ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第16章・ステラガーデン編

笠縫研究員の使命①

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 その頃、ある研究所で何らかの研究をしていた笠縫英樹研究員の元にある男性が訪れたのであった。


 「やあ、笠縫君!!」


 「二時さん、こんばんは!!」


 「夜遅くまでご苦労さん。ところで君にある研究を依頼したいのだが・・・」


 「(・・・!?何だ何だ?)え、どのような研究を?」


 「遺伝子の変更の研究をだよ・・・」


 「え・・・?」


 笠縫研究員は顔をしかめた。なぜなら遺伝子変更はその人の先祖などを変えるというあり得ないものだからである。


 「ウイユ様は自分が神になるにあたって自身の血筋を高貴にしたいのだよ。だから君の研究技術を見込んで是非成功させてほしいんだ。」


 「(こ・・・この人、本気で言っているのか!?今までそんな研究自体行われたことはないし、それ以前に今の技術でも最先端の技術でも未来の技術でもそんなことが出来るはずないだろう!?)」


 「何を怖がっているのかな?1年以内に達成させてくれ。技術が出来たら褒美は取らす。しかし出来なかった場合は・・・貴様の技術力の部分をウイユ様に差し出すのだ。」


 「は・・・はい。成功させてみます・・・(拒否権なしかよ。というより1年経ったら俺は間違いなく殺される!!そんな技術があるなら既に世界の研究史が揺らぐぞ!!)」


 「出来るな?」


 「は・・・はい!!」


 二時は笠縫を睨み付けて二つ返事を出させたのであった。しかし笠縫の言う通り前代未聞の研究であり、遺伝子を変更させると言うのは事実上不可能である。なおこの研究にあたって笠縫には資金などが大量に提供されると言う。しかしそれでも遺伝子変更など出来るはずがないのだ。二時は研究室を後にしたのであった。


 「楽しみにしているよ・・・じゃあ・・・」


 「(家族がいるのに・・・まだまだ色々な研究が出来る年齢なのにこのまま死を待つしかないのか・・・?)」


 笠縫研究員は項垂れてしまったのである。それもそのはず出来ない研究を命と引き換えにさせられるのだから項垂れてしまうのも仕方ないのだ。


 「(くそ・・・!!)」


 “ドスン!!”

 拳で机を叩きつける笠縫研究員だったが二時が物音に気付いて戻ってきたのである。


 「今・・・何か音がしたけど・・・」


 「すみません・・・寝不足でうとうとしていたら机に頭をぶつけまして・・・」


 「今日は休みなさい。明日から頑張ればいい。」


 「は・・・はい・・・」


 頭を手でさすりぶつけたフリをする笠縫研究員の姿を見て二時は何か怪しいと感じてはいたが研究をしてもらうこともあり目をつむったようだ。
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