ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

新米警官・山崎美章③

　山崎はとりあえずのんびりすることにしたのである。保安官の宿舎に空き部屋があったのでそこで待機をすることとなる。


　「さて・・・時代はうねりだす・・・か。」


　そして天井を見上げた山崎は呟いた。


　「(河堀口・・・一人にさせると不安やな・・・)」


　しかし山崎の心配をよそに河堀口はある任務を任せられていたようだ。


　「河堀口君、実は君にはある任務を任せたい。」


　「？」


　「実は君達が追跡している人物は異世界にいるそうだ。」


　「異世界・・・？ワハハハハ！！また何の冗談ですか！？」


　「山崎君もそこにいるそうだ。」


　「へ？いや・・・さっきから何のご冗談を？」


　「冗談じゃない！！本当の話だ！！」


　異世界の話など冗談としか思えない河堀口に上司の鶴ヶ丘つるがおかは激怒したのである。確かに信用できない河堀口の気持ちも分かるが・・・と思いきや同期の杉本すぎもとが河堀口に説明したのである。


　「河堀口君、とりあえず異世界に行こう。僕も同伴するよ。身内の件と兼ねて山崎さんと共にその容疑者を捕らえるよ。」


　「あ・・・ああ・・・杉ちゃん、よろしく頼むわ。」


　「怒鳴って済まなかったな河堀口君。検討を祈るよ。」


　「は・・・はい！！」


　例のある事件解決のために異世界に入り、山崎と合流する覚悟を決めた河堀口と杉本だったがその事件は意外な部分で後の騒動に繋がるのであった。


　一方、グリーンウッドフィールドはある焦りを感じていたのであった。


　「(そういや・・・“あいつ”はあれの完全な後始末は出来たのか？数日前に異世界に派遣した何人か部下が帰ってきていないとダニエラから聞いているが・・・)」


　何か怪しい焦り方と険しい表情をしながらグリーンウッドフィールドはうなだれていたのである。



　河堀口は１０月７日朝、異世界へと出発するのであった。しかし異世界には流されて行くケース(気がつけば異世界にいたケースのこと)が多いのには変わりはないが、近年の技術発達により行き来が自由自在になっているのは人類の進歩と言えよう。


　「(しかし・・・急に異世界に流されるのを阻止する技術を人類は身に付けなければいけない。そうしなければまた山崎さんのケースが出てくるぞ。)」


　河堀口は山崎の件が解決しても油断を見せることはなかったが。