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第16章・ステラガーデン編
闇の世界と“モルガナ女王妃の真実”③~特別な思い~
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ベアトリクスと小伊霊が対峙している頃、スーザックのある“周参見野”家の墓に少し高齢の男性が訪れていた。
「おい……“母”よ!!俺はあんたとの約束を守れなかったよ……!!それどころかあんたの眠る墓にあいつまで眠らせてしまった!!」
男性は涙を大量に流しながら墓に眠る母親と思われる人物に語りかけていたのであった。
「あんたの大切な孫を死なせて、さらに大切な曾孫の一人を敵に渡してしまった……こんな悔しいことはない!!全て権力に俺達はめちゃくちゃにされてしまった!!権力が無ければあいつも殺されなかったしこのようなことすら無かった!!」
男性は墓にしがみつき悔しさを大声でぶちまけていた。
「墓でこんなことをいうのも非常識過ぎるが“あいつらを潰したい”!!権力のせいで俺らはめちゃくちゃになりあいつの友人だったあの子も故郷を追われた!!平等すらなく矛盾しかないんだよ……この世は……!!」
するとスーザックには雨が降ったのである。だが男性は墓から去ろうとはしなかったのである。
「あいつを……守りきれなかった。あいつは……俺の失態で死なせたと一緒だ!!誰にも内緒でスーザックに来てくれていたあの子もどれだけ悲しんでいたか……!!!」
…………回想に入る…………
まだ若かった当時のその男性はスーザックの郊外で一人暮らしをしていたのである。すると彼の母親が訪問したのである。その母親は赤ん坊を抱いていたのである。
「あんた……暇ならこの子を育ててみないか?」
「はっ!?急にやって来てからに何を抜かす!?母!!知らないガキンチョなど育てとうも……」
「バカたれ!!あんたの妹の子だよ!?」
男性の母親は抵抗する彼に怒りを露にしたのであった。そして男性に事情を説明したのであった。
「この子はな……父親がある島の王家の子なんだがやつには妃がいてな……この子を育てることができないんだよ。だからあんたが興味あるなら育ててやってほしいんだ……」
「は?俺は自分の子供なら育てるが他人のガキンチョなぞ育てる気にも…………」
「…………あんたにある言葉を伝える。私がいた古座山家に代々伝わる言葉だよ。そこに生まれた私はこの言葉を背負い、実子のあんたたちだけじゃなくて養子や孤児の世話もしてきたんだ……その言葉はね……」
…………回想から場面はゴーザの孤児院に変わる。
「……『繋がる子供も繋がらない子供もいとおしい存在に変わりはない。寂しい子供に愛を捧げよ』……私の実家ではこの言葉が代々伝わるの……」
言葉の主はゴーザの孤児院の先生である直子だった。彼女はあの由良畑との結婚が決まり、新しい人生を切り開こうとしていた。だがもちろん変わらない部分もある。
「先生はユーランの一族に嫁ぎ、これからは新しい未来と家庭を作っていきます。でも私はずっとこれからもこの孤児院の子供達の親代わりになり、皆とふれあっていきたいです。事情で休むときもあるかも知れませんがそれでもまた帰ってきます。だから……だから……私はいつまでも皆のお母さんでありたい。」
孤児院で子供達全員を集めて思いを明かす直子に将志やリンをはじめとする子供達や職員達は拍手を惜しまなかった。それは彼女の本当の思いだと皆が知っていたからだ。
「みんな……寂しい思いをしていたら今まで通り私に伝えてね……私はあなた達のお母さんだから……!!」
直子は古座山家の言葉を胸に孤児院の子供への思いを出したのであった。伴侶となる由良畑もまた子供への思いは変わらないのだという。空を仰ぎ、直子は涙を少し浮かべていた。
「(子供達の幸せのためにこれからも……頑張る。そしてヒナちゃんも頑張ってね。)」
…………一方、男性の回想に戻る。
子供を引き取ってから10年が経ち、男性は貧乏ではあったが子育ては心より楽しんでいたのであった。すると母親が彼の元を訪れたのである。
「お……母か。久しぶりやな。親父はあいにくアレか?」
「ああ……今日も飲みに行ってるわ。情けない亭主だこと。それに比べてあんたは子供を引き取ってから賭け事も酒も完全に断ったわね。」
「当たり前だろ。子供にそんな姿は見せたくもないわ。」
「さすが私の息子だな……でもこの子はただの子供じゃないよ……」
「?」
「この子は“神の子”よ……この世界が歪むときにこの子は助けてくれるかもしれない……そう期待してるわ。」
「なぜそう思ったんだ?」
「私の父の顔にその子の顔が似ていたから……父はずっと誰かのために頑張って生きてきた……だからこの子もそうなってくれるはずだから……」
「母……ああ、こいつを立派な人間に俺が育てたる!!」
「ありがとうね……」
男性は笑顔の母親が涙を浮かべていることに気付いていた。
「(必ずこいつを立派に……)」
…………回想を終わる。
墓に抱きつきながら涙を流していた男性の元に若い男性が傘を差してやって来たのであった。若い男性は持っていたもう一本の傘を男性に渡したのである。
「おじいちゃん……ここにいたのか……風邪引くよ……」
「だけど……俺は……」
「大丈夫。ダグは帰ってくるさ。だから今は帰ろうよ。一緒にご飯食べよう。」
すると男性は傘を受け取って差すと若い男性と二人で家へと帰っていったのであった。
一方のベアトリクスと小伊霊の対峙は今も続いていた。そして小伊霊は衝撃の事実を発するのであった。
「おい……“母”よ!!俺はあんたとの約束を守れなかったよ……!!それどころかあんたの眠る墓にあいつまで眠らせてしまった!!」
男性は涙を大量に流しながら墓に眠る母親と思われる人物に語りかけていたのであった。
「あんたの大切な孫を死なせて、さらに大切な曾孫の一人を敵に渡してしまった……こんな悔しいことはない!!全て権力に俺達はめちゃくちゃにされてしまった!!権力が無ければあいつも殺されなかったしこのようなことすら無かった!!」
男性は墓にしがみつき悔しさを大声でぶちまけていた。
「墓でこんなことをいうのも非常識過ぎるが“あいつらを潰したい”!!権力のせいで俺らはめちゃくちゃになりあいつの友人だったあの子も故郷を追われた!!平等すらなく矛盾しかないんだよ……この世は……!!」
するとスーザックには雨が降ったのである。だが男性は墓から去ろうとはしなかったのである。
「あいつを……守りきれなかった。あいつは……俺の失態で死なせたと一緒だ!!誰にも内緒でスーザックに来てくれていたあの子もどれだけ悲しんでいたか……!!!」
…………回想に入る…………
まだ若かった当時のその男性はスーザックの郊外で一人暮らしをしていたのである。すると彼の母親が訪問したのである。その母親は赤ん坊を抱いていたのである。
「あんた……暇ならこの子を育ててみないか?」
「はっ!?急にやって来てからに何を抜かす!?母!!知らないガキンチョなど育てとうも……」
「バカたれ!!あんたの妹の子だよ!?」
男性の母親は抵抗する彼に怒りを露にしたのであった。そして男性に事情を説明したのであった。
「この子はな……父親がある島の王家の子なんだがやつには妃がいてな……この子を育てることができないんだよ。だからあんたが興味あるなら育ててやってほしいんだ……」
「は?俺は自分の子供なら育てるが他人のガキンチョなぞ育てる気にも…………」
「…………あんたにある言葉を伝える。私がいた古座山家に代々伝わる言葉だよ。そこに生まれた私はこの言葉を背負い、実子のあんたたちだけじゃなくて養子や孤児の世話もしてきたんだ……その言葉はね……」
…………回想から場面はゴーザの孤児院に変わる。
「……『繋がる子供も繋がらない子供もいとおしい存在に変わりはない。寂しい子供に愛を捧げよ』……私の実家ではこの言葉が代々伝わるの……」
言葉の主はゴーザの孤児院の先生である直子だった。彼女はあの由良畑との結婚が決まり、新しい人生を切り開こうとしていた。だがもちろん変わらない部分もある。
「先生はユーランの一族に嫁ぎ、これからは新しい未来と家庭を作っていきます。でも私はずっとこれからもこの孤児院の子供達の親代わりになり、皆とふれあっていきたいです。事情で休むときもあるかも知れませんがそれでもまた帰ってきます。だから……だから……私はいつまでも皆のお母さんでありたい。」
孤児院で子供達全員を集めて思いを明かす直子に将志やリンをはじめとする子供達や職員達は拍手を惜しまなかった。それは彼女の本当の思いだと皆が知っていたからだ。
「みんな……寂しい思いをしていたら今まで通り私に伝えてね……私はあなた達のお母さんだから……!!」
直子は古座山家の言葉を胸に孤児院の子供への思いを出したのであった。伴侶となる由良畑もまた子供への思いは変わらないのだという。空を仰ぎ、直子は涙を少し浮かべていた。
「(子供達の幸せのためにこれからも……頑張る。そしてヒナちゃんも頑張ってね。)」
…………一方、男性の回想に戻る。
子供を引き取ってから10年が経ち、男性は貧乏ではあったが子育ては心より楽しんでいたのであった。すると母親が彼の元を訪れたのである。
「お……母か。久しぶりやな。親父はあいにくアレか?」
「ああ……今日も飲みに行ってるわ。情けない亭主だこと。それに比べてあんたは子供を引き取ってから賭け事も酒も完全に断ったわね。」
「当たり前だろ。子供にそんな姿は見せたくもないわ。」
「さすが私の息子だな……でもこの子はただの子供じゃないよ……」
「?」
「この子は“神の子”よ……この世界が歪むときにこの子は助けてくれるかもしれない……そう期待してるわ。」
「なぜそう思ったんだ?」
「私の父の顔にその子の顔が似ていたから……父はずっと誰かのために頑張って生きてきた……だからこの子もそうなってくれるはずだから……」
「母……ああ、こいつを立派な人間に俺が育てたる!!」
「ありがとうね……」
男性は笑顔の母親が涙を浮かべていることに気付いていた。
「(必ずこいつを立派に……)」
…………回想を終わる。
墓に抱きつきながら涙を流していた男性の元に若い男性が傘を差してやって来たのであった。若い男性は持っていたもう一本の傘を男性に渡したのである。
「おじいちゃん……ここにいたのか……風邪引くよ……」
「だけど……俺は……」
「大丈夫。ダグは帰ってくるさ。だから今は帰ろうよ。一緒にご飯食べよう。」
すると男性は傘を受け取って差すと若い男性と二人で家へと帰っていったのであった。
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