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ネコ軍団

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第4章 深い森に迷う二人の姉

第266話 逃げて飛ぶ男

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 深い森を一人の男が草木をかき分け走っていた。彼は栗色の短い髪に丸い目に髪と同じ色の瞳を持つ背が低く幼い少年のような男で、黒のブーツに茶色の長ズボンに青いシャツに白いコートを羽織り肩掛けの鞄をもっている。頭には鍔の広い濃い茶色の帽子を被り手には手帳を持っている。護身用か膝と両手に鉄のプロテクターを装備し腰にはショートソードをさしていた。

「おわっと!」
 
 手帳を手に持ったまま男は後ろを見た。ぬかるんだ地面に足を滑らせたが何とか踏ん張り、彼は後方を見たまま走り続ける。

「ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 森をかける男の後方十メートルほどに五メートルほどの高さの木の魔物が迫って来ていた。魔物は木の姿に中央に光る赤い目とギザギザの口の顔があり、左右に太い木の手と地面から抜けた十を超える太い根っこが足のようになっていた。
 しかし、魔物は足を止めた手のような近くにあった直径一メートルほどの岩へと両手を伸ばして持ち上げた。

「あれは…… トレント君だね…… ということは…… この辺りに……」

 魔物の姿を見た男は手帳へと視線を向け走りながら手帳をめくっていく。木の魔物は岩を両腕に乗せ大きく引いた。

「ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うん!? うわあああああああああああああああ!!!!」

 トレントの声と風を切る音が聞こえ振り向いた男の目の前に、岩が飛んで来ているのが見えた。叫び声をあげ男は走る速度を上げていった。
 必死に逃げる男の視界に大きな溝が見えた。彼は走って踏み切って溝を飛び越えようとジャンプした。彼が飛ぶと同時に岩が転がって来て溝へと落ちていった。

「ふぃ…… 逃げきれ…… へっ!?」

 ジャンプをした男は落下する岩を見て息を吐いた…… 直後にガクンと彼の視界が激しく下へと落ちた。溝の向こう側ははるか向こうに見える。下へ視線を向けた男の足元には深い深い闇が広がっていた。彼が飛び出した溝は……

「えっと…… ここはつまりガエロの怒りの断崖だね」

 冷静な表情で手帳をしまい男は帽子に手を当てた。直後にジャンプした浮力を失った彼の体は一気にガエロの怒りの断崖へと落ちていった。

「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 声をあげる男の体は猛スピードで落下しガエロの怒りの断崖の暗闇に飲まれていく。そこへメルダが飛んで来て彼の肩をつかんだ。

「はっ!」
「えっ!?」

 首を横に振ってメルダを見て驚く男だった。彼女は男を見てあきれて笑う。メルダを見る男の目は輝き嬉しさがにじんでいた。

「大丈夫?」
「えっ!? あっ! はい! ありがとうございます!」

 メルダに声をかけられて男は頬を真っ赤にして答えていた。メルダは男性の腕の下に手をいれ抱えるようにして飛んで行く。
 森から断崖の縁ではグレンとクレアがトレントと対峙していた。クレアは大剣を両手に持って構え、グレンは目を赤く光らせオーラを纏い右手に持った剣の先を下に向けている。

「ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 声をあげトレントが両腕を前に出した。トレントの体中の葉が青く光り出し刃となってグレンとクレアへと向かっていった。無数の葉の刃が空気を切り裂きながらグレンとクレアへ飛んで行った。

「よっと!」

 グレンが左手を前に突き出した。彼の手にやんわりと白く光ると周囲の木の葉が白く光りだし刃となって一斉に飛びだした。
 激しい音が森に響く。周囲の木から飛んだ刃がトレントの葉を撃ち次々に落としていった。一枚を残してトレントの葉は撃ち落とされてしまった。

「キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?!?!??!?!?」

 落ちていった葉を見てトレントは大きな声をあげた。グレンの手前で甲高い金属音がして最後の葉が彼の刃とぶつかった。刃はゆらゆらと
 最後に残った一枚の葉がグレンへと力なく飛んで来た。彼はは右手の人さし指と中指を立て飛んで来た葉をいとも簡単に挟んで止めた。

「残念だったな…… お前じゃ力不足だ…… よ!!!」

 グレンはトレントに向かって葉を投げ返した。白い光を帯びた葉は刃となってトレントの目に突き刺さる。

「ピキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 右目から赤い血のような樹液を垂れ流し声をあげるトレントだった。直後にトレントの背後にクレアが移動し大剣を構える。

「終わりです!」

 叫ぶと同時に一閃の光がトレントを水平に移動した。クレアの大剣がトレントを斬りつけた。

「ピキッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 トレントはクレアの大剣に真っ二つに斬られた。葉が真っ白になって幹は滑り落ちるようにして地面に落ちていった。斬られたトレントの幹は前へと倒れていきグレンは横へ移動した。
 グレンの横にトレントは倒れて音を立てていた。クレアは倒れたトレントを見て大剣を背中へとしまった。

「終わったな」
「えぇ。ジャスミンさん。もう大丈夫ですよ」
「ふぅでござる」

 グレンの言葉にうなずいたクレアがジャスミンを呼んだ。木の陰に隠れていたジャスミンが姿を現す。すぐに三人の元へとメルダと男が飛んで来た。着地したメルダは男から手を離す……

「あなたは魔族ですよね? すごい…… その弓…… 人間の技術ではありませんね…… なるほど…… 魔族加工技術か…… それに魔力を…… うーん」
「ちょっと! 何なの! こいつ! クレア!」

 男は手を離されるとメルダの背後に素早く周り彼女の弓に興味を示した。さらに彼女を舐めますように見つめうんうんとうなずいている。メルダは男の行動が気持ち悪くクレアを呼ぶ。
 あきれた顔でクレアとグレンは顔を見合せるとすぐに二人でメルダの元へと向かう。クレアはメルダの後ろに居る男に声をかける。

「私は冒険者ギルド冒険者支援課のクレアと申します」
「俺はグレンだ。あいつは冒険者のメルダだ」
「拙者はジャスミンでござる」
「えっ!? あっ! 僕はダグオンといいます。今はギガンゴス大学で古代遺跡の研究をしています」

 声をかけられた男はハッとして慌てた様子でダグオンと名乗る。幼い容姿のダグオンが大学で研究をしていると聞いてグレンは驚いていた。

「えっ!? 研究って大学教授さんなんですか?」
「はっはい……」

 うなずいてグレンに返事をするダグオンだった。ただ、ダグオンの視線はグレンではなく彼の横に立つクレアへと向けられていた。

「えっと…… ダグオンはいくつなんだ?」
「十二歳です」
「えぇ!?」

 年齢を聞いて驚くグレンだった。ダグオンはクレアから視線を外しグレンに向かってにこやかに口を開く。

「はははっ。驚きますよね。帝国の試験に受かった僕は七歳で帝国大学に入学し九才の時に教授になりました。今は研究のためにノウレッジに来ているんです」

 得意げに胸を張って答えるダグオンだった。グレンは彼の言葉の意味がよくわからず首をかしげていた。横に居たクレアはダグオンの言葉に驚いた顔をした。

「もしかして試験って帝国のエリート試験教育ですか?」
「はい! よくご存知で帝国の方ですか」

 笑顔でダグオンは大きくうなずいた。

「なにクレア義姉ちゃん…… エリート試験教育って?」
「えっとですね……」

 顎に指をあてクレアがグレンに説明をする。
 魔王軍との戦争で人材不足に陥ったガルバルディア帝国には、才能を発掘するためのエリート教育制度がある。試験に受かれば何歳であっても高等教育が受けられるのだ。
 ダグオンは試験を受け合格した帝国のエリートだった。

「すごいんだな。ダグオンは」
「僕のことは良いんです! それよりも……」
「えっ!?」

 褒められたダグオンは首を大きく横に振り、彼は視線をクレアへと向けた。ダグオンの目を輝かせクレアを羨望の眼差しで見つめていた。
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