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Lesson.0 不思議な図書館と謎の日記
1.13歳の誕生日プレゼント
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昨日13歳になったばかりの公爵令嬢リーリウム・ウェスペルは、珍しく浮足立っていた。
本当はステップを踏みたいほどの高揚感を、鍛え上げられた“公爵令嬢としての所作”で抑え込んでいたのだ。
そんな、一見そうとは見えないが、軽やかな足取りで向かった先は父親である公爵の書斎。
正確には、さらにその奥にある当主専用の図書室である。
書斎をノックし父親の不在を確認すると、大きな扉を開ける。
公爵の書斎にしては飾り気がなく、しかし広々としたその空間に足を踏み入れ、正面にある重厚な書斎机の横に佇む小さな扉を目指した。
誕生日のプレゼントに贈られた図書室の鍵をそっと鍵穴に差し込むとカチリと音がした。
ドキドキとした気持ちで扉を慎重に開くと、そこにはリーリウムが夢見た空間が広がっていた。
リーリウムは公爵家の三女。
陶器のような白い肌に、夜空のような群青色の瞳。
ゆるやかなウェーブを描くブロンドは、妹プリムラの憧れだ。
公爵家の四姉妹の中で一番物静かで一番の読書家、そして一番の頑固者でもある。
しかし、真面目で勤勉な性格のおかげで周囲には慎み深い淑女のお手本だと思われていた。
そんなリーリウムの唯一の楽しみが読書だった。
屋敷中の本という本を読み漁り、読破した本の数は優秀だとされる2人の姉をゆうに超えていた。
昨日、誕生パーティーの際、そんなリーリウムへ父親から小さなプレゼントが贈られた。
あまりの小ささに周りの者は「希少性の高い宝石では」とか「純度の高い魔法石では」とヒソヒソと話していたが、中に入っていたのは古びた鍵だった。
リーリウムと2人の姉は息をのんだ。他の招待客たちには、その鍵の意味が分からずざわめきが起きる。
「お父さま、これは当主しか手にしてはいけないものなのではないですか?」
長女のヴィオラが少しおもしろくなさそうに抗議をした。
「お姉さま、お父さまは別にリーリウムを後継者に選んだわけではないと思いますよ?ねぇ、お父さま?」
次女のフレエシアが姉をなだめ、そして父親に説明をするように促す。
「もちろん、そうだとも。リーリウムは屋敷内の本をすべて読んだと聞いて、
書斎の奥にある図書室の使用許可を出そうと思っただけだよ。」
やわらかな口調で娘たちに話をするウェスペル公爵は、今でも若い貴族令嬢たちの人気を集めているその美しい顔に微笑みをたたえていた。
「ありがとうございます。お父さま。」
大人たちのやりとりを静かに聞いていたリーリウムは少しだけ口角を上げた淑女の微笑みを父親に返し、お行儀よく静かに礼を告げた。
「あの図書室の本は僕もほとんど読めていない。
君ほど読書家ではないからね。
もし、貴重な資料などが見つかったら、すぐに報告するんだよ。」
「承知いたしました。」
公爵家の父娘たちの会話に固唾をのんで眺めていた招待客たちは、リーリウムの聡明さと公爵からの宝石よりも価値のあるプレゼントに感嘆の声を上げた。
「聞き及んではいたが、リーリウム嬢は本当に優秀だ」と誰かが声を上げれば、
「それにそんなリーリウム嬢の才能を生かそうとする公爵様もすばらしい」と誰もが話し、
この誕生パーティーは公爵家の評価をより高めることに一役買ったのだった。
そして、次の日、さっそくリーリウムは公爵専用図書室に本を漁りにいったというわけである。
本当はステップを踏みたいほどの高揚感を、鍛え上げられた“公爵令嬢としての所作”で抑え込んでいたのだ。
そんな、一見そうとは見えないが、軽やかな足取りで向かった先は父親である公爵の書斎。
正確には、さらにその奥にある当主専用の図書室である。
書斎をノックし父親の不在を確認すると、大きな扉を開ける。
公爵の書斎にしては飾り気がなく、しかし広々としたその空間に足を踏み入れ、正面にある重厚な書斎机の横に佇む小さな扉を目指した。
誕生日のプレゼントに贈られた図書室の鍵をそっと鍵穴に差し込むとカチリと音がした。
ドキドキとした気持ちで扉を慎重に開くと、そこにはリーリウムが夢見た空間が広がっていた。
リーリウムは公爵家の三女。
陶器のような白い肌に、夜空のような群青色の瞳。
ゆるやかなウェーブを描くブロンドは、妹プリムラの憧れだ。
公爵家の四姉妹の中で一番物静かで一番の読書家、そして一番の頑固者でもある。
しかし、真面目で勤勉な性格のおかげで周囲には慎み深い淑女のお手本だと思われていた。
そんなリーリウムの唯一の楽しみが読書だった。
屋敷中の本という本を読み漁り、読破した本の数は優秀だとされる2人の姉をゆうに超えていた。
昨日、誕生パーティーの際、そんなリーリウムへ父親から小さなプレゼントが贈られた。
あまりの小ささに周りの者は「希少性の高い宝石では」とか「純度の高い魔法石では」とヒソヒソと話していたが、中に入っていたのは古びた鍵だった。
リーリウムと2人の姉は息をのんだ。他の招待客たちには、その鍵の意味が分からずざわめきが起きる。
「お父さま、これは当主しか手にしてはいけないものなのではないですか?」
長女のヴィオラが少しおもしろくなさそうに抗議をした。
「お姉さま、お父さまは別にリーリウムを後継者に選んだわけではないと思いますよ?ねぇ、お父さま?」
次女のフレエシアが姉をなだめ、そして父親に説明をするように促す。
「もちろん、そうだとも。リーリウムは屋敷内の本をすべて読んだと聞いて、
書斎の奥にある図書室の使用許可を出そうと思っただけだよ。」
やわらかな口調で娘たちに話をするウェスペル公爵は、今でも若い貴族令嬢たちの人気を集めているその美しい顔に微笑みをたたえていた。
「ありがとうございます。お父さま。」
大人たちのやりとりを静かに聞いていたリーリウムは少しだけ口角を上げた淑女の微笑みを父親に返し、お行儀よく静かに礼を告げた。
「あの図書室の本は僕もほとんど読めていない。
君ほど読書家ではないからね。
もし、貴重な資料などが見つかったら、すぐに報告するんだよ。」
「承知いたしました。」
公爵家の父娘たちの会話に固唾をのんで眺めていた招待客たちは、リーリウムの聡明さと公爵からの宝石よりも価値のあるプレゼントに感嘆の声を上げた。
「聞き及んではいたが、リーリウム嬢は本当に優秀だ」と誰かが声を上げれば、
「それにそんなリーリウム嬢の才能を生かそうとする公爵様もすばらしい」と誰もが話し、
この誕生パーティーは公爵家の評価をより高めることに一役買ったのだった。
そして、次の日、さっそくリーリウムは公爵専用図書室に本を漁りにいったというわけである。
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