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エピローグ
しおりを挟むアルベルト・フィリアの死は、世界中にあまりにも大きな衝撃を与えた。ラブールに留まらず、奴隷から王となったアルベルトを他国でも敬う者は多かった。いつでも優しく、どれ程の絶望にその心が引き裂かれようとも穢れなく笑う彼は、多くの人に愛されてその人生を終えた。
墓はアルベルトの生まれた地、元フィリアに建てられる事となり、七年と言う長い長い旅路の果てに、彼は漸く愛し続けた地へと帰り着く事が出来た。それでも王にしてブラックタグの奴隷に身を堕とし、二十四年と言う儚い命を人の為に削り続けたその男の歩んだ道は、常人では気が触れてしまうような、そんな道程だった。
命を賭して逃がしてくれた赤毛の少年、罪を感じ自ら命を絶った少女、愛する者を失い狂気に堕ちた男。身を引き裂くような痛みの中でも、息が出来ぬほどの苦しみの中でも、そして、最期の時までも。彼は己が救えなかった全ての命を想っていた事だろう。
今尚輝かしい笑顔の絶えない国、ラブール──。永劫続く平和の建国の裏側で、深い悲しみを、身を裂く絶望を乗り越え生きた一人の男がいた事。それを知って欲しくて、私はこの物語を書いた。そしてそれは私自身にとっても、大きな意味を持つ事を書き終えた今になって知る。
深い悲しみを胸の奥に抱いて、それでも私は今、一点の曇りも無く笑っている。もう二度と、孤独と言う道を歩む事はないだろう。
私の愛した男がその命と引き換えに遺してくれた物は、未来へと繋がる、そんな暖かい光であった──。
了
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