魔人狩りのヴァルキリー

RYU

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絵画の中の女の子 ⑥

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「ここは、臨界なの…?」
この辺りは、何処と無く薄気味悪い。時折、魚の焦げたような臭いがあたりに漂い、吐き気がする。
「ああ。正式には、修羅と呼ばれている所だ。ここは、生前に業を犯した者が来る所なんだよ。」
「修羅…?」
「ああ。本来、人が来てはいけない所なんだ。」
「あの絵の女の子が、どう関係してるんだろう?」
「あの子は、もしかしたら、思念体の集まりなのかも知れない。元々ある少女の霊が次々と霊を集めやがった。そして、混じり合い元の少女の人格が歪みやがったんだよ。」
「そんなことって、有り得るの…?吸収するにしても、余程強い霊力がないと、消滅してしまうんじゃ…」
「ああ、そこなんだが、私も不思議なんだよ。霊力には必ず越えられない限界があるから、あの子がどうやって仲間を集めたのかが分からないんだ。」
「あの子の目的は、何なのだろう?」
サトコは、疑問に思った。ここにいる人は死者なのに、どうして、私達のような者が来てしまったのだろう?

 すると、空間に亀裂が入り、中からリオが姿を現した。
  ツインテールにブカブカのスカーフ、肩にはバズーカを背負っている。あの、大聖堂で見た女の子である。
「ああ、来たのか、リオ。」
黒須は、安堵の表情でリオを手招いた。
「まさかとは思っていたが…こんなに面倒な仕事だなんて、聞いてないぞ。」
リオは、ムッとした表情で黒須を睨み付けた。スカーフはボロボロで、服に泥が付着していた。
「悪いな。」
「助っ人に来てみたら、何なんだ?この異常な霊気は、しくじったら、私もろとも吸収されるぞ。」
「それなんだが…ここは、臨界だ。この辺りは、修羅と現界の通り道なんだろう。」
「君は、ホントに面倒事ばかりに巻き込まれるな。」
リオは、服に不着した泥をはらった。彼女の銃口からほんのり煙が吹き出ている。
「好きでこうしてるんじゃねーよ。」
「例の絵の女の子を探せば良いんだな?」
「ああ。連中も、対応が早いな。」
黒須は、リオを見送った。


「ねえ、さっきの人は、同業者…?大聖堂の時、居たよね?」
「ああ。非常に優秀なんだが、頭が固いんだよ。」
「死神にも、色々居るんだね。」
「そうだな。色々いる、優しい人もタチの悪い奴もな…」
「この仕事は、辞めることが出来ないの?黒須は、時々苦しそうにしてるから。」
黒須の歪んだ顔、虚ろな眼…サトコは、彼女は心の叫びを無理に押し殺しながら仕事している。明らかに、過去に鬱蒼とした重い何かを抱えている。
「ノルマを達成しない限り無理だ。」
「そんな…黒須は、何で…。」
そう言いかけるや否や、サトコはハッとし口を噤んだ。
「生前、業を犯した者がこうしてこの仕事してるのさ。自殺や事故などで本来の寿命を全う出来なかった者、殺人を犯した者達が、死後に無理やり生かされ死神業をしている訳だ。特に、自殺や死刑をした者には重い仕事が待ってるのさ。ハンターするにも適性試験があり、それをパス出来なかった者は修羅の森や臨界を永遠に彷徨い続けるんだ。時折、理不尽に感じてしまう事があるがな。」
黒須は、表情1つ変えずに淡々と話した。彼女が何を思いながら話したのかは定かではない。しかし、彼女の顔から時折垣間見る、曇った表情が気になっていた。
「ゴメンね…」
「いや、事実だからな。あとは、あの少女を見つけるだけだ。あんまり長居したら、引き込まれるぞ。」

 二人は辺りを見渡した。周りは薄暗くなっていき徐々に寒気を催す。何処からともなく不気味な叫び声が響き渡ったのだった。
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