とある高校生は世界を滅ぼす破壊兵器を奪還するはめになりました。

市川 雄一郎

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第2章・新たなる太郎のはじまり

【mission28】リンギット国家資産次官の箱

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 西川博士が大いなる期待を寄せるこのコザヤマさんという人物・・・一体どのような人物なのか。

 「西川さん、今日はどのようなご用件で?」

 「ああ、今日はこの太郎くんという子の記憶の映像をさらに見られるようにしてほしいんだ!」

 「あ、【情報拡大アップデート】ですね?それならお安いご用で!」

 「頼む!ありがとう!」

 するとコザヤマさんは僕の方を向いて頷いてから言う。

 「はじめまして!僕は【キョウイチ・コザヤマ】という。よろしくね!君はあの・・村山太郎君だね!」

 「は、はい!」

 「必ず君の汚名・・を晴らして見せるよ!」

 「あ、は、はい・・・!」

 僕はコザヤマさんのこの言葉を聞いてあることを一瞬忘れていたのに気が付いたのだ。それは自分が未だ世間では犯罪者扱いされていること・・・今は協力してくれる人に恵まれているが実際僕をテロリストと認識している人も少なくないのだ。

 「どうしたの?」

 「あ、大丈夫です!」

 僕はぼ~っと考え込んでしまい、コザヤマさんが心配してくれたのである。するとコザヤマさんはモニターの前に立ち、キーボードを打ちまくると僕に言う。

 「僕は【情報】に関わる能力がある。それを駆使して今から【情報拡大アップデート】と【新情報取得ダウンロードコンテンツ】を発動させる。これで君の半径一キロ以内の情報からさらに広範囲の情報を得ることが出来る。つまり・・・」

 「つまり・・・?」

 「先程まで見れなかった範囲も見えるようになる。だから西川さんが話していたトラックの行方が分かるかもしれない。」

 「では、あのビルの辺りまでは分かりますでしょうか?」

 僕は爆破される前のビルの映像を指差すとコザヤマさんは自信に満ちた笑みを浮かべて頷く。

 「もちろんギリギリの範囲だが見られるよ!あのビルが君が破壊したとされてしまったビルだね!」

 「ええ!あのビルを爆破した罪で僕は死刑判決を受けてしまいました・・・!」

 「しかし情報を掴むことが出来れば君の無実を晴らせる可能性が十分にある。」

 僕はつばをゴクリと飲んだ。もしかしたら無実の罪が晴れるかもしれない・・・そうすれば元の世界に帰ることが出来るだろうし、もう『死』に怯える必要はない・・・しかし僕は自分が死刑判決を受けてあれだけ・・・・生きる気力がなかったこれまでの自分が嘘のように思うほど生きたいと思うようになっていた。するとコザヤマさんが僕に言う。

 「太郎君、今からトラックを追跡するよ。西川さん、トラックの出発に映像を合わせてください!」

 「分かった!」

 そしてコザヤマさんはキーボードを打ち続けると出発したトラックの映像が映り、なんと僕から半径一キロ以内を越えてずっとトラックを映像が追いかける。

 「や、やった!」

 「あれ、あの建物は【フィン・リンギット】の事務所?」

 トラックは突然ある事務所らしきテナントが入るビルの前に停車したのである。僕はコザヤマさんに質問をする。

 「すみませんがコザヤマさん、リンギットさんって誰でしょうか?」

 「ああ、議員の【フィンリー・レンジ・リンギット】は国家資産次官で副長官の次の位の人物だ。だがあのトラックの運転手と関係あるのかな?」

 コザヤマさんはなぜリンギット国家資産次官がトラックの運転手と関わりがあるのかと疑問に感じていると運転手がタブレットのようなものをリンギット国家資産次官に見せたのである。すると彼は顔が青ざめて事務所内に入り、箱を持って出てきたのである。

 「あれ、どうしたんだリンギット次官?顔が青いぞ。」

 「ん?コザヤマさん。あのリンギットさんという人、大きな箱を持ってきましたよ!」

 「あ、本当だ。」

 「しかし一体何を見せたんでしょうか?」

 「さあな、顔が青ざめていたから相当まずい・・・ものかな?」

 「あと運転手の正体が分からない。」

 「まああの運転手は恐らくテロ関係者と関わりがあると考えると多分下請け業者くらいの立場かな。」

 リンギット国家資産次官に何かを見せた運転手の正体と何を見せたか議論を交わしていた僕とコザヤマさんだったが運転手がトラックに乗って去った直後にリンギット次官は正座してうなだれたのだ。

 「リンギットさん?どうしたのでしょうか?」

 「もしかしてやむを得ずあの箱を渡したのかもしれないな。」

 リンギット国家資産次官のこの時の心境を僕は理解できなかったが引き続きトラックを映像で追いかけていくと衝撃の映像が入っていたのである。

 「ちょ、太郎くん!」

 「あ、これは!?」

 僕の見たその映像とは・・・そしてリンギット国家資産次官が渡した箱の中身とは・・・?
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