✕✕が弱い俺の社内事情

麟里(すずひ改め)

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6章

33話《訪問》

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 二人で電車に乗り、数駅経ったところで降りた。
 歩いて彼の家があるところまで行く。
 それほど時間はかからず、すぐに着いた。
 
 「ここだよ」

 雅斗さんは指をさして家を示した。
 俺はそれが信じられず、口をぽかーんと開いてしまう。

 「え、ここですか?あの、一人暮らしとかじゃないですよね……」

 俺がそう問うのもおかしくない。
 彼が指さした家は大きな一軒家だったからだ。

 「……ほんとは両親いるんだけど、ほぼ出張で居ないんだ。だから一人暮らしって言ってもおかしくはない、かな」

 「まじですか……」

 「まじまじ。まぁ気にしなくていいよ、ほら入って入って」

 背中を押され俺は家に招き入れられる。

 「し、失礼します……」

 広い玄関、高そうな陶芸品……。
 金持ちの住んでいそうなイメージの家、そのものだ。

 「わぁ……」

 「そんなに驚く?」

 「お、驚くに決まってますよ!こんな家テレビで見たことしかないです……」

 「そう?なら堪能していってよ。こっちはもう興味もないもんだし、ただの親の趣味だから」

 どこか寂しそうな顔をしながら雅斗さんは俺の隣で話した。
 何か触れてはいけないことに触れてしまったようで少し怖くなった。
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