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ネコ軍団

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第4章 深い森に迷う二人の姉

第292話 友との悲しい再会

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 冬を迎えたばかりの優しい午後の陽ざしが照らす草原。
 たたずむ柵に囲まれた家の前で、ジャスミンに撫でられるディーアがいる。彼女はジャスミンに直接撫でてほしくフードをつかんで勢いよく外した。
 ふわりとフードが背後へと落ちていく。ディーアの顔がはっきりと見えてくる。

「えっ!? エッ…… エッ…… エリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うへ!?」

 ディーアの顔を見たジャスミンの後ろにいた、キティルがエリィの名前を叫ぶ。驚いたジャスミンが変な声をあげる。
 そう…… ディーアはエリィだった。夢を抱きノウレッジに一緒にやってきた大事な幼馴染、事件に巻き込まれ行方不明になったエリィだ。テオドールから数千キロの距離を旅しキティルはやっとエリィを見つけたのだ。

「エッエッ……」

 声を震わせキティルは目に涙が浮かべ顔をクシャクシャにしていく。

「エリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「キャッ!!!!!」

 キティルがディーアに駆け寄り抱きしめた。いきなり抱きしめられたディーアが声をあげた。メルダもディーアの側に駆け寄る。

「エリィ! エリィ! よかった! 無事だったのね……」
「本当に…… よかった……」

 泣きながらディーアを抱きしめるメルダとキティルだった。幼馴染との感動の再会……

「やめて! はなして!!!! ジャスミン! 助けて!!」

 しかし、再会はすぐにジャスミンに助けを求めるディーアの声でかき消された。自分に抱きしめられながら必死にジャスミンに手を伸ばすディーアにキティルが声をかける。

「どうしたの? エリィ!?」
「だっだれ? あなた? こっちの耳が変な人も!!!」
「「へっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????」」

 ディーア…… エリィはキティルに向かって何者かと尋ねた。ようやく探し当てた幼馴染の言葉にひどく驚きキティルは彼女から手を外してしまった。ディーアはキティルの手が外れるとジャスミンの後ろに隠れた。
 キティルはディーアの行動に我に返って自分を指してエリィに答える。

「エリィ? どうしたの? 私よ!」
「だから? 誰なの? ジャスミン!!」

 エリィはジャスミンの背中から顔をだして叫ぶと、助けを求めるようにジャスミンの顔を見つめる。

「なっ何言っているのよ? 私はキティルよ! あなたの幼馴染!!」
「幼馴染? それってお友達?」

 ジャスミンの背中から顔をだし、首をかしげディーアはキティルを見つめる。ディーアの反応にキティルは驚きいらいらを募らせていく。

「うそ…… どうして? ふざけないでよ!!!!!!!!!!!!」
「わーん!!!」

 大きな声をあげたキティルにディーアは怖がりジャスミンの背中に隠れてしまった。

「エリィ…… どうして…… なんで……」

 キティルは目に涙をため肩を震わせディーアを見つめていた。メルダはジャスミンの背中に隠れたディーアを見て首を横に振った。彼女はキティルの側に寄り添い肩に手をおいた。

「少し落ち着きましょう! キティル」
「でっでも…… エリィが……」
「大丈夫よ。大丈夫だから」

 目から涙がこぼれ落ちていくキティルをメルダはそっと抱きしめた。メルダの胸で体を震わせキティルはむせび泣いていた。

「あの子泣いてるの? どうしたの?」
「なんでないでござるよ……」

 メルダに抱かれ泣いているキティルを心配そうに見つめ、首をかしげるディーアだった。ジャスミンはディーアにほほ笑み答えると辛そうにキティルを見つめるのだった。
 しばらくして…… キティルはゆっくりとメルダの胸から顔をはなす。彼女はメルダに優しくほほ笑んだ。

「ありがとう…… 少し落ち着いたわ」
「そう。じゃあ。エリィに何があったか聞きましょう」
「そうね……」
「ジャスミン! お願いできる?」

 メルダはジャスミンにディーアに話を聞くように依頼した。
 
「わっわかったでござる」

 うなずいたジャスミンは振り向き、自分の背中に隠れていたディーアを見た。ジャスミンは優しくディーアの手を外し彼女の前にしゃがんだ。

「どうしたの? ジャスミン。そうだ! 今日はおままごと……」
「ありがとうでござる。でも、今日は一つ教えてほしいでござる」
「なーに?」

 しゃがんだジャスミンにディーアは嬉しそうに笑って首をかしげた。しかし……

「ディーア様!!!!!」

 叫び声が聞こえた全員が振り向くと、家の扉の前で老婆のシスターが立っていた。慌てた様子で老婆のシスターが駆けて来た。

「おばあ! 見て見て! お友達のジャスミンだよ!」

 ディーアは老婆のシスターを見て嬉しそうに声をかけた。

「おっお前たちは…… まっ魔族!!!!」

 老婆のシスターがメルダを指して叫んだ。メルダは彼女をジッと見つめて間を開けてから口を開く。

「…… あんたもでしょ! 人間は騙せても私は無理よ……」

 睨みつけるような冷たい目を老婆のシスターに向けたメルダだった。

「チッ…… お前…… なるほど…… 噂は本当だったのね……」

 老婆のシスターの皮膚が赤くなり、体が大きくなっていく。シスター服はボロボロとなり彼女の身長は二メートルを超え背中からは、蝙蝠のような翼が生え爪は長く口からは牙が生えていた。ベールを破り羊のような丸い角が突き出している。老婆のシスターは魔族へ変貌した。

「おっおばあ…… 耳が…… おっきくなっている!」
「おっと!」
「ふにゃああ!!!」
「ディーア氏!?」

 目を大きくてい声を震わせるディーアに魔族が左手を向けた。魔族の手が青く光るとディーアは膝から崩れて倒れた。ジャスミンが慌てて彼女を抱き起す。

「スースー……」
「眠っている……」

 ジャスミンはそっとディーアを地面に寝かせた。メルダは背中の弓に手をかけた。

「あらあ!? 福音派は魔族が嫌いなんじゃないのかしら?」
「ふふ…… 闇は嫌われるところに潜むものですよ。あなたは光に当たり過ぎたようですね」

 メルダを見て魔族はニヤリと笑った。眉間にしわを寄せメルダは弓を力強く握った。メルダの手の動きに魔族の視線が追っている。

「あらあ…… そんなに怖い顔で見つめないでください…… 姫様!」
「なっ!? チッ!」

 口を大きく開けた魔族を見てメルダは慌てて素早く弓を構えて矢を放った。

「甘いですわよ」

 飛んで来た矢を魔族は左手の爪ではたき落とした。口を開けた魔族が上を向いた。

「ピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 笛のような透き通った甲高い声が魔族の口から飛び出した。声は森の奥まで響き渡るように大きい。ジャスミン、キティル、ディーアの三人は思わず耳を塞ぐ。

「これは……」

 音を聞いたメルダは目を見開きハッと驚いた表情をした。音が鳴り止み魔族は勝ち誇った顔でメルダを見つめていた。
 メルダは側にいたキティルに手首をつかんだ。すぐにジャスミンに向かって叫ぶ。

「ジャスミン! キティル! 逃げるわよ」
「えっ!? なんでよ!? エリィを……」

 逃げるというメルダにキティルは躊躇した。やっと見つけた行方不明の幼馴染を置いて逃げるなど彼女には出来ないのだ。
 メルダは周囲に視線を向けた。木がざわめき多くの気配が迫ってきているのを感じる。彼女は冷静に口を開く。

「今のは魔族の連絡笛よ。あいつは助けを呼んだのよ」

 魔族は声をあげ援軍を呼んだのだ。
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