ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第17章・ステラガーデン死刑台編

ライコウの怒りと『矛盾』①

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 一方、死刑執行の中心人物となる【鳥海寺ちょうかいじライコウ】は部下を集めて死刑台のあるガーデンの入口付近にいたのである。この時、彼は部下から質問を受けた。


 「ところでライコウさんは目的はあるんですか?」


 「ある・・・必ず果たしたい目的が・・・」



 そう語るライコウの記憶にはある悲惨な光景が残っていた。

 もはや消すことも出来ない強力な炎に包まれたとある豪邸。その現場には周りの大人に身体を押さえつけられた少年期のライコウが涙ぐんで叫んでいた。


 「離してくれっ!!家族が中にまだ居るんだっ!!親父っ!!お袋っ!!おじいちゃんっ!!エンディ!!オレン!!」


 「やめろ!!死にに行くつもりかっ!!」


 「離してくれよっ!!俺の・・・家族が・・・家族が・・・あの燃える家の中に居るんだっ!!」


 「だからと言って君が行ってどうなる!?助けられるのか!?」


 「でも・・・離してっ!!家族が死んじゃう!!助けてっ!!助けてよっ!!」


 ライコウの悲痛な叫びもむなしく一時間後に鎮火した。そして後に焼け跡から5人の焼死体が発見されたのである。

 数日後、ライコウは叔父の協力もあって葬式の喪主を務めていたがある訪問者を見つけると怒りを露にした。


 「あんた・・・あの時の・・・!!」


 「この度は御愁傷様だったな・・・」


 それは火災の現場でライコウを押さえた男性であった。彼はライコウの両親の親友だったという。


 「・・・何しに・・・来た?」


 「何しにって・・・君の両親と親友だったから・・・」


 「何しに来たっ!!?」


 「!?」


 「あんたがあの時に俺を押さえつけていなければみんなは助かったんだっ!!!俺が助けたんだっ!!!よくも邪魔しやがって!!!」


 「やめなさいっ!!ライコウ!!」


 男性に怒りを露にするライコウを叔父が制止しようとした途端、男性は右手の拳でライコウの右頬を殴り付けたのである。ライコウはぶっ飛び、一瞬ぐったりしたがすぐに起き上がったのである。


 「てめえ・・・!!この場で暴力を振りやがって!!ぶっ殺してやるっ!!!」


 「・・・」


 「!?」


 すると男性は悔し涙を流していたのである。それを見たライコウは殴りかかろうとしたのを止めたのである。


 「おっさん・・・」


 「ライコウ君・・・君の気持ちは分かる・・・!!だけどあそこに行けば君も死んでいた。それだけは・・・絶対にさせたくなかった!!」


 「!?」


 「君が死んだら・・・二人の・・・二人の・・・うっ・・・二人の約束を守れなくなるから・・・!!」



 回想に入り数年前、男性はライコウの両親と久々に再会したのであった。その時にライコウの話題が出た時にライコウの父親は男性にこう言ったのだ。


 「ライコウは僕らにとってはじめての子供でな・・・本当に良い子で優しい性格なんだ。これからは妹のエンディや弟のオレンを引っ張るたくましいお兄ちゃんになるから君にはライコウ君をサポートしてあげてほしいんだ。」


 「鳥海寺君・・・」


 「ライコウを小さいときから知っているあなたならこの子を守ってくださることを信じていますわ。この子は未来に繋がる存在・・・あなたの優しさで包んであげてくださいね。」


 「・・・はい。ライコウ君を僕も守れるように頑張ります。」



 回想を終え、そして男性はライコウを強く抱きしめたのだ。彼はライコウが小さいときから火災の日まで長らく再会できず、にライコウの両親と会う予定だったことやたまたま火の中に入ろうとしたライコウを見つけて必死で制止しようとしたこと・・・など色々な想いを込めてライコウを抱きしめていた。


 「辛い想いをさせてごめんな・・・だけど二人の大切な宝物だった君を失いたくなかった・・・俺がこれからは何があっても守ってやるから。会う機会は少ないけどいつでも見守っていくからな・・・!!」


 男性に抱きしめられたライコウは号泣していた。叔父も参列者も皆、涙を浮かべながら二人を見守っていた。


 それから年は流れ、ライコウが会社で勤めていた時のこと。会社から自宅に帰る途中ある男性がライコウに近寄ってきたのである。


 「ねえ・・・君。鳥海寺ライコウ君だね。」


 「ええ、そうですが・・・あなたは?」


 「それなら話は早い。君の家族を殺した連中の正体が分かったから僕達の仲間になるなら教えてあげるよ。」


 「ほ・・・本当ですか!?」


 突然話しかけてきた男性。このの出会いがライコウの運命を大きく変えることになろうとはまだ誰も分からなかった。


 一方、死刑執行当日のスーザックの集合墓地である墓を訪れていた男性は墓に向かってあることを語る。


 「なんとか・・・を・・・助けてやりたい。お前の力が必要だよ・・・トシ・・・」


 男性の目には涙が浮かんでいた。
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