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第15章・古座川町編
新しい伝説の幕開け②
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ホテルの予約を済ませたヒナは電車に乗って再び古座に帰ることにしたのであった。日帰りで大阪と和歌山南部を往復するのは疲労もあるだろうがヒナはそれを苦にしなかったのである。
「さて、帰ろう。」
ヒナは再びくろしお号に乗り、古座へと目指すのであった。眼鏡の人物らしき姿はなく、完全に関わりがなくなったのだとヒナは安堵したのであった。
「(ジロジロ見るくらいなら別に構わないけどまさか大阪の目的地にまでついてきて本当に気味が悪かったわ……いなくてホッとしたわ。)」
景色を眺めながらくろしお号の旅を楽しむヒナであった。今までは不思議な不思議な世界に居たのに……それでも今は本当に平和以外の言葉が似合わない地元の雰囲気がヒナには快適であったのだ。
「何かもうずっとこっちの世界で良いや!!」
ついつい大声を出してしまい、途中の駅から隣に座っていたサラリーマン風の男性をうっかり起こしてしまったのである。
「あ……ごめんなさい……起こしてしまいました?」
「いや……大丈夫。これからしないといけないことがあったから逆に助かったよ。ありがとう……」
男性は怒るどころか起こしてくれたヒナに対して感謝をしたのであった。そして男性は鞄からノートパソコンを取り出すとそれに向かって何らかの作業を開始したのであった。
「ふう……静かにしなくちゃ……」
ヒナは少し反省したのであった。しかし隣の男性はパソコンにとある文章を入力していたのであった。
『現在、“あの女”は古座方面に向かっております。』
そして特急は古座駅に到着するとヒナの隣の男性が笑顔で降りれるように席を立ってくれたのであった。ヒナは笑顔を見せて頭を下げて電車を降りたのであった。しかし男性はヒナが居なくなったのを確認すると座って不気味な笑みを浮かべてパソコンに文章を再び入力していたのである。
『予想通り、古座にて下車。間違いなく彼女です。』
駅からタクシーで帰宅したヒナを尚徳は出迎えてくれたのである。
「ヒナちゃん、おかえり。御苦労さんだったな。それとお前宛に手紙が1通来ていたぞ。」
「手紙?」
ヒナ宛に届いた1通の手紙。手紙ではあるが何か入っているのか少し重かったのである。差出人は書いておらず、ヒナの家の住所と郵便番号はしっかり記入されていたのである。
「(私、こっちに移って時間経ってないしまだ誰にもこの連絡先教えてないはずなのに……)」
帰ってきてすぐのヒナは誰にもまだ教えていないはずの住所を知られるようなことはしていないはず……不気味に思い封を開けたのである。すると……
『お久しぶりです、先日お世話になりました将志です。ヒナお姉ちゃんの住所は分からないので千里眼の力を持つ警察のおじちゃんに見てもらいました。この前は楽しい思い出をありがとうございました。それと竜太お兄ちゃんが渡したいものがあると言っていたので僕が手紙を出すことを伝えたら同封を頼まれたので入れておきます。今後のやり取りに使える大切な連絡用のアイテムです。届いたら竜太お兄ちゃんに連絡してあげてくださいね。また会える日を楽しみにしています!!バイバイ!!…………まさゆきより。』
「……代筆、直子先生……か。皆、離れていてもこうやって私のことを覚えてくれたり気にかけてくれたりしてくれてるんだ……嬉しいな。でもどうやって郵便配達したんだろう?」
気になることはあれど封筒の中を見ると電子辞書のような物とウォークマンのイヤホンみたいなものと新聞記事の切りぬきが入っていたのである。電子辞書のような物とイヤホンはすでに使えるように繋げられており、新聞記事を読むとあることが書かれていたのである。
『“異世界交流を進める連絡アイテム発売”……この度、『コルベッド』に本社を置く通信会社の『マイティ』(柿堀郁麿社長)は異世界の人との間で連絡できる“ワールドテレホン”の発売を8月18日より開始する。これは現在、異世界への行き来が容易くなったことで異世界の人同士の交流が増えるということもあって異世界へと行った人と連絡を取れる為に開発されたものである。勿論同じ世界に両者がいれば電話としても重宝できるという。』
わざわざ竜太はこのアイテムをヒナのために用意してくれたようである。勿論ヒナはすぐさま連絡を入れることにしたのであった。電源をつけて“連絡する”ボタンを押すと竜太の連絡先が登録されていたのでそれを選択して押したのである。すると画面に竜太が映ったのである。
「ヒナちゃん、久しぶり!!」
「竜太君、久しぶり!!ここまでしてくれてありがとう!!」
「ええよ、ええよ!!これは普段連絡できないと思ったからこっちにまた来れるときまで使ってほしいなと思って送ったんや。料金は俺の稼ぎが安定しているから気にしなくていい。他にも松浦、日紙さんにキララちゃんや将志の番号もあるからまた教えるわ。」
「ありがとう……また会おうね……!!」
「以前、死にかけた俺を助けてくれた君や。それを思えば俺はヒナちゃんのためにお礼もしたいしな……」
「ありがとう……またこれからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくな、お休み!!」
「お休みなさい!!」
ヒナは通話を終えると“ワールドテレホン”を握りしめて少しだけ目に涙を浮かべてはいたが笑顔であった。部屋の扉は開いたままでそこから様子を見ていた尚徳も笑顔でヒナを見つめていたのである。
「さて、帰ろう。」
ヒナは再びくろしお号に乗り、古座へと目指すのであった。眼鏡の人物らしき姿はなく、完全に関わりがなくなったのだとヒナは安堵したのであった。
「(ジロジロ見るくらいなら別に構わないけどまさか大阪の目的地にまでついてきて本当に気味が悪かったわ……いなくてホッとしたわ。)」
景色を眺めながらくろしお号の旅を楽しむヒナであった。今までは不思議な不思議な世界に居たのに……それでも今は本当に平和以外の言葉が似合わない地元の雰囲気がヒナには快適であったのだ。
「何かもうずっとこっちの世界で良いや!!」
ついつい大声を出してしまい、途中の駅から隣に座っていたサラリーマン風の男性をうっかり起こしてしまったのである。
「あ……ごめんなさい……起こしてしまいました?」
「いや……大丈夫。これからしないといけないことがあったから逆に助かったよ。ありがとう……」
男性は怒るどころか起こしてくれたヒナに対して感謝をしたのであった。そして男性は鞄からノートパソコンを取り出すとそれに向かって何らかの作業を開始したのであった。
「ふう……静かにしなくちゃ……」
ヒナは少し反省したのであった。しかし隣の男性はパソコンにとある文章を入力していたのであった。
『現在、“あの女”は古座方面に向かっております。』
そして特急は古座駅に到着するとヒナの隣の男性が笑顔で降りれるように席を立ってくれたのであった。ヒナは笑顔を見せて頭を下げて電車を降りたのであった。しかし男性はヒナが居なくなったのを確認すると座って不気味な笑みを浮かべてパソコンに文章を再び入力していたのである。
『予想通り、古座にて下車。間違いなく彼女です。』
駅からタクシーで帰宅したヒナを尚徳は出迎えてくれたのである。
「ヒナちゃん、おかえり。御苦労さんだったな。それとお前宛に手紙が1通来ていたぞ。」
「手紙?」
ヒナ宛に届いた1通の手紙。手紙ではあるが何か入っているのか少し重かったのである。差出人は書いておらず、ヒナの家の住所と郵便番号はしっかり記入されていたのである。
「(私、こっちに移って時間経ってないしまだ誰にもこの連絡先教えてないはずなのに……)」
帰ってきてすぐのヒナは誰にもまだ教えていないはずの住所を知られるようなことはしていないはず……不気味に思い封を開けたのである。すると……
『お久しぶりです、先日お世話になりました将志です。ヒナお姉ちゃんの住所は分からないので千里眼の力を持つ警察のおじちゃんに見てもらいました。この前は楽しい思い出をありがとうございました。それと竜太お兄ちゃんが渡したいものがあると言っていたので僕が手紙を出すことを伝えたら同封を頼まれたので入れておきます。今後のやり取りに使える大切な連絡用のアイテムです。届いたら竜太お兄ちゃんに連絡してあげてくださいね。また会える日を楽しみにしています!!バイバイ!!…………まさゆきより。』
「……代筆、直子先生……か。皆、離れていてもこうやって私のことを覚えてくれたり気にかけてくれたりしてくれてるんだ……嬉しいな。でもどうやって郵便配達したんだろう?」
気になることはあれど封筒の中を見ると電子辞書のような物とウォークマンのイヤホンみたいなものと新聞記事の切りぬきが入っていたのである。電子辞書のような物とイヤホンはすでに使えるように繋げられており、新聞記事を読むとあることが書かれていたのである。
『“異世界交流を進める連絡アイテム発売”……この度、『コルベッド』に本社を置く通信会社の『マイティ』(柿堀郁麿社長)は異世界の人との間で連絡できる“ワールドテレホン”の発売を8月18日より開始する。これは現在、異世界への行き来が容易くなったことで異世界の人同士の交流が増えるということもあって異世界へと行った人と連絡を取れる為に開発されたものである。勿論同じ世界に両者がいれば電話としても重宝できるという。』
わざわざ竜太はこのアイテムをヒナのために用意してくれたようである。勿論ヒナはすぐさま連絡を入れることにしたのであった。電源をつけて“連絡する”ボタンを押すと竜太の連絡先が登録されていたのでそれを選択して押したのである。すると画面に竜太が映ったのである。
「ヒナちゃん、久しぶり!!」
「竜太君、久しぶり!!ここまでしてくれてありがとう!!」
「ええよ、ええよ!!これは普段連絡できないと思ったからこっちにまた来れるときまで使ってほしいなと思って送ったんや。料金は俺の稼ぎが安定しているから気にしなくていい。他にも松浦、日紙さんにキララちゃんや将志の番号もあるからまた教えるわ。」
「ありがとう……また会おうね……!!」
「以前、死にかけた俺を助けてくれた君や。それを思えば俺はヒナちゃんのためにお礼もしたいしな……」
「ありがとう……またこれからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくな、お休み!!」
「お休みなさい!!」
ヒナは通話を終えると“ワールドテレホン”を握りしめて少しだけ目に涙を浮かべてはいたが笑顔であった。部屋の扉は開いたままでそこから様子を見ていた尚徳も笑顔でヒナを見つめていたのである。
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