新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~

ネコ軍団

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第4章 深い森に迷う二人の姉

第215話 やっぱりこうなる

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 軒下に宝箱の後ろに剣と剣が交差する看板が掲げられていた、五階建てでレンガ造りの大きな建物の前にハモンドが建つ。ここがテオドールの冒険者ギルドだ。ブルーボンボンが両開きの扉を開けた。

「ここが冒険者ギルドです。入ったら右にあるカウンターへ行ってください。初めて登録される方は一番窓口へ。他の大陸ですでに冒険者ギルドに登録済みの方は二番窓口へお願いします」

 ハモンドの言葉を聞いて冒険者達は、なだれ込むようにして建物の中へ入っていく。冒険者を見送るとハモンドとブルーボンボンが中へ入り、二人に続いてグレンとレイナが建物へ入る。
 建物は入り口が入ると階段ホールになり、向かって左が酒場で右に冒険者ギルドとなっている。

「おい!!!! なんだよ!!! それ!!! 初心者どもと同じだと!?? ふざけるな!!!!」

 グレンとレイナが建物に入るとほぼ同時に怒鳴り声が響く。うんざりといった表情をするグレンだった。冒険者ギルドの前で怯えた様子のハモンドと無表情のブルーボンボンが立っている。
 レイナは怒鳴り声を聞いて驚き慌ててグレンにたずねる。

「グレン君!? なっなに!? 喧嘩?」
「えっと…… うんと…… まぁよくあることだよ。ちょっと待って」
 
 困惑するレイナを待たせて、グレンは慣れた様子で建物の奥へと入っていく。ギルドの入り口でハモンドは近づくグレンに気づいた。
 
「先輩! 大丈夫ですよ。ブルーボンボンさんに……」
「俺か義姉ちゃんがいるときにブルーボンボンは使うなって言われているだろ。あいつ容赦ないからな……」

 ハモンドに向かって首を横に振って笑うグレンだった。彼は一人で静かに冒険者ギルドのカウンターへ向かう。
 鉄の鎧に身を包み背中に盾と槍を背負った男がパステルに詰め寄っていた。男は太い眉毛に黒い瞳に広い鼻に右頬に十字傷がある。

「だーかーら!!! 説明したでしょ。ノウレッジ大陸では過去の実績も罪も問わないルールなの!!」
「んなもの知るかよ!!! 俺は傭兵団炎鉄剣えんてっけんで一番槍を任されたガウローだ!!! 初心者のガキどもと同じ扱いで耐えられるか!」

 男はガウローと名乗り傭兵団の要だったと叫ぶ。グレンは苦笑いして首を横に振る。過去の実績を声高に叫ぶのは構わないが、本当に傭兵団の重要人物であれば高い報酬で引き止められノウレッジに来るわけないのだ。こういう人物はグレンの経験上、人格か能力に問題があると分かっている。カウンターの奥からミレイユが動こうとしているのが見えたグレンは手を前に出して彼女を止める。

「じゃあその力を使って早く出世しなよ! べー!!」

 パステルは説明を諦めガウローに向かって舌を出した。彼女の子供のような態度にガウローは怒りだし背中に手を回した。ガウローは槍を抜いて両手に持って構えた。

「クソガキが!! お前に俺の何が……」
「なっなんだよ!! ガキじゃないもん! 武器をしまえよ!」
「黙れ!!!」
「ひぃ! やっやめろよ!!」

 槍を構えるガウローにやや怯えた様子で声を震わせるパステルだった。ガウローはパステルを怒鳴りつけ脅すようにして槍を彼女の前へと突き出した。金属で出来た柄の槍の冷たい銀色の刃先がパステルの目の前に突き出され、彼女は悲鳴をあげ周囲にいる冒険者たちは後ずさりをしている。
 グレンは淡々と人をかき分け進み、ガウローの背後に近づき声をかける。

「おい! 少し落ち着け! 条件は皆一緒だ。実力があれば出世なんかすぐ……」

 ガウローは振り向きグレンを見て眉間にシワを寄せる。彼は槍をカウンターに突き出したまま体をかがめ、眉間にシワをよせグレンに顔を近づけ凄む。

「なんだぁ!? お前は?」
「俺はな……」

 ほほ笑んだグレンの目が赤く光りオーラを纏う、彼はゆっくりお拳を握り振り上げ……

「こら!!! グレン君!!! ダメだよ!!! 喧嘩は!!!」

 叫び声がし振り上げようとした、グレンの腕が後ろにわずかに引っ張られた。グレンが振り向くと両手で彼の腕を引っ張るレイナが立って居た。

「なんだよ! 姉ちゃん! 仕事の邪魔するな!」
「えっ!? 仕事って…… グレン君が喧嘩なんかしたら危ないし……」

 レイナの手をグレンは振り払う。困惑しながらレイナがグレンを見つめていた。レイナにとってはグレンは幼い頃のままの弟だ。離れていた時間が長くレイナの中でそのイメージが大きく強くなっていた。
 二人の様子を見てガウローが笑いだす。

「はははっ! 威勢よく出て来たとおもったらお姉ちゃんにオムツ替えてもらってるシスコンやろうかよ」

 笑うガウローをグレンは睨みつける。ガウローはレイナを舐めるように下から上へ見た。胸はあまり大きくないがくびれた腰にすらっと細い足に二十を超えた年齢だが、やや幼く可愛らしいレイナの容姿は船上で禁欲生活を強いられた男の欲望を満たすのに十分だった。

「いいぜ。その姉ちゃんとやらせろよ。そしたらお前を許してやるよ!!」

 レイナに視線を向けニヤニヤと笑うガウローだだった。

「えっ!? なっなんて失礼なことを! 誰か騎士様に連絡を!」

 周囲に助けを呼ぶように求めるレイナにグレンは首を横に振った。

「姉ちゃん。ごめん。ちょっと黙って大人しくしててくれ」
「えっ!? でもグレン君……」
 
 グレンは軽くレイナを押して彼女を下がらせる。動揺するレイナにグレンは振り向いて彼女に背中を向けて口を開く。

「姉ちゃん。ここは田舎の村と違う新大陸。良いやつばかりが集まってくるわけじゃないんだ」
「グっグレン君…… まっ……」

 グレンにすがろうと背中に手を伸ばすレイナだったが、彼は振り向くことなく静かにガウローを見つめている。レイナはグレンに自分の声が届いてないことに気づき手をひっこめた。
 
「おいおい。騎士様を待たなくて良いのか?」
「黙れ。俺は冒険者支援課のグレンだ。一度しか言わない。ルールに従わないならお前は…… 排除だ」

 目つき鋭くグレンはガウローを睨みつけながら、淡々と話し静かに右手を腰にさした剣へ持って行く。鋭くガウローに突き刺さるようなグレンの視線、彼の体からは殺意がにじみ出ている。ガウローの目には自分より小さいグレンが大きく見えていた。彼は慌て右手に持った槍をパステルに突き出しグレンに向かって叫ぶ。

「だっ黙れ! 近づいてみろ! この女を……」

 グレンは剣を握った同時に目が赤く光り赤いオーラを纏う。光のオーラは毛先が細かい毛のようになびいた。直後にグレンの姿がガウローの視界から消えた。
 大きな音が響いた。グレンが剣を振り上げた腕を伸ばし、天井に剣先を向けた姿勢で立って行った。金属製のガウローの槍は真っ二つに斬られて刃が天井に突き刺さっている。
 音に気づいて慌ててガウローが振り向いた。グレンは静かに右腕を下しガウローへ視線を向けた。

「げぇ!!!」

 振り向いたガウローの首にグレンの左手が伸びていった。ガウローの喉元をつかんだグレンは左腕をゆっくりと天井へ開けていく。

「あがあああああ……」

 ガウローの足が地面から離れ苦しみだした。斬られた槍から手を離し彼は両手で、グレンの左手を外そうとするがビクともしない。徐々に顔が紫色になりガウローは足をバタつかせる、最後の抵抗なのか足でグレンを蹴っている。グレンは蹴られても涼しい顔をして笑っていた。

「グレン! もういいよ! 死んじゃうよ」

 カウンターから身を乗り出しパステルが叫んだ。グレンはチラッと視線を彼女に向けるとすぐに左手を離した。

「ぷはああああああああああああああああ!!! はあはあ……」

 手を離されたガウローは床に落ちて尻もちをついた。胸を押さえて必死に息をするガウローの前に立って見下ろすグレンだった。

「ふん…… こんなんでよく威張り散らしてたな。一つ教えてやる。お前みたいのはノウレッジじゃ一週間で死ぬぞ」
 
 鼻で笑ったグレンは剣を持ったままガウローの前にしゃがんだ。彼は右手をあげガウローの頬に剣を当ててニヤニヤと笑っている。グレンに怯えガウローはがくがくと震え目に涙を溜めていく。
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