とある高校生は世界を滅ぼす破壊兵器を奪還するはめになりました。

市川 雄一郎

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第1章・ただの高校生が・・・

(mission5)体重操作

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 マスタードという人は自分の体重を変化させることが出来る能力を持つ人物のようである。しかし僕は能力を持つ人間など漫画でしか見たことがないのでその凄さに驚きを隠せなかった。


 「すごい・・・」


 「おい、そこのお前!!」


 「え!?」


 突然マスタードは僕に話しかけてきたのである。


 「お前、何か他のやつにはない変な違和感があるがお前は一体何者なのだ?」


 「ぼ・・・僕は・・・あの~!!」


 「僕のいとこだ!!」


 「(リュウさん?)」


 リュウさんはマスタード氏の質問にそう答えたのだ。僕は一瞬驚いたがなぜそう答えたか何となく気付いたのだがそれは口に出さなかった。


 「ほお・・・だからこいつと同伴しているのか。何か聞いていた話・・・・・・と違う気がするが・・・まあいい。二人ともとりあえず殺してやる!!」


 するとマスタードは体重を重くする能力を連発してダイブしてくるが僕達は何度も避けたのであった。


 「逃げるんじゃねえ!!」


 「くっ!!」


 「ワワワ・・・潰される~!!」


 これが何度も続き・・・


 「さあ・・・これからだぞ・・・!!」


 「さっきからずっと避けまくら・・・って何っ!?」


 「わっ!!僕達の周りの道が破壊されている!!陥没だらけだ!!」


 「こ・・・これは逃げられないぞ!!」


 「逃げ場を無くしたようだな。そもそもダイブしている俺にダメージはない・・・さあこれから血祭りだ・・・!!」


 「ぐ・・・リュウさん・・・僕達はここまででしょうか・・・!?」


 「いや・・・僕に策があるよ。」


 「策?」


 「何ぶつぶつ言ってるんだい!?二人とも地獄に落ちろーーっ!!!」


 「ぎゃああああああああああっ!!」


 「ダイブしているだけなら無傷か・・・ならこれはどうだ!?」


 なんとリュウさんは陥没した道の大きなカケラをマスタードに投げつけたのである。するとカケラがマスタードに直撃したのである。


 「がは・・・!?」


 「やはりだ。体重を変化しても体質・・などは変化しないようだな。もう一個投げようかと思ったが当たりどころが悪かったようだな。」


 リュウさんの分析通りマスタードの体質は変わらずであり、顔面にガレキが直撃しただけでダメージを受けたのだ。しかも当たりどころが悪いのか鼻血を大量に出して歯も数本折れてしまい倒れたのである。


 「く・・・くそ・・・!!」


 「さあ・・・僕達の話を誰から聞いたんだ?」


 「そりゃ・・・答えらんねえ。だけど・・・」


 「だけど・・・何だ?」


 リュウさんが近付くとマスタードは少しニヤリとした。


 「まだあと一回・・・・だけダイブする力は残っているんだよっ!!」


 なんと彼は傷が深いにも関わらず最後のダイブをしてきたのである。だがリュウさんも慌てるどころかやや冷静である。


 「ふ・・・そうしてくると思っていたよ。」


 そしてリュウさんは剣を手に持つと鞘を抜かずにマスタードの体当たりをその剣で防いだのである。


 「バカめ!!10億トン・・だぞ!!鞘に納めた剣で防げ・・・ってグフォッ!?」


 「すまんなあ、これは世界一固いで作られた鞘なんだ。体当たりなんかしたらめちゃくちゃ痛いだろ?」


 「き・・・きさま・・・!!?ぐっ・・・・・・」


 そして地面に叩きつけられるように落ちたマスタードは起き上がることが出来なかったのであった。


 「まだダイブは出来るか?」


 「む・・・無理だ・・・さすがスサミノ一族だ・・・俺の負け・・・だ・・・!!」


 そして意識を失うマスタード・・・僕達は倒れた彼の姿を見つめていたのであった。


 「すみません。この人どうします?」


 「んー・・・使い道がありそうだからちょっと近くの病院へ連れていこう。」


 「(使い道・・・って・・・物ちゃいますよ!!)」



 {ミアーマ病院}

 とりあえず二人で抱えて病院へと行きそこで回復を待つことにしたのであった。


 「本当に助ける気ですか?」


 「聞き出したいことがたくさんあるしそもそもこの能力はちょっと何かと・・・役立ちそうだからな。」


 すると治療室からマスタード氏が現れたのであった。


 「貴様達・・・また・・やられたくて治療させたのか?」


 「(やられたのはあなたじゃないか・・・)」


 「いやいやマスタード君!!君に我々の協力をしてもらいたいので。」


 「ふざけんな!!俺が貴様らなんかと・・・って・・・」


 「じゃーん!!これ何だろう!?」


 「あーっ!!それはーーーーーっ!!」


 何とリュウさんが見せたのはマスタード氏の持っていたあるカードであった。どうやら二人で抱える前にポケットから回収したらしいがこれを見たマスタード氏の焦りがすごかった。


 「返せ!!それは命の次に大切なものだ!!」


 「じゃあ我々に協力してくれたら必ず・・返すよ~!!」


 「します!!しますから返せっ!!」


 カードを手に持ち口笛を吹くような口をしたリュウさんに何かに怯えるかのような顔で協力を承認せざるを得なかったマスタード氏。先程とは大違いだ。


 「わかった。僕がもういいと言うまで協力をしてほしい。だがもしなにかしようとしたらこのカードを・・・」


 「なにもしませんから!!やめてくれっ!!」


 そしてこの日僕達は近くの旅館で身体を休めて翌日、体重操作が出来るマスタード氏を仲間に迎えて三人となって旅が再開したのである。


 {4月1日}


 「・・・・・・」


 「マスタード君・・・とりあえず聞くが君は誰の使者なのかね?」


 「そりゃ言えねえ・・・」


 「カード・・・」


 「ああ、先日のテロ事件を起こした主犯格の部下からの指示でそこのガキの殺害を依頼された。」


 「僕がですか!?」


 「ああ。どうやらその主犯格の部下はお前を何故か知らないが恐れているらしい。」


 「でも僕は弱いですから・・・いや~・・・」


 「そりゃ自分の評価だろ。他人が怯えるということはお前に何かあるってことよ。フフフ・・・」


 昨日と違いカードがかかっているからとはいえマスタードさんの表情は穏やかであった。


 「ところでリュウさんとやら・・・」


 「ん?」


 「もし俺のカードに何かしたら貴様を許さんからなあ~!?」


 「大丈夫!!僕は約束を破らないし君を陥れたりはしない!!」


 「(既にしてますやんか・・・!!)」


 何かちょっと変な旅だが兵器奪還をしなければいけないという緊張感はなく、平和でほのぼのとしていたのであった。だがいずれ二人は途中で別れるので結局は僕一人になる。だけどそれでいいと僕は思った。誰かを巻き込むよりも自分一人で目的を成し遂げるべきだと考えているからだ。今は誰かに頼ろうとも最後は自分で無実を勝ち取るために難題をクリアしなければならないんだ・・・そう思っているからだ。するとリュウさんはある町に指を差して僕に言う。


 「太郎くん!!あそこがミアーマだ!!」


 「わあ・・・すごい・・・」


 「ほぉ・・・!!」


 僕の目の前に現れたのは少し都会的なミアーマの町であった。
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