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魔女の庭と賢者の石 ②
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山口先生は、カーテンを勢い良く閉めた。
「サトコちゃん、やめなさい…いい、これから、私の言う通りにするのよ?」
「あ、はい…」
明らかに、先生の様子が変だ。
「とうとう、来たようだね…」
山口先生は、眉間に皺を寄せ爪を噛むような仕草をすると、その場を去り、奥の部屋に向かい何やらガサゴソ物を探している。
サトコは、訝しがり先生の奇妙な言動を呆然と見つめていた。
ーふと、サトコは腕時計を確認した。
「あ、先生……これから予定があるので、私はこれで、失礼…」
「サトコちゃん、そうだ、いい映画があるのよ。一緒に観ない?」
奥の部屋から、先生が戻ってきた。彼女は、長い杖のようなものや赤い紐のような奇妙な道具を手に持っていた。
「え…?でも、そろそろ時間だから…」
「だから、駄目よ。分かってるんでしょうね?」
山口先生は、眉を釣り上げた。
彼女のその表情は、激しい動揺や切迫感、戸惑い、焦りの気持ちが複雑に入り交じっているようだった。
「大丈夫よ。この家は、守られてるからね。」
山口先生は、そう言うと、テレビをつけ、Netflexをかけた。
「これ、サトコちゃんが好きそうだと思って…」
彼女は、適当に番組を選ぶと、決定ボタンを押した。
「私は、これからしなきゃいけないことがあるから、片付けてくる。大丈夫。時間稼いだから、奴らはしばらく入れやしない。」
彼女は、忙しなくその場を去った。
台所の方から、甘いような酸っぱいような苦いような奇妙な香りの匂いがこぼれてきた。
ふと、サトコは急に、
ザワザワとした寒気を覚えた。
訝しがり、居間のカーテンを開けて、外を伺った。
案山子の一団が、いつの間にか家の庭の中に侵入しているのように、そこに存在しているのだった。
サトコは、ゾクッとして顔を下に背けた。
ー何時の間に…!?
「何してるの!?」
山口先生は、奇妙な調理をしながら尋ねてきた。
「あ、先生…何か、そこにあります。いつの間に…」
「早く、カーテンを閉めなさい!」
彼女の強い口調に、サトコはビクッと仰け反った。
「あの、先生…何か、知ってるんですか…?何なんですか、アレは一体…?」
これは、明らかに黄魔だとサトコは分かった。
だが、こんなに集団発生するのは珍しいー。
しかも、30分程で100メートル移動してくる。無言で動かず、ずっとコチラを向いて近付いてくる。近づいたら、ゲームオーバーのような気がしてならない。
それは、何処と無く不気味さを漂わせている。
だが、なんだか、こちらと遊んでいるようだ。
『だるまさんが転んだ』と、いう遊びにも似ている。
山口先生は、赤い紐を調理していた鍋の中に突っ込んだ。
「そろそろ、話さなくてはいけない時がきたようだね…アレは、黄魔の1団よ。」
「黄魔…!?」
ー何で、先生がそれを知っているのだろうー?
と、サトコは首を傾げた。
「死霊が、魔王の力で魔力を得た存在よ。彼等は、生前の記憶も理性も殆どないのよ。」
鍋が、ボワっと深紅の炎を上げ火花を散らした。
「何で、せが、それを知ってるんですか…!?」
「実は、私は、サトコちゃんのことも知っているのよ。あなた、実は、一度死んで、そして死神だかとの取引で寿命を伸ばして貰ってるのよね…?」
「先生は、一体、何者なんですか…?!」
「私は、黄魔の力で長生きしてるの。もう、随分、力を使い込んだから、身体にガタが来てるけど…」
先生は、シャツを捲り首筋をサトコに見せた。
ヒビのようなものが首筋を縦や横に伝う。
それは、乾燥しヒビの入った土のような感じであった。
サトコは、ギョッとしたり
サトコは、状況が飲めずに、言葉を詰まらせた。
いつもの、ほんわかした穏やかな山口先生は、偽りだと言うのだろうかー?
頭が、混乱してくる。
「これは、後で分かるわ。サトコちゃんは、下がっていてね。」
外から、ドンドン窓を叩く音が、聞こえてくる。
山口先生は、ゴーグとグローブを嵌め、赤い紐を鍋から取りだした。
紐は、グルグル高速回転し、カーテンと窓をすり抜け、次々と案山子らの額に命中した。
外から、ギャーーーーーーーーと、いう、けたたましい悪魔の悲鳴が轟いて、サトコは耳を塞いだ。
「何、したんですか…?」
顔を強ばらせながら、恐る恐るカーテンをめくった。
バチバチと赤い火花を散らしながら般若のような形相をし、コチラを睨みつけてくる案山子の1団が、そこにいた。
この不気味な案山子の正体は、一体、何なのだろうー?
先生は、一体、何者なんだろうー?
サトコは、瞠目しながら何も出来ぬまま呆然と、その異次元にいるかのような地獄にいるかのような光景を眺めていた。
「サトコちゃん、やめなさい…いい、これから、私の言う通りにするのよ?」
「あ、はい…」
明らかに、先生の様子が変だ。
「とうとう、来たようだね…」
山口先生は、眉間に皺を寄せ爪を噛むような仕草をすると、その場を去り、奥の部屋に向かい何やらガサゴソ物を探している。
サトコは、訝しがり先生の奇妙な言動を呆然と見つめていた。
ーふと、サトコは腕時計を確認した。
「あ、先生……これから予定があるので、私はこれで、失礼…」
「サトコちゃん、そうだ、いい映画があるのよ。一緒に観ない?」
奥の部屋から、先生が戻ってきた。彼女は、長い杖のようなものや赤い紐のような奇妙な道具を手に持っていた。
「え…?でも、そろそろ時間だから…」
「だから、駄目よ。分かってるんでしょうね?」
山口先生は、眉を釣り上げた。
彼女のその表情は、激しい動揺や切迫感、戸惑い、焦りの気持ちが複雑に入り交じっているようだった。
「大丈夫よ。この家は、守られてるからね。」
山口先生は、そう言うと、テレビをつけ、Netflexをかけた。
「これ、サトコちゃんが好きそうだと思って…」
彼女は、適当に番組を選ぶと、決定ボタンを押した。
「私は、これからしなきゃいけないことがあるから、片付けてくる。大丈夫。時間稼いだから、奴らはしばらく入れやしない。」
彼女は、忙しなくその場を去った。
台所の方から、甘いような酸っぱいような苦いような奇妙な香りの匂いがこぼれてきた。
ふと、サトコは急に、
ザワザワとした寒気を覚えた。
訝しがり、居間のカーテンを開けて、外を伺った。
案山子の一団が、いつの間にか家の庭の中に侵入しているのように、そこに存在しているのだった。
サトコは、ゾクッとして顔を下に背けた。
ー何時の間に…!?
「何してるの!?」
山口先生は、奇妙な調理をしながら尋ねてきた。
「あ、先生…何か、そこにあります。いつの間に…」
「早く、カーテンを閉めなさい!」
彼女の強い口調に、サトコはビクッと仰け反った。
「あの、先生…何か、知ってるんですか…?何なんですか、アレは一体…?」
これは、明らかに黄魔だとサトコは分かった。
だが、こんなに集団発生するのは珍しいー。
しかも、30分程で100メートル移動してくる。無言で動かず、ずっとコチラを向いて近付いてくる。近づいたら、ゲームオーバーのような気がしてならない。
それは、何処と無く不気味さを漂わせている。
だが、なんだか、こちらと遊んでいるようだ。
『だるまさんが転んだ』と、いう遊びにも似ている。
山口先生は、赤い紐を調理していた鍋の中に突っ込んだ。
「そろそろ、話さなくてはいけない時がきたようだね…アレは、黄魔の1団よ。」
「黄魔…!?」
ー何で、先生がそれを知っているのだろうー?
と、サトコは首を傾げた。
「死霊が、魔王の力で魔力を得た存在よ。彼等は、生前の記憶も理性も殆どないのよ。」
鍋が、ボワっと深紅の炎を上げ火花を散らした。
「何で、せが、それを知ってるんですか…!?」
「実は、私は、サトコちゃんのことも知っているのよ。あなた、実は、一度死んで、そして死神だかとの取引で寿命を伸ばして貰ってるのよね…?」
「先生は、一体、何者なんですか…?!」
「私は、黄魔の力で長生きしてるの。もう、随分、力を使い込んだから、身体にガタが来てるけど…」
先生は、シャツを捲り首筋をサトコに見せた。
ヒビのようなものが首筋を縦や横に伝う。
それは、乾燥しヒビの入った土のような感じであった。
サトコは、ギョッとしたり
サトコは、状況が飲めずに、言葉を詰まらせた。
いつもの、ほんわかした穏やかな山口先生は、偽りだと言うのだろうかー?
頭が、混乱してくる。
「これは、後で分かるわ。サトコちゃんは、下がっていてね。」
外から、ドンドン窓を叩く音が、聞こえてくる。
山口先生は、ゴーグとグローブを嵌め、赤い紐を鍋から取りだした。
紐は、グルグル高速回転し、カーテンと窓をすり抜け、次々と案山子らの額に命中した。
外から、ギャーーーーーーーーと、いう、けたたましい悪魔の悲鳴が轟いて、サトコは耳を塞いだ。
「何、したんですか…?」
顔を強ばらせながら、恐る恐るカーテンをめくった。
バチバチと赤い火花を散らしながら般若のような形相をし、コチラを睨みつけてくる案山子の1団が、そこにいた。
この不気味な案山子の正体は、一体、何なのだろうー?
先生は、一体、何者なんだろうー?
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