44 / 141
Lesson.4 ヒロイン封じと学園改革
44.アイリのくわだて3
しおりを挟む
泣き顔のマリーとそれを心配するそぶりを見せるアイリが歩いてくるのを見つけ、驚くジョン。
「ジョン、マリーがプリムラ嬢にいじめられていたのよ。
それについてお話があるのだけど、ちょっといいかしら?
マリーは、ここで待っていてね。」
アイリはマリーをちらりと見ると、ジョンの袖を引っ張ってすぐそばの木陰に連れて行く。
「これを」
アイリは忍びもっていたマリーの髪飾りを、ジョンのジャケットのポケットに滑り込ませる。
「何とかしてプリムラの荷物に紛れ込ませておいてね。
あと、マリーをどこにも寄り道をさせずに自宅へ連れ帰って。
私はまだやることがあるの。」
アイリはそう言うと、校舎の方へ引き返していった。
ジョンは、それを見送ると校門で立ち尽くしているマリーの元へ駆け寄っていった。
「マリー、お前大丈夫か?」
「お兄様とは話したくありません。
カイル兄様と約束があるのよ……。」
アイリの味方であるジョンとは関わりたくないという態度を露わにするマリー。
「なら、研究棟まで付き添うから。
それならいいだろ?」
マリーの荷物を引き取り、ジョンはアイリに見られていないか慎重に回りを確認しながら研究棟へ向かう。
ポケットの中にあるマリーの宝物の存在を感じながら、マリーにはスパイの件を話そうかと気持ちが揺れ動く。
ふと後ろを振り向くと、今にも泣きだしそうな顔でふらふらと歩くマリーの様子が見え、心がえぐられそうだった。
そうこうしているうちに研究棟へ到着し、呼び鈴を鳴らす。
対応してくれた受付員に、兄の名を告げると、しばらくしてカイルが研究棟から出てきた。
弟妹の様子がおかしいことに気づくと、カイルはジョンの手を引っ張り少し離れた場所へ行く。
そして、マリーに声が届かないように弟を責めたてた。
「何があった!」
「アイリだよ……。
今はまだ詳しくは話せない。
もうすぐ、兄上にもマリーにもすべて話せると思うから、それまでマリーを頼むよ。」
「あの女狐め。またマリーを傷つけたのか!
お前はいつまであの女の尻を追っかけるつもりなんだ……!」
「ごめん……、絶対に今度すべてを話すから。ごめん!」
ジョンは、持っていたマリーの荷物をカイルに押し付けて駆け出すと、妹をちらりと見て走り去っていった。
そのころ、アイリは生徒会室のドアをノックしていた。
中からアンドレアスが出てくる。
「もう、彼女を家へ送っていったのかい?」
「マリーは兄のジョンに託しましたので大丈夫ですわ。
私はさきほど見たことをすべてアンドレアス様にお話ししたくて……。
アンドレアス様のお役に立ちたいのです!」
アイリは大きく潤んだ瞳でアンドレアスを見つめる。
「そうか。それでは、話を聞かせてもらえるかい?」
アンドレアスは訝しく思いつつもアイリの話を聞くことにした。
(プリムラ嬢は少しわがままが過ぎるからな……)
フレエシアとリーリウムは、姉のヴィオラを尊敬する対象として一線を引いた付き合いをしている。
しかし、末の妹プリムラだけは、ヴィオラにべったりと甘えてくる。
ヴィオラとアンドレアスが庭をいっしょに散歩したり、街へ出かけようとしたりすると、必ず付いて来たがったし、実際に付いてきてしまったこともある。
プリムラはもう少しで13歳。
ヴィオラの後ろをついて回っていた頃はさらに幼かったのだから仕方がないことなのだが、アンドレアスはそういう風には考えられなかった。
アンドレアスは常にヴィオラのそばにいて、彼女に愛されたかった。
でも、いつだってヴィオラの愛情はプリムラに対するものの方が深くて大きかったように感じて、悲しかった。
アイリは、そんなアンドレアスの苦悩を知っていた。
アンドレアスの寂しさを埋めてあげられるのは自分なのだと確信しているのだ。
「アンドレアス様、ここでは他の役員の方がいついらっしゃるかわかりません。
良ければ、街のカフェにでも行きませんか?
内緒話をするのに、ちょうどいいお店を知っているんです。」
「ああ、そうだな、そうしよう。」
アンドレアスは、放課後にフレエシアたちが集まることを思い出し、アイリの提案に同意したのだった。
「ジョン、マリーがプリムラ嬢にいじめられていたのよ。
それについてお話があるのだけど、ちょっといいかしら?
マリーは、ここで待っていてね。」
アイリはマリーをちらりと見ると、ジョンの袖を引っ張ってすぐそばの木陰に連れて行く。
「これを」
アイリは忍びもっていたマリーの髪飾りを、ジョンのジャケットのポケットに滑り込ませる。
「何とかしてプリムラの荷物に紛れ込ませておいてね。
あと、マリーをどこにも寄り道をさせずに自宅へ連れ帰って。
私はまだやることがあるの。」
アイリはそう言うと、校舎の方へ引き返していった。
ジョンは、それを見送ると校門で立ち尽くしているマリーの元へ駆け寄っていった。
「マリー、お前大丈夫か?」
「お兄様とは話したくありません。
カイル兄様と約束があるのよ……。」
アイリの味方であるジョンとは関わりたくないという態度を露わにするマリー。
「なら、研究棟まで付き添うから。
それならいいだろ?」
マリーの荷物を引き取り、ジョンはアイリに見られていないか慎重に回りを確認しながら研究棟へ向かう。
ポケットの中にあるマリーの宝物の存在を感じながら、マリーにはスパイの件を話そうかと気持ちが揺れ動く。
ふと後ろを振り向くと、今にも泣きだしそうな顔でふらふらと歩くマリーの様子が見え、心がえぐられそうだった。
そうこうしているうちに研究棟へ到着し、呼び鈴を鳴らす。
対応してくれた受付員に、兄の名を告げると、しばらくしてカイルが研究棟から出てきた。
弟妹の様子がおかしいことに気づくと、カイルはジョンの手を引っ張り少し離れた場所へ行く。
そして、マリーに声が届かないように弟を責めたてた。
「何があった!」
「アイリだよ……。
今はまだ詳しくは話せない。
もうすぐ、兄上にもマリーにもすべて話せると思うから、それまでマリーを頼むよ。」
「あの女狐め。またマリーを傷つけたのか!
お前はいつまであの女の尻を追っかけるつもりなんだ……!」
「ごめん……、絶対に今度すべてを話すから。ごめん!」
ジョンは、持っていたマリーの荷物をカイルに押し付けて駆け出すと、妹をちらりと見て走り去っていった。
そのころ、アイリは生徒会室のドアをノックしていた。
中からアンドレアスが出てくる。
「もう、彼女を家へ送っていったのかい?」
「マリーは兄のジョンに託しましたので大丈夫ですわ。
私はさきほど見たことをすべてアンドレアス様にお話ししたくて……。
アンドレアス様のお役に立ちたいのです!」
アイリは大きく潤んだ瞳でアンドレアスを見つめる。
「そうか。それでは、話を聞かせてもらえるかい?」
アンドレアスは訝しく思いつつもアイリの話を聞くことにした。
(プリムラ嬢は少しわがままが過ぎるからな……)
フレエシアとリーリウムは、姉のヴィオラを尊敬する対象として一線を引いた付き合いをしている。
しかし、末の妹プリムラだけは、ヴィオラにべったりと甘えてくる。
ヴィオラとアンドレアスが庭をいっしょに散歩したり、街へ出かけようとしたりすると、必ず付いて来たがったし、実際に付いてきてしまったこともある。
プリムラはもう少しで13歳。
ヴィオラの後ろをついて回っていた頃はさらに幼かったのだから仕方がないことなのだが、アンドレアスはそういう風には考えられなかった。
アンドレアスは常にヴィオラのそばにいて、彼女に愛されたかった。
でも、いつだってヴィオラの愛情はプリムラに対するものの方が深くて大きかったように感じて、悲しかった。
アイリは、そんなアンドレアスの苦悩を知っていた。
アンドレアスの寂しさを埋めてあげられるのは自分なのだと確信しているのだ。
「アンドレアス様、ここでは他の役員の方がいついらっしゃるかわかりません。
良ければ、街のカフェにでも行きませんか?
内緒話をするのに、ちょうどいいお店を知っているんです。」
「ああ、そうだな、そうしよう。」
アンドレアスは、放課後にフレエシアたちが集まることを思い出し、アイリの提案に同意したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる