田舎土魔法使いの成り上がり ~俺は土属性しか使えない。孤独と無知から見出した可能性。工夫と知恵で最強に至る~

waru

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第58話 生理的に

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アズの勝利により、更に観客がざわついていく。

「おいおい、どういう事だ」

「・・・まあFとEだし。」

「まだ、わからんな。」

「Eが雑魚過ぎるかもしれん」

「例年にないな、Fが2勝するなんて。」

そんな事を言いながらも、他の選抜戦が進行していく。


期待通りの強者が勝ち、下剋上の無い試合が続く。

Aクラスの光がBクラスの闇を倒し、Bクラスの闇がCクラスの水を倒す。CクラスはDとEにそれぞれ勝っている。その中にエリの婚約者の姿も見えた。・・アイツ強いな。攻撃が異常に速い。


そんなこんなで自分達に関係のある試合が、始まりそうだ。

Fクラス リンVSダボ Dクラス

リンの試合だ。

「はあはあはあ・・・。可愛いじゃねえか。生意気女ぁ。」

「ひいいいい!!やっぱり絶対無理ぃ!」

よくみるとDクラスの時に、DT呼びでかなり怒った彼ではないか。

「リーン。よく聞け。そのDT、おちょくりやすいぞ」

「ああ!!あの時のクソガキ!!てめえ、覚えてろよ。こいつ可愛がったら次はお前だ!」


「トーナメントだから、それ通りにしか戦わないよ。・・・頭悪いの?」

「あああああ!!!このクソガキ!ぶち殺す!」

審判から強く怒られる。対戦以外でのクラッシュトーク。つまり言い争いは即失格との事。次は無いぞと脅され、二人して謝る。

「クソガキがあ。まあいい。楽しもうぜ、リンちゃんよ。」

「うひいいいいぃぃぃ。無理ぃ。」

リンが生理的に限界を迎えた時に、試合開始の声が飛ぶ。

ダボは火属性。両手に剣を持って振り回す蛮族タイプ。

振り回していくと、その火はしつこいくらいにその場に残り、リンの衣服を焦がしていく。

「嫌、なにこれ!!」

「それは俺のスキル【粘火】だ。まとわりつくような火がそこら中に残る。俺以外の者は全てこの火に焼かれる。例えば・・・・・だ!!」

そう言って火の玉を飛ばしてくる。リンはそれを風の障壁で防ぐも、障壁に纏わりつき離れて行かない。

「なっ・・・!!これは?」

「それは障壁を外した瞬間、お前を襲う。この粘火、調整出来るんだよ、火加減をよぉ。リンちゃーん、その服少しづつ焼いていってあげるからねぇ!!」

その視線と言葉にリンが悶絶する。

「絶対無理、生理的に無理。あの顔のボコボコとか特に無理。同じ学生なのに若干老けているあの感じ、絶対に無理。脂っぽい感じが無理。・・・・・無理。」

「そんな生理的に無理な相手に、服無くされちゃうよ~♪大丈夫かなー。さあ、どんどん増やすよぉ」

リンの障壁に向かってどす黒い炎を投げていくダボ。その戦い方は見た目は悪いが、実に経戦能力がある。出した炎が残り、敵にしか影響しないというのはデカい。特にリンのような教科書通りに動きまわる風属性は行き場がなくなりやすい。良い能力と言える。

「…ふざけんじゃないわよ!!」

障壁を弾き飛ばす様にかき消し、その衝撃で粘火を周囲に飛ばすリン。そしてそのまま突進と真空の刃を出して攻撃していく。

「甘い甘い。そんなの慣れてるよ。」

ダボは簡単に避けていく。そりゃそうだ。この戦い方に慣れていたら、このタイミングが一番危ない。きっちりそれは頭に入っている様だ。

離れたら真空の刃、近付けば短剣。風のお手本のような攻撃を繰り出していくリン。それに対し、余裕で避けるダボ。

「…くそ!!なんで!!?」
「…リンちゃーん。教科書的すぎるんだよ。」

そう言って粘火を投げつけてくる。右肩から腹部にかけて掛かり、服が焦げていく。

「ああ、惜しい。胸を狙ったのに」

「・・・変態め。」

そう。リンは教科書の動きのトレースは上手いが、応用建てた行動が苦手な面がある。こと戦闘において相手の意表を突く行動は非常に武器になる。なにせ相手は人間相手だ。相手の思考を惑わせると、一手も二手も先を行ける。リンはその逆をされているのだ。

「くっ!!避けれない!」
どんどん服や身体が焦げていくリン。

「はっはっはぁ!!楽しいぜ、リンちゃん?降参なんかするなよ?報奨金減るぜ?」


そう言って、攻撃を続けるダボ。


・・・・・そろそろじゃないか?

そう期待するも、俄然劣勢。

正直、すぐに降参をしてやりたい所だ。だが外部からの降参は認められない。実際に戦っている人間のみの権利だ。


ダボの攻撃が続く。

粘火だけでなく、火の玉も織り交ぜ、障壁を使わせ、リンの魔力を削っているのだ。兵士として長丁場を戦う時に非常に効果の高い攻撃だろう。


「俺はな、すぐに倒せる大技は持ってねえ。…だがな、戦場では活躍できると信じている。先祖から引き継いだ、この【粘火】はどんなメンタルの強い奴でも諦める!…長丁場では俺は負けねえ。本来なら模擬大戦でもこれで活躍する予定だった。…許さねえよ、Fクラス。全部ひん剥いてやるよ。」

攻撃の頻度を増やしリンを追い詰めようとする。
そして訓練場が粘火で埋まった頃、会場の空気が薄くなってきた。


「そろそろ、終わりだ。服から狙って終わらせてやるよ、リンちゃん?」

そう言って、大きな火の玉を投げてくるダボ。


「・・・もう仕方ない。」

「は?」
火の玉が一瞬大きくなり、会場が一瞬明るくなる。

次の瞬間。

投げた火の玉はあらぬ方に飛んでいき、その場にはズタズタに切られて苦しむダボとへたり込むリンが居た。

「ご・・・た・・助け・・・」

身体中を切られ、苦しみながら倒れこむダボ。

「しょ・・勝者、Fクラス、リン!!」

勝利のコールと共に、直ぐにダボが助け出されていく。

正直、ダボの火球で会場が明るくなりすぎて、しっかり認識できなかった人間が多くいた。

教師がリンに聞いていく。

「何をした??」

「…障壁をかけて特攻しました。障壁の周りに真空の刃を発生させて、飛び込みました。…近付くのがおぞましい相手でしたけど。」

「結果はコレか。ダボの近接戦闘不足なのかもしれんな。成程。」

これは訓練中にリン自らが編み出した技だ。…編み出したというよりは自分の教師の技を真似ただけだろう。しかし内容は違う。サガの様に継続した完全防御では無く、一瞬の特攻に近い技になっている。

ボロボロになったリンに駆け寄る、アル。

「…大丈夫か?」

「ええ。見たほどよりは。そこまで強くなかったし。」

アルが憤怒する。
「…おい、言いたい事が山ほどある!!あんな事しなくても剣で切れたろ!!何回か切れそうな瞬間があった!!…何故だリン?」

「・・・だって、生理的に無理で。近付いたら蕁麻疹が・・・・うう。」

「戦いにそんなの持ち込むな。許さないぞ。」

「うう・・・ゴメン。」

リンは素直に謝る。
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