婚約破棄をされましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました。

はゆりか

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23、見えた道筋は険しい

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お義姉様に直談判した翌々日、私はお義姉様と共にドイル国へ行ける事が正式に決まった。

ほぼ思い付きで暴走したと言ってもおかしくない私の行動がこんなにも上手くいくなんて自分でしておきながらビックリです。

まぁ。正直いってほとんどお義姉様のおかげですが…


お母様からはドイル国に行く事を許す代わりに帝国に戻り次第、何人かの婚約者候補に会う事を条件に出されました。流石にこの状態でお母様の機嫌を損ねたく無いので、了承しました。

何はともあれドイル国に行ける。
なんの手立てもなかったケンビット様に逢えるかも知れない。

ケンビット様と逢えたらきっとよくわからないモヤモヤした恋心とやらを確認できる。

もしかしたらこの気持ちは勘違いかもしれない。
この気持ちを今のまま突き進むのか。思い出として仕舞い込むのかケンビット様に逢ってから改めて決めようと思います。

そう思うだけでグチグチと悩んでいた気持ちがフッと軽くなった。


ドイル国に行くまで約2ヶ月。
とりあえず自分のできる事をやろう。

私は時間ができるとドイル国の歴史を勉強した。

でも、私が手にするドイル国の歴史書に書かれているのは300年以上前に迫害されていたメルトニア人が作った隣接する各国より比較的新しい国と言う事。

建国に至った詳しい史実はなく、建国後も100年程の空白期間があり、ドイル国が開国した200年程前から少しずつドイル国がどういう国か明らかになっている。

他の国の史実と比べても情報量が少ない不思議な国。


その書物の中で一番気になる記述は開国当時から定められた王族のメルトニア人純血主義に関して。

メルトニア人か…

何故、メルトニア人は迫害されていたのだろう?
メルトニア人は自らの身を守る為に国を作ったのかな?

過去の事すぎてそれを調べる術は私にはない。


この世界は大きく分けて3種類の人種がある。

肌が黄色系で黒目・黒髪が特徴。
情熱的で強気。自信家が多く行動的な帝国に多い“ガラン人”

肌が色白系で金髪・青目が特徴。
知性が高く聡明で負けず嫌いな一面をもつカサドラリド国に多い“アーム人”

肌がペール系で茶髪・茶目が特徴。
真面目で勤勉だけど言いたい事がはっきり言えないドイル国の“メルトニア人”

私は真っ黒ではないけど黒目・黒髪で肌はハチミツ色。
特徴を見て人種的にガラン人だけど、帝国の過去の皇帝は他国から姫君を迎えて婚姻などもしているからアーム人やメルトニア人の血も混じっていると思う。

まぁ。今の時代、国内外問わず人種はあくまで出身地を予測する為のものであってあまり重要視はされていないから気にしている人は少ないけど、お義姉様が言っていた言葉が気になる。

『ドイル国は王族主義であり純血主義。』
『メルトニア人の純血が重要視されて障害が生じていた国』

本だけじゃ学べる事は少ないな…

お義姉様に聞ければ一番だけど、あの日以降メイル兄様の監視の目が厳しくなっているので中々お義姉様にお会いすることすらままなりません。



そんな風に考えて日々過ごしている中、メイル兄様とお義姉様との結婚式が一年後に行われる事が正式に決まりました。

私の予想通り皇帝としてはかなり早い結婚ですね。
すでにお義姉様は皇妃になる為の基礎は出来ていたのでそれだけ早める事もできたのでしょう。

結婚式の期日が明確になり、お義姉様は本格的に帝国内の貴族達とのパイプ作り等で今まで以上に忙しい日々を送っている。

その為、少しは情報収集できるかな…と期待していたお義姉様主催のお茶会はドイル国から帰ってきてから行わせて下さいと連絡があり、延期となってしまった。

メイル兄様の策略の匂いがプンプンします。


とりあえず私は、自分磨きに精を出します。
少しでも自分を綺麗にしておきたいという女心です。
ケンビット様に逢えるかすらわかりませんが…




それから大きな変化はないままドイル国に行くのが後半月程になった頃、部屋で久々にリラから借りた恋愛小説を読んでいると、部屋のドアがノックされてメイル兄様の側近であるトゥイがやって来た。

予期せぬ訪問に私もサリーも戸惑ってしまう。

「陛下からの言付け…と言うか忠告を預かって来たんですが、今お時間大丈夫ですか?」

「え…ええ。」

私が頷くとトゥイは「失礼します。」と私の部屋に一歩踏み入って扉を閉める。

「すみませんが、扉は閉めさせて頂きますね。あまり聞かれたくない話をしますので。」

そう言ってトゥイは口の前で人差し指を立ててナイショのポーズをする。

「大丈夫です。サリーは共にいて良いですか?」

私はサリーに目をやりトゥイに確認を取ると、トゥイもサリーを見て少し考えると「まぁ、大丈夫かな~」と緩く答える。

私はサリーに対して頷いて、ソファーにトゥイを案内しようとするとトゥイは首を左右に振ってニコリと笑う。

「僕はここで大丈夫です。長居する気持ちありませんから。」
「そうですか…で、メイル兄様からの忠告とは?」

私が尋ねると、トゥイは私に向かっていつもの笑みを消して真剣な顔を向ける。

「ティナ様がドイル国に行くに当たってアエリア様の事で頭に入れて置いて頂きたい事が何点かあります。」

「お義姉様の事で?なんでしょうか…?」

「詳細はまた近々陛下かアエリア様からお話するとの事ですが、ドイル国に対してのアエリア様の心情は多分ティナ様が考えているよりも複雑なので。」

「複雑?…それは良い意味で?悪い意味で?」
「良くもあり、悪くもあります。」

なんとなく今までのメイル兄様やお義姉様の言葉や態度で予想はしていたけど、実際に聞くとその闇の深さを感じてしまう。

「それは、ケンビット様との婚約解消にも関わる事ですか?」

「そうですね…関わりはあります。実際ドイル国に行き、バルメルク家に関わる事によりティナ様はそれを実感されるかと思います。」

私の質問にトゥイは答えると私に近づいてくる。

「アエリア様は、ティナ様がドイル国について行くと言う事で、当初一泊だった予定を一週間に伸ばされました。」

「えっ?そうなのですか?」

一週間もドイル国に行けるのですか?
初耳です。馬車での移動日数等も考えて1泊…長くても2泊位かと思っていました。

「せっかく行かれるのであればゆっくり国を見て欲しいとのアエリア様のお心です。陛下は反対されていましたが、アエリア様のお気持ちが強かったのでつい先程ご了承されました。まだ誰にも伝達しておりませんので、陛下が伝達するまではご内密に。」

「…わかりました。」

思っている以上に小さな声しか出せなかった。

なんだか申し訳ない…
お義姉様の気持ちに胸が熱くなる。


「陛下は公務の都合上アエリア様の兄上様の結婚式当日しかドイル国にいけません。なので、ティナ様にはアエリア様の心の拠り所になって頂きたいとの事です。」

「心の拠り所…?」

「はい。陛下の言葉でいえば、アエリア様はティナ様のわがままに付き合わされるのだから、もし何かあった時はティナ様が身体を張ってでもアエリア様を助けろとの事です。また、『余計な事はするな。』『勝手な詮索、行動はするな。』『皇女として品よく大人しくしていろ。』『王太子殿下へのティナ様の気持ちは隠し通せ。』そして『お供としてトゥイを同行させて僕から離れるな。』以上が陛下からの忠告です。」


何かあったら身体を張って助ける…
それってどういう状態でしょうか?

疑問に思いつつも真剣にそれを伝えるトゥイに私は「わかった」と頷く事しか出来なかった。
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