田舎土魔法使いの成り上がり ~俺は土属性しか使えない。孤独と無知から見出した可能性。工夫と知恵で最強に至る~

waru

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第59話 カナの奮闘

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リンの苦勝によりFクラスの連勝は3と続いた。ただ、感想はそこに向いていなかった。

「もっと出来たろう。」
「もう少し頑張れよ、ダボ…」

「…惜しい」
「…悔しい。」

「何故、頑張れなかった…」
「ダボ、お前の想いは忘れない」

男を中心に結託を感じる。リンは戦闘着から普段着に変えている。

「…もう、無茶はするな。」

「…ゴメン。」
「出来る事をしないのは、相手にも失礼だ」

「相手の方が失礼だったけど・・・」

「そんなのはいいから。俺はリンに死んでほしくない。…だから今後はこう言った事はやめてくれ。」


「はい・・・。」


そんな話をしていると、カナが試合に向かう。


「アル君、行ってくるよ~。」

「…ああ、カナ。きっと大丈夫だ。…なに、負けて元々だ。一泡吹かせて来い!」


そういうと、ハイタッチして戦場へ向かうカナ。


「ほう…。こりゃぁ、何かあるね、アル君とカナ。」

「…ななな、何かって?」


はあっとため息をつく、アズ。

「リン…アンタ大丈夫かねぇ?」

「ため息つかないでよ!!」


そうして始まるカナの試合。
Fクラス カナVSユン Aクラス

光の属性ユンは、幼い頃より、稀代の天才として祭り上げられ、この学園に入学した。

早くから属性に目覚め、その力は誰にも負けない。そんな環境で育った彼は、非常にプライドが高くなっていた。やりたい事は全てやり、気に入らない事は全て排除してきた。…だがそんな彼も、この学園では己が敵わない存在を多く見て来た。

例えば理不尽な存在。光のアレス。どうやっても勝てない。速さで勝てず、攻撃でも勝てる気がしない。闇討ちしても相手は気付くときた。…何をしても敵わないのだ。初めは受け入れられず、何度も挑戦するもズタボロにされる。

流石にユンも諦めた。…そうであれば、せめてもの手段として。クラスや将来において良い立ち位置をと。そう考えた。

気に入った女を並べ、内申点を気にして。そうやってユンは学園で過ごしていた。

「君、可哀想に。A対Fなんて誰も見たくない。僕も内申に全く影響しない。君も力の差が怖い・・・。」


そんな言葉をカナに投げたのは、そう言った背景があるからだ。この対戦には得や意味が無いと考えたのだろう。

「・・・でも君は魅力があるね。どうだい?痛くしないから、その後に僕の相手をしてよ。・・・・よければ奴隷にしてあげるよ?」

「カナ、そんなの嫌。貴方なんかに触られたくない。」

「へえ。立場を知らないんだね。」

こんなやり取りをしてからは、ユンはそのプライドを傷つけたカナをどう料理するかを考えた。



「はじめ!」
試合開始の声が飛ぶ。

「カナと言ったね。後悔させてあげるよ」

そう言って、手を前に出すユン。直ぐに手が光り始めて、光の連弾が飛んでくる。相当レベルも高いのだろう、四肢を打ち抜こうと、調整された攻撃が飛んでくる。

必死で避けていく、カナ。

「ほう。避けるか。君はレベル1では無いな、・・・・・そうだな、レベル10くらいだろう。僕は25だ。君とは格が違う。諦めたまえ。」

かなり正確に動きで評価し、攻撃してくる。この相手、非常に強い。

カナも弓を射るが、見当違いな場所に飛んでいく事が多く、まともに当たらない。

「…はん。つまらんね。苦し紛ればかりではないか。」

そう言って警戒心が緩んでいく、ユン。

それでも逃げながら、弓を打ち続けるカナ。

「目障りだ」

カナが逃げようとするが、右足を打ち抜かれる。

崩れ落ちるカナ。

この戦闘場は、ケガをしてもダメージが魔力で拡散されるように、模擬大戦の時と同じ仕様になっていた。だが痛みはしっかりと感じる。

「いった~い。」

「命乞いをしろ。…可能な限り、無様にな。それなら許してやる。だが、そうでなければ徹底的に潰す。」

「え~。カナできな~い。」

そう言いながら右足を瞬時に回復させ、弓を打つ。

簡単に躱すユン。

「無駄だと言ってるだろうが。雑魚が」

そう言って。光の速度で近づき、カナの腹を蹴り上げる。

再度、崩れ落ちるカナ。それをさせないと、カナの首を掴むユン。

やはり格が違うのか。酷な事を強いたのだろうか。

一瞬で片が付いた。



そう思った瞬間、ユンに矢が飛んできた。


「な!!」

3本程の弓がユンを襲う。光の障壁を張り、何とか防御するも、警戒心が高まる。カナを投げ捨て、すぐにその場を離れ、周囲を見渡すが何もない。


怒りによって紅潮した顔で、審判である教師に向かって、ユンは叫ぶ。

「…審判!どっかから邪魔が入っているぞ!!…ちゃんと見ててくれよ!!」

審判はただ首を振るだけだ。…審判は分かっている。

「なんでだよ、僕はこいつをつか・・・・・ッチィ!!」


再度、弓が飛んでくる。今度はカナからだ。

「ケホッ!!・・・首、掴まないでよね!!

カナが弓を射ってくる。その矢じりは先程と違い、魔力でコーティングされている。矢が突き刺さった場所には凍っている部分を確認できる。

「・・・・君の仕業か。何をした?」

「言う訳、ない!!」

そうして打つも、また簡単に避けられる。

「…不愉快だ、吹き飛べぇ!!」

そう言って、強力な魔法を打つと、カナは吹き飛ばされ、失神した。



「勝者、ユン!」

「・・・・後味の悪い。」


勝ちが決定した次の瞬間、カナは起き上がっていた。

「あ~あ、負けちゃった。お腹も痛いし、もう本当に最悪~。」


「ッ!!…何故だ!!?」

「痛たた~。せっかくアル君と考えたのに。ダメだったか~。まあ、ビックリくらいはさせれたかな?」


ユンは、大急ぎで近付いていく。

「…君!いったい何をしたんだ!?…大男でも、僕の魔法は受けたら丸一日は失神だ。先程の弓と言い、これと言い、本当にどういう事だ?」


「え~?教えたくないなあ。私達を馬鹿にしたし・・・」


「…それは謝る!今は純粋に、この疑問を解消したい!」


「え~。…なら学園の皆に、Fクラス凄かったって。言ってくれます~?」

「なっ・・・え?どういう意味だい?」


「…私達、訓練でこうやって強くなったのに。すっごい馬鹿にされるんですよ~。なんか悔しくって~。ここで簡単に言ったら…意味ないのかなって~。」


「あ、ああ・・・。あの噂の訓練か。成程、それはすまない。馬鹿にしていたのは、僕もだ。君らの努力は本物だ、教えてくれないか?」

「え~。じゃあ、少しだけですよ?あ、ココじゃ皆に聞かれるから嫌だな~。」

「分かった、場所を変えよう。」

勝者であるAクラスのユンが、敗者であるFクラスのカナに、翻弄されている。



非常に面白い構図だ。

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