をはじめ昔の仲間の方が大好きであったのだった。しかしある日、近所で火事が起きて燃え広がるとヒナは氷のエネルギーを放ち火事の場所を氷結してしまったのである。幸い建物内には誰も居らず怪我人は出なかったがヒナは氷の特殊能力は今もあるのだとビックリしたのであった。

「もう使えないかと思った……」

異世界ではよく使った特殊能力もこの世界では“余程の事態にならない限り使わない”と決意したヒナであった。


夜、家で家族３人で食事をしている(尚徳の実子達は独立している)とテレビが勝手についたのである。

「なんのテレビ？」

テレビには社長室のような部屋が映り、大きな椅子に座り背を向ける正体不明の男性が映っていたのであった。

「誰だ……この人は？」

ヒナは見知らぬ人物らしく何のテレビ番組かどんな人物かはわからず少し恐怖心を抱いたのである。

『皆様、こんばんは。私は“ある人物”と申す。この世界は混沌さが無い平和な世界であります。だが時代の流れは時に残酷に物騒であります。』

「何が言いたいのかしら？」

疑問だらけの番組は何と男性のその一言だけで終わってしまったのだ。一体何だったかは疑問だがヒナは先程の“ある人物”からの“メッセージ”を受け取ったような気がしたのである。

「この意味を理解しなければ……私の先は分からないのかもしれないわ。」

「ヒナちゃん、どうしたの？」

「あら、ごめんなさい。ちょっと考え事を……」

尚徳は一人言をいうヒナを心配したのである。ヒナは考え事をしていたと言うが…………


翌日、ヒナは勉強をしながらテレビを見ているとあるニュースが流れたのである。

『昨日、和歌山県古座川町で家が炎上して若い男性一人が死亡しました。現場の東(あずま)さーん！』

『はい、東です。現場の一軒家ですが内部で爆破したような形跡があります。』

「(家から近いじゃん、ここ！！)」

ヒナは地元の近くであることに驚いた。この時、再び冒険がはじまる序章に入ったことをヒナは知らないのだ。



第１４章終わり