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第15章・古座川町編
くろしおの風
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駅のホームで二人は三時間も四時間も待ち続けたが、結局現れなかったのである。すると特急『くろしお』号が到着した時にそのスピードで発生した風が尚徳のほほを横切ったのである。
「この風……海へヒナちゃんと一緒に行った時に吹いた風と似ている……」
「?」
「この風が……吹くならば……ヒナちゃんはまだ生きていると思う。」
「そうですか……それならば生きていると信じることは出来ますね……」
「(ヒナちゃん…………)」
大阪方面の線路を見つめた尚徳は少し涙を浮かべながらヒナの心配をしていたのであった。息長も彼の姿を見て真剣な表情をしていた。その時、くろしお号は停車中にも関わらず“くろしお”の風が吹いたように尚徳は感じたのである。
「(くろしおの風よ……ヒナちゃんを無事に連れて帰って来ておくれ。)」
その頃、黒岡の住むアパートの部屋に瀬戸はやって来たのである。しかし中はもぬけの殻であった。
「ああ……逃げやがったな。」
「瀬戸さん……そりゃあ足がついたら逃げるのは当然でしょう。」
「そりゃそうだな……あっ。なんやこのメモは…………?」
部屋内に落ちていたメモには意味深なことが書かれていたのである。
『母なるものに傷を付けさせぬ ケンチン・タジ』
意味不明な文章である。そもそも『ケンチン・タジ』とは一体何者なのだろうか……瀬戸は首を傾げたのである。すると内線に何らかの連絡が入ったのである。
『セト、お前はどこを捜査するか?』
「この後“セレカムミニオン渓谷”なる場所へと……」
『そこは私が代わりに行く。お前はちょっと見落としがちな重要ポイントを見つけたからそこを頼めるか?』
「は……はい。それはどちらの方で……?」
「ああ……それは……」
………………その頃…………
場面は変わり、古座の二人はこのままホームでぼんやりしているわけにもいかず、この日は施設に戻ることにしたのであった。
「また風が吹いている……」
「くろしおの風だ……しかしこんな場所にこの風が吹くとはな……」
「ええ息長さん……ヒナちゃんが無事を伝えてくれているのかもしれませんよ……」
「無事だと信じていますね……」
だが、二人の目の前に駅前にあるはずの無い小さな公衆トイレのような建物と扉があった。急に現れたものだから開けるべきかどうか少し悩んだ二人ではあったが……
「猫屋敷さん……行ってきなさい……」
突然、息長は尚徳に扉を開けて中に入るように言ったのである。尚徳は少し戸惑ったのである。
「もしここに入って異世界に飛んだら……」
「調理は私も出来るし私と猫屋敷さんの妻もやると言ってくれている。大切な娘さんなのだから助けに行ってあげなさい。」
尚徳は息長の言葉に胸を打たれ、ある“疑問”もあったがその言葉に後押しされて扉を開けることにしたのである。
「ここがトイレや物置ならまた調理は僕がしますね。」
「突然、トイレとかは現れないよ。」
「………………!?」
そして尚徳はその扉を開けたのである。その扉の中は光り、中からくろしおの風と同じ雰囲気の風が強く吹き荒れてきたのである。
「(気を付けて行ってきなさい……)」
息長は尚徳の姿を見つめ、扉が閉まるまで視線をそらさなかった。そして扉が閉まると施設へと帰っていったのであった。
「この風……海へヒナちゃんと一緒に行った時に吹いた風と似ている……」
「?」
「この風が……吹くならば……ヒナちゃんはまだ生きていると思う。」
「そうですか……それならば生きていると信じることは出来ますね……」
「(ヒナちゃん…………)」
大阪方面の線路を見つめた尚徳は少し涙を浮かべながらヒナの心配をしていたのであった。息長も彼の姿を見て真剣な表情をしていた。その時、くろしお号は停車中にも関わらず“くろしお”の風が吹いたように尚徳は感じたのである。
「(くろしおの風よ……ヒナちゃんを無事に連れて帰って来ておくれ。)」
その頃、黒岡の住むアパートの部屋に瀬戸はやって来たのである。しかし中はもぬけの殻であった。
「ああ……逃げやがったな。」
「瀬戸さん……そりゃあ足がついたら逃げるのは当然でしょう。」
「そりゃそうだな……あっ。なんやこのメモは…………?」
部屋内に落ちていたメモには意味深なことが書かれていたのである。
『母なるものに傷を付けさせぬ ケンチン・タジ』
意味不明な文章である。そもそも『ケンチン・タジ』とは一体何者なのだろうか……瀬戸は首を傾げたのである。すると内線に何らかの連絡が入ったのである。
『セト、お前はどこを捜査するか?』
「この後“セレカムミニオン渓谷”なる場所へと……」
『そこは私が代わりに行く。お前はちょっと見落としがちな重要ポイントを見つけたからそこを頼めるか?』
「は……はい。それはどちらの方で……?」
「ああ……それは……」
………………その頃…………
場面は変わり、古座の二人はこのままホームでぼんやりしているわけにもいかず、この日は施設に戻ることにしたのであった。
「また風が吹いている……」
「くろしおの風だ……しかしこんな場所にこの風が吹くとはな……」
「ええ息長さん……ヒナちゃんが無事を伝えてくれているのかもしれませんよ……」
「無事だと信じていますね……」
だが、二人の目の前に駅前にあるはずの無い小さな公衆トイレのような建物と扉があった。急に現れたものだから開けるべきかどうか少し悩んだ二人ではあったが……
「猫屋敷さん……行ってきなさい……」
突然、息長は尚徳に扉を開けて中に入るように言ったのである。尚徳は少し戸惑ったのである。
「もしここに入って異世界に飛んだら……」
「調理は私も出来るし私と猫屋敷さんの妻もやると言ってくれている。大切な娘さんなのだから助けに行ってあげなさい。」
尚徳は息長の言葉に胸を打たれ、ある“疑問”もあったがその言葉に後押しされて扉を開けることにしたのである。
「ここがトイレや物置ならまた調理は僕がしますね。」
「突然、トイレとかは現れないよ。」
「………………!?」
そして尚徳はその扉を開けたのである。その扉の中は光り、中からくろしおの風と同じ雰囲気の風が強く吹き荒れてきたのである。
「(気を付けて行ってきなさい……)」
息長は尚徳の姿を見つめ、扉が閉まるまで視線をそらさなかった。そして扉が閉まると施設へと帰っていったのであった。
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