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2章
8話《嫉妬》
しおりを挟む「おはようございます……」
雅斗さんと別れ、自分の職場に入る。
俺よりも早く来た職員達が挨拶を返してくれた。
「さ、今日することは……」
自分の机について、予定を確認する。
あまり急がなければならないようなことはなく、いつも通り机上のパソコンを起動した。
「丹宮、おはよ」
「あ……米沢、おはよう」
米沢が隣で、立ち止まり、俺に微笑みかけた。
もっと気まずい雰囲気になるかと思っていたので、少し安心した。
だが、なぜか米沢は自分の机に荷物を置いてからまた俺のところに戻ってきた。
「米沢どうした?」
「出勤早々悪いんだけど、ちょっといいか?」
「うん、どうした?」
答えると、米沢は直ぐに俺の腕を掴み走り出した。
「え、米沢っ……」
彼は何の言葉も発さないまま走り、俺を連れていく。
「お前、なんなんだよ……」
「いいから来いってんだろ」
腕を掴むての力を少し強め、俺に目的も伝えないまま、そこからはゆっくり歩き始めた。
そして、休憩室に着くと中に入って勢いよくドアを閉めた。
俺は米沢を睨んだ。
「お前朝から何キレてんだよ」
「は?お前のせいだろ」
予想外の返事に俺は混乱した。
「え?なんの事か分からないん、だけど……」
「ほんとか?心当たり一切ねぇの?」
俺はできる限り思考回路を張り巡らせ考えたが、全く思い浮かばなかった。
「ごめん……」
「へぇ、そう。朝から雅斗さんと出勤してたのも、もう忘れたんだ」
「あぁ、あれはたまたま電車が同じだったから……」
「付き合ってんの?」
「いや、雅斗さんとはそういう関係じゃないよ」
「そっか……ならよかった。手ぇ出しても大丈夫だな」
と言って、米沢は俺を休憩室のベッドに押し倒した。
「ちょっ、米沢、待って……」
「待たねぇよ」
米沢は俺の手を頭上で押さえ込み、強引に俺の唇にキスをしてきた。
そのまま舌を唇の間に捩じ込み、キスを深めた。
口内を蹂躙し、舌を絡めてくる。
俺は目を閉じてただただそのキスに溺れている。
「ふぁ……っん」
口の間から漏れる吐息と淫らな水音が室内に響いた。
米沢は1度口を離し、俺を見つめて呟いた。
「……俺さ、お前に告白すんのめっちゃ怖かったんだぞ?拒絶されたらとか嫌われたらとか思っちまってさ」
「そうなの?」
「あぁ。だけど勇気出して告してまだ返事も貰えてもない日の翌日に別の男と出勤してるとこ見てみろ?嫉妬くらいすんのわかんない?」
「ごめん、俺お前の気持ちに気付けてなくて……告白もされたのに雅斗さんと出勤するなんておかしいよな……悪かった」
「分かってくれたんならいい……で、正直なところどうなの?俺のこと」
絶対、聞かれるということは分かっていたけどあまりはっきりとした答えはまだ出せていなかった。
だけど……
「えっと……恥ずかしんだけど誰かを好きなることとか今までなくてよくわかんないんだ。でも、俺米沢のことなら好きになれる気がするんだ……だからちょっと待ってて貰える?」
俺は米沢の目をしっかりと見ながらそう言った。
「わかった、待つよ。きちんと考えてくれてるみたいだし……でも俺好き奴への執着やばいぞ。辞めるなら今のうちだけど……」
「大丈夫、そのくらいが俺も嬉しいよ」
「ならよかった」
米沢は、今までに無いような笑顔を見せた。
「……丹宮、抱いていい?」
俺は少し戸惑ったが、ゆっくりと頷いた。
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